エリオとオリバーに恋して、ふたりのゆくえが気になった人には苦行の様な(笑)一冊かもしれないけど、ふたりのゆくえを一番望んだ形で見届けられる、納得いく続編であると個人的には思いました。
苦行は言い過ぎかもしれないけど、本書のほぼ半分のページを割かれて描かれるのは、エリオのお父さんのロマンスについてです。「君の名前で僕を呼んで」でも少し触れられてましたが、いつの間にかエリオの両親は離婚していました。
でもこのパートは本当に大事で、その後のエリオとオリバーの人生にも大きな影響を与えるものだと思います。単純にエピソードとして、エリオの父が自分より半分ぐらいの年下の女性と恋に落ちていく過程はある意味スリリングで、読み進めるのはなかなかの興奮でした。
本書は四部構成に分かれています。そして割かれるページ数はパートを追うごとに段々と少なくなります。
第二部はエリオと妻子があった男性との出会いとロマンスが描かれます。
第三部はオリバーのおかれた現状、苦悩、やがて下す決心が描かれます。
そして第四部でとうとうエリオとオリバーの邂逅に辿り着きます。
各パートには音楽用語がタイトルとして用いれられ、エリオとオリバーの邂逅が描かれる第四部はダ・カーポと名付けられます。
ページ数は少ないけど、ダ・カーポというタイトルだけでも、20年という長い年月を経て、ふたりの濃密で強固だった想いを感じ取れたような気がしました。回り道をしたけど、結局は17歳と24歳で出会ったあの夏のイタリアへと全てが帰結する物語に、感慨ひとしおです。
まあちょっと冷めた見方をすれば、エリオとオリバーの周辺にいた人達は何となくおざなりに扱われたかなーと思わされましたが(特に女性)。
でも現実でも主たる中心には周辺が確実にあるわけで、そこをどうこう言うのはフィクションに対しては意味が無いことなのかも知れません。読み手としては望んだ通りの展開になった事には諸手を挙げるしかありませんから(笑)。
さらに冷めた見方しちゃったら(笑)、本書も前作も、文学、哲学、詩、音楽など高尚な芸術・文化のトピックが散りばめれ、一見とっつき難い印象を持たせながらも、内容は意外と異性間のロマンスものに通じる、ありふれた物語なのかもしれないなーという事。
そこに国家の歴史、宗教観が加わる事で、男性同士の性愛が尊いものだという認識に導かれたような気もします。そこまでの認識に導かせる作者の筆致に魅せられたのも確かですが。
結局、その高尚さ(ほとんど理解出来ずとも)に心躍らされた自分が、文化・芸術を下敷きに繰り広げられるエリオとオリバーの恋物語に夢中になるのは必然だったという訳で、ふたりのゆくえを絶対に見届けなければと、即席なスノッブさ(笑)で、あっという間にページをめくり終えていました。知的欲求を大いに刺激される一冊なのかもしれない。
タイトルがなぜ「君の名前で僕を呼んで」なのか。なぜ「Find Me」なのか。
どんな物語でもそれは観終えないと理解出来ない。あたりまえの事実を、エリオとオリバーを通して改めて実感させられた次第です。
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Find Me (マグノリアブックス) Kindle版
【世界的ベストセラー小説「君の名前で僕を呼んで」続編‼】
息子のエリオに会うため、ローマへと向かう列車に乗っていたサミュエル。
途中の駅で乗車して来た息子と同年代の女性・ミランダと出会う。
彼女の積極的で歯に衣着せぬ物言いに、戸惑いつつも……。
一方、ローマからパリに移り、クラシックのピアニストとしての才能を開花させていたエリオ。
音楽と向う日々を送っていたが、とある演奏会でふた回りも歳の離れた弁護士のミシェルと出会うことに。
ユーモアたっぷりで優しいミシェルに、惹かれ始めていく…。
息子のエリオに会うため、ローマへと向かう列車に乗っていたサミュエル。
途中の駅で乗車して来た息子と同年代の女性・ミランダと出会う。
彼女の積極的で歯に衣着せぬ物言いに、戸惑いつつも……。
一方、ローマからパリに移り、クラシックのピアニストとしての才能を開花させていたエリオ。
音楽と向う日々を送っていたが、とある演奏会でふた回りも歳の離れた弁護士のミシェルと出会うことに。
ユーモアたっぷりで優しいミシェルに、惹かれ始めていく…。
- 言語日本語
- 出版社オークラ出版
- 発売日2020/8/25
- ファイルサイズ1856 KB
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
息子のエリオに会うため、ローマへと向かう列車に乗っていたサミュエル。途中の駅で乗車してきた息子と同年代の女性・ミランダと出会う。彼女の積極的で歯に衣着せぬ物言いに、サミュエルは戸惑いつつも…。一方、ローマからパリに移り、クラシックのピアニストとしての才能を開花させていたエリオ。音楽と向き合う日々を送っていたが、とある演奏会でふた回りも歳の離れた弁護士のミシェルと出会う。ユーモアたっぷりで優しいミシェルに、エリオは惹かれ始めていく…。 --このテキストは、paperback_bunko版に関連付けられています。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
アシマン,アンドレ
マンハッタン在住。ニューヨーク市立大学大学院センターで比較文学を教えている
市ノ瀬/美麗
