世界の全体像を更新したい40代以上の人にはもってこい、の本です。特に生活レベルを四段階に分けて世界を眺めているのは秀逸なアイディアです。とても分かりやすく、本をあまり読まない人にもお勧めです。
しかし、何故、評価の星が二つなのか? それは余談が多すぎるのと繰り返しの説明が多すぎるのです。重要なのは多めに見積もっても、初めの100ページ程度。日頃、ニュースの裏側や世界について考えている人には、不要と思われます。
本当は星三つぐらいは付けてもいい内容なのですが、この著者の世界観には共感できません。この本にたびたび「世界はよくなっている」とでてきますが、この場合の「世界」とは「人間社会」のみを限定的に指しているに過ぎません。
自然保護区が陸地の約15%に達したと本書にはありますが、地球上の森林の約50%はすでに失われ、今現在も九州ほどの面積の森林が毎年消失し続けている事実は載っていません。そして、土地の干ばつ、乾燥化や砂漠化もとまりません。
トラやパンダ、サイなどの哺乳類は絶滅寸前の危機的状況から改善しつつある、という事実は載っていますが、生物の絶滅のスピードが最小限に見積もっても自然絶滅の100倍以上の速さで進み、急速に生物の多様性が失われているという事実は載っていません。
更に「DDTで死んだ人間はいないのだから、使えばよい。難民キャンプで蚊が媒介する伝染病を防げるから」と書いていますが、ネオニコチノイド系の農薬によって蜜蜂やトンボが大量死している事実には触れていません。
海洋資源については一言も触れておらず、水温の上昇や乱獲、水質汚染、マイクロプラスチックやバラスト水による生態系の変質などより、年々、悪くなっていることも(意図的に?)無視しています。海の森林と呼ばれるサンゴ礁の死滅などは全世界的に進行し、もはや壊滅状態です。
約400ページもある本で世界について語っているのに、今、現在も続く大量生産・大量消費の社会(レベル4の生活)について何の懸念も書いていないのは違和感があります。
この本の中に、「あなたには(著者のこと)ビジョンがない」とアフリカの女性に批判されたエピソードが載っています。正にその通りです。「このままで、結構いい感じじゃない?」という結論で終わっています。世界について語っている本なのに、この本にはビジョンがないのは残念としかいいようがありません。
追記(2020.12.31):『グレタ たったひとりのストライキ』(海と月社)にこの本について書いている所があるので紹介します。
P142 『ロスリング家の3人が書いた「ファクトフルネス」は素晴らしい本だが、気候および持続可能性の危機については差し迫った問題として扱われていない。』
この文章の後、希望的観測を謳うファクトフルネスに対して、それでいいのかと疑問を呈する文章が続きます。興味のある方は是非ご一読を。
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FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 (日本語) 単行本 – 2019/1/11
ハンス・ロスリング
(著),
オーラ・ロスリング
(著),
アンナ・ロスリング・ロンランド
(著),
上杉 周作
(翻訳),
関 美和
(翻訳)
&
2
その他
上杉 周作
(翻訳)
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-
本の長さ400ページ
-
言語日本語
-
出版社日経BP
-
発売日2019/1/11
-
寸法21 x 14.8 x 2.5 cm
-
ISBN-104822289605
-
ISBN-13978-4822289607
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商品の説明
出版社からのコメント
愛されて、【5冠】達成!
