Amazonレビュー
コンピレーション盤というと、一昔前のジャズ・ファンは入門者用の寄せ集め作品と、一段低く見る傾向にあった。しかしいまでは一番おいしいところを抜き出した特選品と受け止めるようになった。そのあたり、まさに隔世の感がある。その結果、いまやコンピレーション盤~ベスト盤の花盛りだ。
本作の場合も50年代以降のジャズの一番おいしいところがギュッと詰まっていて、楽しいことこの上ない。50年代のヘレン・メリルもあれば、60年代のエラ・フィッツジェラルド、21世紀の小曽根真やakikoもあるといった具合で、新しいのと古いのでは録音的に半世紀ほどの隔たりがあるが、そんなことにはまったく関係なく楽しめるのはジャズという、時代と世代を超越した共通言語の魅力ゆえだろう。
ミディアムからスロー曲を中心に構成されたロマンティックなジャズ中心なので、ヴァレンタイン・デイのプレゼントにもぴったりの作品だ。既発アルバムからの収録が大半だが、ダイアナ・クラールの<15>はアルバム未収録曲とあって本作でしか聴けない。(市川正二)
メディア掲載レビューほか
JAZZアーティストを集めたスーパー・コンピレーション・シリーズ`I (ハート) `シリーズのジャズ版。ダイアナ・クラール、ビル・エヴァンス他を収録。 (C)RS