上位の肯定的レビュー
5つ星のうち5.0なぜ人は正しい世界認識をしていないのか?
2019年1月7日に日本でレビュー済み
YouTubeで「ハンス ロスリング」と検索すれば
10分ほどで本書のポイントがまとまったものを視聴できる。
そちらをみてから本書に取り組めば、スムーズに理解できるはずだ。
他の多くの方が、詳しくレビューを書いているので
私はこの本の趣旨のみをご紹介する。
本書のテーマはシンプルで
「我々の思い込みの強さは想像以上で
その思い込みにより世界をありのままに見れないということ」につきる。
たとえば、3つのうち1つが正解の問題に出会した時。「人間が何か選択しようとしたとき」の正解率はなんとチンパンジー以下だという。
その理由は、人間がこの世界を認識するときにはかならずバイアス(思い込み)が働くからである。
チンパンジーはランダムに選ぶので、33%で正解するが
人間はバイアスによって正しく物事を捉えることができない。
具体例として、
・人間は、「良いこと」より「悪いこと」の方が目につきやすい。
(昔を懐かしみ、過去を美化しがち)
・人間は無意識に二極化して考えがちである。
(例、富と貧困、正義と悪など。)
・人間はどうしても直線的に考えてしまう傾向がある。
(「このまま人口が増え続けると、世界の人口がパンクする」という思い込みなど)
上記のようなバイアスが紹介される。
おもしろいのは、専門家、学歴が高い人、社会的な地位がある人ほどバイアスに陥りやすいと言うこと。
皮肉にも「俺だけは、正しい」と思い込むのも、これまたバイアスだ。
低レビューの中には「分量が多すぎる。半分でいい」という意見があるが、私はむしろ逆の意見。
なぜならば、例え話が豊富であり、説明が丁寧であるというのがこの本の長所であるからだ。
さらに申し上げれば
「半分でいい」という理由で低レビューをつけてしまうのは、「私には取捨選択能力がありません」と言っているようなものである。
本というのは言うまでもなく、ひとつの体験である。当然、「自分にとって何が大切であり、どの部分を注意深く理解して、どの部分を読み飛ばしていくのか」という事も重要である。
もちろん、「私は理解している」と思い込むこともこの本でいうところのバイアスになるので注意は必要であるが。
何はともあれ、
正しく世界を認識するためのスタートとして
とても良いきっかけになることは間違いない。
万人にオススメしたい。
参考になれば幸いである。