「これはアカン。ヤバすぎるやろ」
ニュージャジー出身の新進ラッパー,フェッテイ・ワップの「Trap Queen」を始めて聴いた時の印象は正直,そんな感じでした。チープで妙に哀感漂うキーボードをループしたトラックに,ちょいとキーを外したような歌声。その上,クサに金,女・・・と背徳感満載の歌詞。これは完全にイってしまっている・・・みたいな,そっちのヤバさを感じたわけです。
でも,よくよく聴くと,「凄いんじゃない?」という意味のヤバさに印象が変わっていきました。吼えるように歌うというか,ハスキーでディープな声質,伸びやかで声量豊かなヴォーカルはシンガーだけでもやっていけそうな破壊力がありますし,ラップも滑らか。「How We Do Things」あたりを聴いても,その迫力はハンパジャないとわかると思います。
ダークでシリアスな「I Wonder」のヒリヒリするような緊迫感もイイですが,個人的には終盤に魅かれました。
深い悲しみをこらえるかのように怒りをぶつけるヴォーカルが鬼気迫る「RGF Island」,哀感を帯びたメロディーを熱くタフに歌い上げた「D.A.M.」や「No Days Off」,シンセサイザーが紡ぎ出した浮遊感のある幻想的なサウンドの中を舞う魔訶不思議な「Couple Bands」,90年代R&Bを思わせるゆったりスウィング感が,気だるいまでに心地良い「Rock My Chain」,甘美で夢見心地なメロディーに,レイドバックしたヴォーカルと滑らかなラップが絡む「Rewind」と,終盤はトラックも充実して聴きどころ満載です。
既に3曲のシングルがリリースされ,大ヒットしているFettyですが,これまでのシングルはアルバム中盤までの曲。終盤の曲がリリースされると,その勢いにさらに拍車がかかりそうな気がします。
本当に個性的で,一見,キワモノのようですが,実は,歌力も兼ね備えた才能豊かなHip-Hopアーティスト。今後の飛躍が大いに楽しみです。
なお,ジャケット写真でもおわかりのようにFetty Wap は左眼を失明していますが,これは先天性緑内障によるものだそうです。
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