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インディアナポリス在住のローカル・ミュージシャンだったウエスは、30代半ばになってようやく世間一般に知られるようになった。飛行機嫌いで家族思いのため、けっして故郷を離れなかったからだ。しかし同地を訪れたキャノンボール・アダレイがそのプレイに感激し、リヴァーサイド・レコードのオリン・キープニュースに録音を進言、そこから新たな運命が開かれた。
本作は、ウエスの名を決定的にした60年録音のセカンド・リーダー作。オリジナル4曲を含む選曲もいいし、トミー・フラナガン、ヒース兄弟を含むメンバーも申し分ない。
オクターヴ奏法で有名になったウエスだが、実際はシングル・トーンによるソロ、オクターヴ奏法、コード奏法をミックスして演奏するのが特徴である。その結果、ウエスの演奏はドラマティックかつストーリー性を持った。ピックを使わずに親指で弾くのも専売特許だ。本作にはそうした特質がすべて盛り込まれており、ウエスの魅力のすべてを堪能できる。これぞ間違いなくウエスの最高傑作だろう。(市川正二)