金沢大学卒業。途上国支援にも興味を持ち、国際NGO団体の翻訳ボランティアにも携わる。ロマンス小説の訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、paperback_bunko版に関連付けられています。
マンハッタン在住。ニューヨーク市立大学大学院センターで比較文学を教えている
市ノ瀬/美麗
金沢大学卒業。途上国支援にも興味を持ち、国際NGO団体の翻訳ボランティアにも携わる。ロマンス小説の訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、paperback_bunko版に関連付けられています。
著者について
マンハッタン在住。ニューヨーク市立大学大学院センターで比較文学を教えている。著作に『Call Me By Your Name』『Out of Egypt』『False Papers』 --このテキストは、paperback_bunko版に関連付けられています。
登録情報
- ASIN : B08FM981F1
- 出版社 : オークラ出版 (2020/8/25)
- 発売日 : 2020/8/25
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 1856 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 本の長さ : 289ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 57,418位Kindleストア (の売れ筋ランキングを見るKindleストア)
- カスタマーレビュー:
著者について
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2022年2月13日に日本でレビュー済み
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Amazonで購入
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2021年4月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
他の方のレビューとほぼ同じです。
前作があまりに良かったのでちょっと残念でした。
エリオとオリバーの再会のきっかけは、前作の終盤にも書かれていましたが、その続きがあるはずなのに。
本作の内容があまりにも薄い。
2人で共に人生を始める、大きなきっかけがあったはずなのでは?
続編映画で脚色して頂戴的な、一生懸命描く感じが無さすぎて(笑)テキトーな感じが見えてしまったのは私だけでしょうか?!
とは言え、前作と出会えて幸せな今、2作目もこうして読む事が出来て良かったです。
「ファインド・ミー」も、言葉の一つ一つをじっくり読むと、愛の溢れる作品だと思います。
イタリア、特にローマにゆっくり行きたくなりました。
前作があまりに良かったのでちょっと残念でした。
エリオとオリバーの再会のきっかけは、前作の終盤にも書かれていましたが、その続きがあるはずなのに。
本作の内容があまりにも薄い。
2人で共に人生を始める、大きなきっかけがあったはずなのでは?
続編映画で脚色して頂戴的な、一生懸命描く感じが無さすぎて(笑)テキトーな感じが見えてしまったのは私だけでしょうか?!
とは言え、前作と出会えて幸せな今、2作目もこうして読む事が出来て良かったです。
「ファインド・ミー」も、言葉の一つ一つをじっくり読むと、愛の溢れる作品だと思います。
イタリア、特にローマにゆっくり行きたくなりました。
2021年2月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
遅まきながら最近「君の名前で僕を呼んで」の映画を見て、完璧なキャストと演技に驚嘆し、原作本を読みたくなった。確かに映画は素晴らしく、この小説世界を表現するには彼ら以外には無理だろうと思った。映画と違い、原作では二人の20年後で終わる。そして続編が出た。最初の小説を読んだ人の中には蛇足だと失望する人もいて、その気持ちはわかる。あまりに前作が素晴らしかったから。
しかし作者もまた映画を見て、もう一度彼らを呼び戻してみたい、年月を重ねた彼らを見てみたいと思わせてくれた、と執筆の動機を語っている。唯一無二の存在、自分の半身である相手と離れて過ごしたそれぞれの人生。まったく違う場所、環境の中で、時折もう一つの人生を思い、そこにいない相手と対話する二人が丁寧に綴られている。これはやっぱりその後の二人という意味で完全に前作と呼応している。私はとても愉しく読んだし、読んでよかったです。
映画の続編もありそうだし、人生の愉しみが一つ増えたな。
しかし作者もまた映画を見て、もう一度彼らを呼び戻してみたい、年月を重ねた彼らを見てみたいと思わせてくれた、と執筆の動機を語っている。唯一無二の存在、自分の半身である相手と離れて過ごしたそれぞれの人生。まったく違う場所、環境の中で、時折もう一つの人生を思い、そこにいない相手と対話する二人が丁寧に綴られている。これはやっぱりその後の二人という意味で完全に前作と呼応している。私はとても愉しく読んだし、読んでよかったです。
映画の続編もありそうだし、人生の愉しみが一つ増えたな。