・2020年間ベストセラー【1位】(ビジネス書、トーハン調べ)
・オリコン年間BOOKランキング2020 ジャンル別「ビジネス書」【1位】
・読者が選ぶビジネス書グランプリ2020 総合グランプリ【1位】(主催:グロービス経営大学院、フライヤー)
・ビジネス書大賞2020【大賞】(実行委員会:ディスカヴァー・トゥエンティワン)
・第30回TOPPOINT大賞【大賞】(2019年上半期TOPPOINT誌調べ)
100万部突破
テレビでも大反響! あさイチ(NHK)、ニュースシブ5時(NHK)、新・情報7daysニュースキャスター(TBS)、NEWS23(TBS)、ワールドビジネスサテライト(テレビ東京)、Newsモーニングサテライト(テレビ東京) オリエンタルラジオ 中田敦彦さんYouTube大学で大絶賛! 「めちゃくちゃ面白い。これは読んでおかなきゃいけない! 」
・2020年間ベストセラー【1位】(ビジネス書、トーハン調べ)
・オリコン年間BOOKランキング2020 ジャンル別「ビジネス書」【1位】
・読者が選ぶビジネス書グランプリ2020 総合グランプリ【1位】(主催:グロービス経営大学院、フライヤー)
・ビジネス書大賞2020【大賞】(実行委員会:ディスカヴァー・トゥエンティワン)
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100万部突破
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内容(「BOOK」データベースより)
ここ数十年間、わたしは何千もの人々に、貧困、人口、教育、エネルギーなど世界にまつわる数多くの質問をしてきた医学生、大学教授、科学者、企業の役員、ジャーナリスト、政治家―ほとんどみんなが間違えた。みんなが同じ勘違いをしている。本書は、事実に基づく世界の見方を教え、とんでもない勘違いを観察し、学んだことをまとめた一冊だ。
著者について
ハンス・ロスリング
ハンス・ロスリングは、医師、グローバルヘルスの教授、そして教育者としても著名である。世界保健機構やユニセフのアドバイザーを務め、スウェーデンで国境なき医師団を立ち上げたほか、ギャップマインダー財団を設立した。
ハンスのTEDトークは延べ3500万回以上も再生されており、タイム誌が選ぶ世界で最も影響力の大きな100人に選ばれた。2017年に他界したが、人生最後の年は本書の執筆に捧げた。
オーラ・ロスリングとアンナ・ロスリング・ロンランド
オーラはハンスの息子で、アンナはその妻。ギャップマインダー財団の共同創設者。オーラはギャップマインダー財団で2005年から2007年、2010年から現在までディレクターを務めている。
アンナとオーラが開発した「トレンダライザー」というバブルチャートのツールをグーグルが買収した後は、グーグルでオーラはパブリックデータチームのリーダー、アンナはシニア・ユーザビリティデザイナーを務めた。
2人はともに功績を認められ、さまざまな賞を受賞している。
ハンス・ロスリングは、医師、グローバルヘルスの教授、そして教育者としても著名である。世界保健機構やユニセフのアドバイザーを務め、スウェーデンで国境なき医師団を立ち上げたほか、ギャップマインダー財団を設立した。
ハンスのTEDトークは延べ3500万回以上も再生されており、タイム誌が選ぶ世界で最も影響力の大きな100人に選ばれた。2017年に他界したが、人生最後の年は本書の執筆に捧げた。
オーラ・ロスリングとアンナ・ロスリング・ロンランド
オーラはハンスの息子で、アンナはその妻。ギャップマインダー財団の共同創設者。オーラはギャップマインダー財団で2005年から2007年、2010年から現在までディレクターを務めている。
アンナとオーラが開発した「トレンダライザー」というバブルチャートのツールをグーグルが買収した後は、グーグルでオーラはパブリックデータチームのリーダー、アンナはシニア・ユーザビリティデザイナーを務めた。
2人はともに功績を認められ、さまざまな賞を受賞している。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ロスリング,ハンス
