仮想通貨・AI・クラウド、といった最新の情報技術キーワードが盛り込まれていますが、それほど詳しくなくてもスムーズに読むことが出来ます。仮想通貨などはよく分からないという方も、読み進めるうちに理解が深まりますし、ご存じの方でも「これらの技術が悪用されたら」というシミュレーションとしても楽しめますので、星5つにてお薦めいたします。
舞台は仮想通貨・AIが生活に広く浸透した2025年の日本・東京です。近未来小説の肝は「本当にありえそうな社会を描いているかどうか」だと考えており、この作品は十分にその条件をクリアしていると感じました。その最大の理由は作中の仮想通貨「BLOOD」が文字通り人々の血液と結びついていること。かつて通貨が金と兌換性があったのと同じように、「BLOOD」が血液との交換によって発生する=マイニングされるという設定になっているため、「あり得そう」と感じられるのです。
「仮想通貨ってどこから生まれるのか、マイニングとは何か」という疑問は仮想通貨を理解する過程における一つの関門だと思います。それを「輸血することでBLOODを手に入れることが可能」と電子的な世界と現実世界での行動とを結びつける設定がなされていたので、それほど予備知識のない自分でもすんなりと理解することが出来ました。
他にもここ数年で起きた情報通信関連の事件・出来事を想起させる記述が盛り込まれており、そういった工夫によって作中の世界を身近に感じられると思います。
本作品は著者にとって初めての著作とのことで、プロとして当たり前とは言え、執筆にあたり丁寧に取材・情報収集をして、それらの材料を上手く「調理」している、という印象を持ちました。続編がありそうな終わり方をしているので、次回作があるのかも、と今後の活躍を期待しています。
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第164回芥川賞・直木賞 受賞作決定
芥川賞は宇佐見りん『推し、燃ゆ』。直木賞は西條奈加『心淋し川』。
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