一番心に残ったのは、ディックとユウトとの恋ではなくて、寧ろコルプス(=ネイサン)とユウトとの関係だった。
↓ネタバレ注意
人間らしさも感情も欠落してまるで殺人ロボットのように遊びのように殺人をできるコルプスに対して、もちろん憎しみはあるだろうけれど、「自分が可哀そうだと気づいていない」と気付いてて深い憐憫の気持ちを抱けるユウトに魅力を感じた。
彼の暴走もまた、自分の本当の名前すら知らないコルプスが唯一自分が自分であるために取った行動なのだとしたら、本当に悲しい。けれど、それを悲しいと思う心はコルプス自身には無い。
「俺が二倍泣いてやる」と言ったユウトの言葉は、コルプス自身を悼む彼の精一杯の友情だと思う。
「シェルガ―刑務所での暮らしがとても懐かしい」と、最後にネイサンと呼んでくれとユウトに言ったコルプスの心が空っぽだったわけではないのだと思うと、涙が止まらなかった。
ネイサンであることを選べなかったのは、彼がそれが本当の自分だと思えなかったからだけど、それでもやはりネイサンはコルプスの一部だったのだとわかるから。
映像で見せられているような錯覚に陥るほどに、色々な場面が目に浮かぶようでした。
「All the President's Men(『大統領の陰謀』)」にテロの要素を加えたようなスケールの大きな舞台背景に加えて、コロンビアでの戦闘の場面はまるでアクション映画を見ているような気分にさせられたし、漆黒の水平線から差し込む一条の朝日だとか、最後のきれいな海と白い砂浜だとか…場面場面の迫力と美しさに心惹かれます。
迫力満点‼ 映画にならないかな…
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