1948年にスウェーデンのウプサラで生まれた。ウプサラ大学で統計学と医学を学び、インドのバンガロールにある聖ヨハネ医科大学で公衆衛生を学んだあと、1976年に医師になった。1974年から1984年までの間に合計で18カ月仕事を休み、3人の子供の子育てに100%の時間を注いだ。1979年から1981年まではモザンビークのナカラで地域担当の医師として働き、それまで知られていなかった神経が麻痺する病気を発見した。それがコンゾだ。この病気の調査と研究によって1986年にウプサラ大学から博士号を取得した。1997年からはストックホルムにあるカロリンスカ医科大学でグローバルヘルスの教授を務めた。専門は、経済発展と農業と貧困と健康のつながりについての研究だった。カロリンスカ医科大学で新しい授業科目を開講し、提携研究を立ち上げ、グローバルヘルスについての教科書を共著した。2005年には、息子のオーラとその妻のアンナと共にギャップマインダー財団を設立。スウェーデン科学学会の国際分科会メンバーであり、スイスの世界経済フォーラムのグローバル・アジェンダ・ネットワークにも所属していた。2009年にはフォーリン・ポリシー誌からグローバル思想家100人のひとりに選ばれ、2011年にはファスト・カンパニー誌から世界で最もクリエイティブな100人のひとりに選ばれた。また2012にはタイム誌が選ぶ世界で最も影響力の大きな100人のひとりになった。2017年2月7日に他界した。
ロスリング,オーラ
1975年にスウェーデンのフディクスバルで生まれた。ギャップマインダー財団の共同創立者であり、2005年から2007年までと、2010年から現在まで財団のディレクターを務めている。ギャップマインダーのチンパンジクイズを開発し、知識不足を体系的に測定するプロジェクトやその認証プロセスを開発した。データを分析し、ハンスが行うTEDトークや講演の資料をつくってきた。1999年からは「トレンダライザー」として有名になった動くバブルチャートによるツールを開発してきた。2007年にグーグルがトレンダライザーを買収し、2007年から2010年までグーグルのパブリックデータ・チームのリーダーを務めた。その後、ギャップマインダーに戻り、新たな無料教育ツールを開発している。
ロスリング・ロンランド,アンナ
1975年にスウェーデンのファールンで生まれた。ルンド大学で社会学を学び、ヨーテボリ大学で写真を学んだ。ギャップマインダーの共同創立者であり、バイス・プレジデントを務めている。講演者であり、ギャップマインダーの利用者担当リーダーでもある。また、ギャップマインダーのグラフィックやスライドを作成し、動くバブルチャートのユーザーインターフェースも設計した。2007年にトレンダライザーがグーグルに買収されたあと、グーグルでシニア・ユーザビリティデザイナーを務めた。2010年にギャップマインダーに戻り、新しい無料の教育ツールを開発している。ギャップマインダーでの功績が認められ数々の賞を受けている。2017年にレジメ・スーパーコミュニケーター賞、金の卵賞、またファスト・カンパニー誌の世界を変えるアイデア賞を受章した。
上杉/周作
IT技術者。カーネギーメロン大学でコンピューターサイエンス学士、ヒューマンコンピュータインタラクション修士取得。卒業後、シリコンバレーのPalantir Technologies社にてプログラマー、Quora社にてデザイナー、EdSurge社にてプログラマーを経験。現在はフリーランスプログラマーとして活動するかたわら、不定期で実名ブログ「上杉周作」を更新中。
関/美和
翻訳家。杏林大学外国語学部准教授。慶応義塾大学文学部・法学部卒業。電通、スミス・バーニー勤務の後、ハーバード・ビジネス・スクールでMBA取得。モルガン・スタンレー投資銀行を経てクレイ・フィンレイ投資顧問東京支店長を務める。また、アジア女子大学(バングラデシュ)支援財団の理事も務めている。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1948年にスウェーデンのウプサラで生まれた。ウプサラ大学で統計学と医学を学び、インドのバンガロールにある聖ヨハネ医科大学で公衆衛生を学んだあと、1976年に医師になった。1974年から1984年までの間に合計で18カ月仕事を休み、3人の子供の子育てに100%の時間を注いだ。1979年から1981年まではモザンビークのナカラで地域担当の医師として働き、それまで知られていなかった神経が麻痺する病気を発見した。それがコンゾだ。この病気の調査と研究によって1986年にウプサラ大学から博士号を取得した。1997年からはストックホルムにあるカロリンスカ医科大学でグローバルヘルスの教授を務めた。専門は、経済発展と農業と貧困と健康のつながりについての研究だった。カロリンスカ医科大学で新しい授業科目を開講し、提携研究を立ち上げ、グローバルヘルスについての教科書を共著した。2005年には、息子のオーラとその妻のアンナと共にギャップマインダー財団を設立。スウェーデン科学学会の国際分科会メンバーであり、スイスの世界経済フォーラムのグローバル・アジェンダ・ネットワークにも所属していた。2009年にはフォーリン・ポリシー誌からグローバル思想家100人のひとりに選ばれ、2011年にはファスト・カンパニー誌から世界で最もクリエイティブな100人のひとりに選ばれた。また2012にはタイム誌が選ぶ世界で最も影響力の大きな100人のひとりになった。2017年2月7日に他界した。
