1997年。「Love Is All Around」での感動が忘れられない。神々しいまでに伸びやかで透明感のある歌声はまさに女神が降臨したかのようだった。それから月日が経つこと10余年。僕の記憶では本作は彼女の3rdアルバムにあたるはず。類稀なる才能がありながら寡作のまま「知る人ぞ知る」的存在になってしまったのは残念だが,今も美しい歌声は健在だ。
天にも昇るほど夢見心地でクールなアップテンポ「Hey Now」,クールで何処となくセンチメンタルなメロディーで小粋にステップを踏む「All For Love」,真夜中の静寂を想起させる幻想的な「Calling Me」の冒頭3曲の出来が素晴しい。中盤ならホーンセクションを起用したジャジーで洒落た雰囲気のバラード「Blue Bird」に,南の島でくつろいでいるかのようなリラックス・ムードの「Never Knew」か。エンディングのタイトル曲は,遠雷とスコールをバックに流れるアコースティック・バラード。こちらもクールで申し分ない。
地味ではあるが,素直に感動できる心地良い歌が堪能出来る1枚。