Windowsプログラミングの雄、チャールズ・ペゾルドが10年来あたため続けてきたという注目の企画が、ついに1冊の本になった。
本書はコンピュータの動作を根本から解説するもので、データのやり取りを中心に、コンピュータの動作原理を解説している。序盤では点字やモールス信号などを題材とするコードの歴史と、実際に通信や演算を行うためのハードを詳細に扱っている。中盤からは、2進数の処理、リレーによる演算の方法、メモリやオートメーション、終盤ではプロセッサの構造から低級言語・高級言語、OSなどにも触れている。
計算機工学、論理回路学などの高度な内容にも触れているため、理系の、できれば工学系の知識がある方が望ましい。とはいえ、読み物形式なので、順番に読んでいくことで予備知識がない方でも理解することはできるはずだ。懐中電灯、黒猫、シーソーなど、一見コンピュータと何の関係もなさそうな例をもとに、コンピュータのしくみを明かしているのは、本書の最大の魅力である。
先に述べた内容以外にも、ファイル形式や開発環境、グラフィックに関する解説など、まさしくコンピュータに関わるすべてに言及している。とくにプロセッサやOS、アプリケーションなどの歴史に関する部分は興味深い。数学的な部分にあまり興味がない方にとっても、読む価値は十分にあるだろう。コンピュータの動作や根本原理を知りたいという知的好奇心あふれる読者に、ぜひおすすめしたい1冊である。(斎藤牧人)
CODE コードから見たコンピュータのからくり コンピュータが動く仕組みを一般向けに解説した書と言えば,CPUが2進数で計算する様子を図やたとえ話を駆使して説明した本を思い浮かべるかもしれない。だが本書は違う。モールス符号と点字を例に情報の符号化について触れた後,2進数と論理演算,リレーによる論理ゲートの構成と進み,実際に仮想的な8ビット・コンピュータを作るところまで解説している。後半ではIntel 8080やIBM PCのアーキテクチャについても触れる。
ハードウエア・レベルまで掘り下げて解説しているおかげで,具体的なイメージがわきやすい。「プログラミングWindows」の著者として有名なPetzold氏が書いただけのことはある。歴史の部分だけを読んでも楽しめるので,とりあえず手にとってみてほしい。
( 日経ソフトウエア)
(日経ソフトウエア 2003/07/01 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
-- 日経BP企画
内容(「MARC」データベースより)
馴染み深い点字やモールス信号などのコードを通してコンピュータに隠された背景や仕組みを読み解いていく。単純なものの組み合わせとしてその本質に迫る一冊。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ペゾルド,チャールズ
パーソナルコンピュータとプログラミングについて15年以上執筆活動を続けてきた。彼の傑作『プログラミングMicrosoft Windows第5版』(現在は.NET版の『C#によるプログラミングMicrosoft Windows』)は同世代のプログラマ全員に影響を与えた。技術的知識のレベルに関わらず、コンピュータの仕組みに興味を持つ読者ならこの本を通じてこの天与の教師であり伝達者である著者に出会うことができる。ニューヨーク市在住
永山/操
1991年スタンフォード大学大学院数学科博士課程修了。Ph.D。専門は数理論理学、特にコンピュータの働きを理解するのに役立つ数学的理論を研究している。現在、東京女子大学文理学部数理学科助教授として、Cプログラミングと数理論理学の講義を担当。インターネット技術者認定試験協会理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)