ロスリング,オーラ
1975年にスウェーデンのフディクスバルで生まれた。ギャップマインダー財団の共同創立者であり、2005年から2007年までと、2010年から現在まで財団のディレクターを務めている。ギャップマインダーのチンパンジクイズを開発し、知識不足を体系的に測定するプロジェクトやその認証プロセスを開発した。データを分析し、ハンスが行うTEDトークや講演の資料をつくってきた。1999年からは「トレンダライザー」として有名になった動くバブルチャートによるツールを開発してきた。2007年にグーグルがトレンダライザーを買収し、2007年から2010年までグーグルのパブリックデータ・チームのリーダーを務めた。その後、ギャップマインダーに戻り、新たな無料教育ツールを開発している。
ロスリング・ロンランド,アンナ
1975年にスウェーデンのファールンで生まれた。ルンド大学で社会学を学び、ヨーテボリ大学で写真を学んだ。ギャップマインダーの共同創立者であり、バイス・プレジデントを務めている。講演者であり、ギャップマインダーの利用者担当リーダーでもある。また、ギャップマインダーのグラフィックやスライドを作成し、動くバブルチャートのユーザーインターフェースも設計した。2007年にトレンダライザーがグーグルに買収されたあと、グーグルでシニア・ユーザビリティデザイナーを務めた。2010年にギャップマインダーに戻り、新しい無料の教育ツールを開発している。ギャップマインダーでの功績が認められ数々の賞を受けている。2017年にレジメ・スーパーコミュニケーター賞、金の卵賞、またファスト・カンパニー誌の世界を変えるアイデア賞を受章した。
上杉/周作
IT技術者。カーネギーメロン大学でコンピューターサイエンス学士、ヒューマンコンピュータインタラクション修士取得。卒業後、シリコンバレーのPalantir Technologies社にてプログラマー、Quora社にてデザイナー、EdSurge社にてプログラマーを経験。現在はフリーランスプログラマーとして活動するかたわら、不定期で実名ブログ「上杉周作」を更新中。
関/美和
翻訳家。杏林大学外国語学部准教授。慶応義塾大学文学部・法学部卒業。電通、スミス・バーニー勤務の後、ハーバード・ビジネス・スクールでMBA取得。モルガン・スタンレー投資銀行を経てクレイ・フィンレイ投資顧問東京支店長を務める。また、アジア女子大学(バングラデシュ)支援財団の理事も務めている。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 日経BP (2019/1/11)
- 発売日 : 2019/1/11
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 400ページ
- ISBN-10 : 4822289605
- ISBN-13 : 978-4822289607
- 寸法 : 21 x 14.8 x 2.5 cm
-
Amazon 売れ筋ランキング:
- 78位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 1位環境・エコロジー (本)
- - 1位仕事術・整理法
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10分ほどで本書のポイントがまとまったものを視聴できる。
そちらをみてから本書に取り組めば、スムーズに理解できるはずだ。
他の多くの方が、詳しくレビューを書いているので
私はこの本の趣旨のみをご紹介する。
本書のテーマはシンプルで
「我々の思い込みの強さは想像以上で
その思い込みにより世界をありのままに見れないということ」につきる。
たとえば、3つのうち1つが正解の問題に出会した時。「人間が何か選択しようとしたとき」の正解率はなんとチンパンジー以下だという。
その理由は、人間がこの世界を認識するときにはかならずバイアス(思い込み)が働くからである。
チンパンジーはランダムに選ぶので、33%で正解するが
人間はバイアスによって正しく物事を捉えることができない。
具体例として、
・人間は、「良いこと」より「悪いこと」の方が目につきやすい。
(昔を懐かしみ、過去を美化しがち)
・人間は無意識に二極化して考えがちである。
(例、富と貧困、正義と悪など。)
・人間はどうしても直線的に考えてしまう傾向がある。
(「このまま人口が増え続けると、世界の人口がパンクする」という思い込みなど)
上記のようなバイアスが紹介される。
おもしろいのは、専門家、学歴が高い人、社会的な地位がある人ほどバイアスに陥りやすいと言うこと。
皮肉にも「俺だけは、正しい」と思い込むのも、これまたバイアスだ。
低レビューの中には「分量が多すぎる。半分でいい」という意見があるが、私はむしろ逆の意見。
なぜならば、例え話が豊富であり、説明が丁寧であるというのがこの本の長所であるからだ。
さらに申し上げれば
「半分でいい」という理由で低レビューをつけてしまうのは、「私には取捨選択能力がありません」と言っているようなものであるし、「(俺は)もう理解できている」「(私は)そんなことを知っている」というバイアスに陥っていることが懸念される。
本というのは言うまでもなく、ひとつの体験である。当然、「自分にとって何が大切であり、どの部分を注意深く理解して、どの部分を読み飛ばしていくのか」という事も重要である。
繰り返すが、「私は理解している」と「これは○○すぎる(この本を分量が多すぎるなど)」と思い込むこともこの本でいうところのバイアスになるので注意は必要であるが。
何はともあれ、
正しく世界を認識するためのスタートとして
とても良いきっかけになることは間違いない。
万人にオススメしたい。
参考になれば幸いである。
10分ほどで本書のポイントがまとまったものを視聴できる。
そちらをみてから本書に取り組めば、スムーズに理解できるはずだ。
他の多くの方が、詳しくレビューを書いているので
私はこの本の趣旨のみをご紹介する。
本書のテーマはシンプルで
「我々の思い込みの強さは想像以上で
その思い込みにより世界をありのままに見れないということ」につきる。
たとえば、3つのうち1つが正解の問題に出会した時。「人間が何か選択しようとしたとき」の正解率はなんとチンパンジー以下だという。
その理由は、人間がこの世界を認識するときにはかならずバイアス(思い込み)が働くからである。
チンパンジーはランダムに選ぶので、33%で正解するが
人間はバイアスによって正しく物事を捉えることができない。
具体例として、
・人間は、「良いこと」より「悪いこと」の方が目につきやすい。
(昔を懐かしみ、過去を美化しがち)
・人間は無意識に二極化して考えがちである。
(例、富と貧困、正義と悪など。)
・人間はどうしても直線的に考えてしまう傾向がある。
(「このまま人口が増え続けると、世界の人口がパンクする」という思い込みなど)
上記のようなバイアスが紹介される。
おもしろいのは、専門家、学歴が高い人、社会的な地位がある人ほどバイアスに陥りやすいと言うこと。
皮肉にも「俺だけは、正しい」と思い込むのも、これまたバイアスだ。
低レビューの中には「分量が多すぎる。半分でいい」という意見があるが、私はむしろ逆の意見。
なぜならば、例え話が豊富であり、説明が丁寧であるというのがこの本の長所であるからだ。
さらに申し上げれば
「半分でいい」という理由で低レビューをつけてしまうのは、「私には取捨選択能力がありません」と言っているようなものであるし、「(俺は)もう理解できている」「(私は)そんなことを知っている」というバイアスに陥っていることが懸念される。
本というのは言うまでもなく、ひとつの体験である。当然、「自分にとって何が大切であり、どの部分を注意深く理解して、どの部分を読み飛ばしていくのか」という事も重要である。
繰り返すが、「私は理解している」と「これは○○すぎる(この本を分量が多すぎるなど)」と思い込むこともこの本でいうところのバイアスになるので注意は必要であるが。
何はともあれ、
正しく世界を認識するためのスタートとして
とても良いきっかけになることは間違いない。
万人にオススメしたい。
参考になれば幸いである。
2019年1月2日に日本でレビュー済み
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世間に広まっている誤ったものの見方と、それが生じる原因について解説してくれる本でした。
以下、個人的な感想です。
良かった点
・多くの人が世の中の間違った見方をしてるという面白い視点を提示していた
・直観と反する面白い統計的事実を豊富に用意していた
惜しかった点
・皮肉にも、ファクトの提示の仕方(グラフの年度、最小値最大値など)そのものが恣意的に感じた
・間違った見方をしてしまう原因(ネガティブ本能、パターン化本能)が起きる理由についての解説が薄かった
・説明がやや冗長に感じた
以下、個人的な感想です。
良かった点
・多くの人が世の中の間違った見方をしてるという面白い視点を提示していた
・直観と反する面白い統計的事実を豊富に用意していた
惜しかった点
・皮肉にも、ファクトの提示の仕方(グラフの年度、最小値最大値など)そのものが恣意的に感じた
・間違った見方をしてしまう原因(ネガティブ本能、パターン化本能)が起きる理由についての解説が薄かった
・説明がやや冗長に感じた
2019年1月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
FACTFULNESS(ファクトフルネス) の肝は「事実に基づいて世界の見方を広げること」にある。
例えば、世界を「先進国か、発展途上国か」と2分し、「世界は分断されている」という思い込みがちである。しかし、西洋諸国とその他の国々というイメージは、乳幼児死亡率、所得、民主化度合い、医療へのアクセスなどのデータを見れば世界のほとんどが中間にある事実から誤りは自明のことだ。
また、「世界がどんどん悪くなっている」というのは本当だろうか。貧困にある人は、過去20年で約半分になり、世界の平均寿命は70歳を超える。奴隷制度、石油流失事故、HIV感染、戦死者、乳幼児の死亡率、児童労働、災害による死者数、飢餓などは減り続け、女性参政権、安全な飲料水、識字率、予防接種などは増え続けている。物事のポジティブな面よりもネガティブなものに気づきやすい本能が災いしている。考えずに感じているだけだ。ネガティブなニュースに気が付くことが大切である。
このように筆者は客観的なデータを掲げ、多くの人が思い込みがちな10の視点を提示する。具体的には、「世界は分断されている」「世界がどんどん悪くなっている」「世界の人口はひたすら増える」「危険でないことを恐ろしいと考えてしまう」「目の前の数字がいちばん重要」「ひとつの例にすべてがあてはまる」「すべてはあらかじめ決まっている」「世界はひとつの切り口で理解できる」「だれかを責めれば物事は解決する」「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込みだ。
しかし、ファクトフルネスを実践し、データや事実にもとづき、世界を読み解き、これら10の思い込みから解放されれば世界を正しく見るスキルが身につく。そして、行動すれば世界はもっと前に進めるのである。
著作の末尾にファクトフルネスの10のルールが記されているので紹介しよう。
「大半の人がどこにいるのかを探そう「悪いニュースのほうが広まりやすいと覚えておこう」「直線はいつかは曲がることを知ろう」「リスクを計算しよう」「数字を比較しよう」「分類を疑おう」「ゆっくりとした変化でも変化していることを心に留めよう」「ひとつの知識がすべてに応用できないことを覚えておこう」「誰かを責めても問題は解決しないと肝に銘じよう」「小さな一歩を重ねよう」。
筆者の最後の一言、「事実に基づいて世界を見れば、世の中もそれほど悪くないと思えてくる。これからも世界をよくし続けるために私たちに何ができるかも、そこから見えてくるはずだ」。至言である。
例えば、世界を「先進国か、発展途上国か」と2分し、「世界は分断されている」という思い込みがちである。しかし、西洋諸国とその他の国々というイメージは、乳幼児死亡率、所得、民主化度合い、医療へのアクセスなどのデータを見れば世界のほとんどが中間にある事実から誤りは自明のことだ。
また、「世界がどんどん悪くなっている」というのは本当だろうか。貧困にある人は、過去20年で約半分になり、世界の平均寿命は70歳を超える。奴隷制度、石油流失事故、HIV感染、戦死者、乳幼児の死亡率、児童労働、災害による死者数、飢餓などは減り続け、女性参政権、安全な飲料水、識字率、予防接種などは増え続けている。物事のポジティブな面よりもネガティブなものに気づきやすい本能が災いしている。考えずに感じているだけだ。ネガティブなニュースに気が付くことが大切である。
このように筆者は客観的なデータを掲げ、多くの人が思い込みがちな10の視点を提示する。具体的には、「世界は分断されている」「世界がどんどん悪くなっている」「世界の人口はひたすら増える」「危険でないことを恐ろしいと考えてしまう」「目の前の数字がいちばん重要」「ひとつの例にすべてがあてはまる」「すべてはあらかじめ決まっている」「世界はひとつの切り口で理解できる」「だれかを責めれば物事は解決する」「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込みだ。
しかし、ファクトフルネスを実践し、データや事実にもとづき、世界を読み解き、これら10の思い込みから解放されれば世界を正しく見るスキルが身につく。そして、行動すれば世界はもっと前に進めるのである。
著作の末尾にファクトフルネスの10のルールが記されているので紹介しよう。
「大半の人がどこにいるのかを探そう「悪いニュースのほうが広まりやすいと覚えておこう」「直線はいつかは曲がることを知ろう」「リスクを計算しよう」「数字を比較しよう」「分類を疑おう」「ゆっくりとした変化でも変化していることを心に留めよう」「ひとつの知識がすべてに応用できないことを覚えておこう」「誰かを責めても問題は解決しないと肝に銘じよう」「小さな一歩を重ねよう」。
筆者の最後の一言、「事実に基づいて世界を見れば、世の中もそれほど悪くないと思えてくる。これからも世界をよくし続けるために私たちに何ができるかも、そこから見えてくるはずだ」。至言である。
2019年1月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
私は日本経済が華やかし1980年代に東南アジアに駐在し、ジャパンアズナンバーワンを体現するが如く現地にて営業マーケッティング活動を行っていました。巷には急激な円高に伴う日本人旅行者が溢れ、昨今の中国人の様に爆買いをしていました。まさに豊かな先進国と貧しい発展途上国の二極化の構図を身を持って経験しました。
その後、日本はバブルが弾け長い景気低迷に入る一方、東南アジア諸国(全てではありませんが)は目覚ましい経済発展を遂げました。現地に度々出張や旅行で渡航する機会があったので、私の東南アジア観は適切なアップデートがなされているものと信じて疑いませんでした。
しかし二十代の若かりし頃の原体験は強烈で、本書を読んで初めてその呪縛に支配されてきたことに気づかされました。分断の時代は終わっていたのです。長い間海外事業に携わり間もなく定年を迎えますが、もっと前に本書に出会えていればと恥ずかしながら思っております。
後進の皆さんには私と同じ轍を踏まないよう本書をお勧めする次第です。
最後に、天国のハンス氏を甦らしたかの様な生き生きとした日本語の語りかけに本書を仕上げてくれた二人の訳者と編集者に心よりの感謝と敬意を表します。
その後、日本はバブルが弾け長い景気低迷に入る一方、東南アジア諸国(全てではありませんが)は目覚ましい経済発展を遂げました。現地に度々出張や旅行で渡航する機会があったので、私の東南アジア観は適切なアップデートがなされているものと信じて疑いませんでした。
しかし二十代の若かりし頃の原体験は強烈で、本書を読んで初めてその呪縛に支配されてきたことに気づかされました。分断の時代は終わっていたのです。長い間海外事業に携わり間もなく定年を迎えますが、もっと前に本書に出会えていればと恥ずかしながら思っております。
後進の皆さんには私と同じ轍を踏まないよう本書をお勧めする次第です。
最後に、天国のハンス氏を甦らしたかの様な生き生きとした日本語の語りかけに本書を仕上げてくれた二人の訳者と編集者に心よりの感謝と敬意を表します。
2019年4月4日に日本でレビュー済み
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やたらと稚拙な仮想敵を作り出し、恣意的なデータ引用で論破した気になっている人の本といった印象です
どこのvipperかと
どこのvipperかと
2019年10月13日に日本でレビュー済み
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まず思ったことはこれが本当にファクトかということ。データとはいくらでも都合のいいように作り上げることができる。大切なのはどうやってデータを取ったのかということ。世界銀行や国連が調査したから正しい?その発想自体がまず間違っている。特に国連は拒否権を持つ常任理事国が固定されており、一部の国に政治利用されている。そのようなバイアスがかかっている現在、単純なグラフだけで世界を把握することはできない。もちろんすべてのデータが間違いとは言わないが、世界には弱者からの声になっていない声(データにのらないデータ)がまだまだ沢山ある。