当時のCIAが如何にしてマインドコントロールの実験を行っていたかが一次資料により詳細に書かれている。
結果として手法自体は見つからなかったとされているが真相はいまだに闇の中だそうだ
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CIA裏面史:薬物と洗脳、拷問と暗殺 単行本 – 2020/1/22
スティーブン・キンザー
(著),
花田 知恵
(翻訳)
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CIAの薬物実験・拷問による尋問など無法とも言える極秘洗脳工作の全貌を、元ニューヨーク・タイムズの敏腕記者があぶり出す!
旧日本軍731部隊との「つながり」も見逃せない語られざる秘史。
《アーティチョーク》計画はCIAの強い確信から生まれた。人間の思考を操る術はどこかにあり、もしそれが発見できたら、世界で優位に立てるのは間違いない。シドニー・ゴットリーブと彼の同僚たちが催眠術と電気ショックの分野に傾倒していた頃、じつは彼らが最も魅了されていたのは薬物だった。精神薬理学の未踏域のどこかに、発見されるのを待っている夢の薬がある。それはおそらく奇跡に近いものだ。手に負えない頑固者が口を割る「自白剤」、心を開き、操られるままになる薬、どんな記憶も消し去る薬。
彼らが最初に期待した薬物は、大麻の有効成分、テトラヒドロカンナビノールだった。CIA設立前、戦略情報局の科学者たちがこの成分を精製し、無色透明、無味無臭の濃い液体をつくっていた。その効力に絶対の自信を持っていた彼らは「自白剤」の頭文字を取ってTDというコードネームをつけた。何か月も自ら実験台になってテストし、キャンディやサラダドレッシング、マッシュポテトに様々な分量を混ぜて摂取した。それから、たばこにして吸ってみた。この試みは今から思えば当然の結論を導き出した。大麻の有効成分は「無責任な状態」を引き起こし「あらゆる抑制がゆるむようだ……ユーモアの感覚が鋭くなり、どんな言葉も、どんな状況もとてもおかしく感じる」。これでは尋問に役立つ道具には到底なり得ない。研究者たちは次に進んだ。
次の候補はコカインだった。CIAは精神疾患の患者に、注射をはじめ様々な形でコカインを投与する実験を支援していた。初期のある報告には、コカインは高揚状態と多弁を誘発するとある。のちの実験では「好き勝手な、自発的な発言」が誘発されることが示唆された。しかし、その喜びもつかの間、コカインは「特殊な尋問」で使うには信頼性が足りないこともわかった。
大麻とコカインに期待を裏切られた研究者たちはヘロインに目を向けた。現存するCIAのメモには、ヘロインは「警察や情報機関ではひんぱんに使用され」、これと他の依存性薬物は「常用者から取り上げると禁断症状のストレスを起こすので、逆に役立った」とある。一九五〇年末、アメリカ海軍は《チャター》という秘密計画のもと、ロチェスター大学心理学部長G・リチャード・ウェントにヘロインの効果を調べる研究費として三〇万ドルを提供した。ウェントはミニ研究室をつくり、そこで学生たちに一時間一ドルの報酬を払って決まった服用量を与え、その反応を観察した。だが、ヘロインもコカイン同様、奇跡の薬ではないことがわかった。ウェントは「尋問にはほとんど役に立たない」という結論を出さざるを得なかった。
二〇世紀初めに人工的に合成された初の向精神薬、メスカリンは決め手となるだろうか? キャンプ・ディートリックの科学者はその可能性に心を奪われた。彼らは、ダッハウ強制収容所で囚人に行われたメスカリンの実験について、長時間ドイツ人科学者たちを尋問した。それらの実験結果にはばらつきがあったが、ナチの医師たちはメスカリンにはまだ知られていない効力があるかもしれないと考えていた。《ブルーバード》に携わっていた医師の何人かはこの見解に励まされた。しかし、結局、メスカリンの効果は―大麻、コカイン、ヘロインと同様―あまりにも予測不可能で、マインド・コントロールには使えない、ということがわかった。
ゴットリーブはこの職務に就いて最初の数か月間、積み上げられた実験記録を読んで過ごした。それには、催眠術をはじめ感覚遮断や電気ショック、覚醒剤と精神安定剤を交互に投与すること、様々な形状に精製した大麻、メスカリン、コカイン、ヘロインなど、人間の心理に到達するために試された様々な媒体と手段が詳しく説明してあった。ゴットリーブはそれらを読み進めるうちに疑問に思った。なぜLSDがないのだ?
――本文より
旧日本軍731部隊との「つながり」も見逃せない語られざる秘史。
《アーティチョーク》計画はCIAの強い確信から生まれた。人間の思考を操る術はどこかにあり、もしそれが発見できたら、世界で優位に立てるのは間違いない。シドニー・ゴットリーブと彼の同僚たちが催眠術と電気ショックの分野に傾倒していた頃、じつは彼らが最も魅了されていたのは薬物だった。精神薬理学の未踏域のどこかに、発見されるのを待っている夢の薬がある。それはおそらく奇跡に近いものだ。手に負えない頑固者が口を割る「自白剤」、心を開き、操られるままになる薬、どんな記憶も消し去る薬。
彼らが最初に期待した薬物は、大麻の有効成分、テトラヒドロカンナビノールだった。CIA設立前、戦略情報局の科学者たちがこの成分を精製し、無色透明、無味無臭の濃い液体をつくっていた。その効力に絶対の自信を持っていた彼らは「自白剤」の頭文字を取ってTDというコードネームをつけた。何か月も自ら実験台になってテストし、キャンディやサラダドレッシング、マッシュポテトに様々な分量を混ぜて摂取した。それから、たばこにして吸ってみた。この試みは今から思えば当然の結論を導き出した。大麻の有効成分は「無責任な状態」を引き起こし「あらゆる抑制がゆるむようだ……ユーモアの感覚が鋭くなり、どんな言葉も、どんな状況もとてもおかしく感じる」。これでは尋問に役立つ道具には到底なり得ない。研究者たちは次に進んだ。
次の候補はコカインだった。CIAは精神疾患の患者に、注射をはじめ様々な形でコカインを投与する実験を支援していた。初期のある報告には、コカインは高揚状態と多弁を誘発するとある。のちの実験では「好き勝手な、自発的な発言」が誘発されることが示唆された。しかし、その喜びもつかの間、コカインは「特殊な尋問」で使うには信頼性が足りないこともわかった。
大麻とコカインに期待を裏切られた研究者たちはヘロインに目を向けた。現存するCIAのメモには、ヘロインは「警察や情報機関ではひんぱんに使用され」、これと他の依存性薬物は「常用者から取り上げると禁断症状のストレスを起こすので、逆に役立った」とある。一九五〇年末、アメリカ海軍は《チャター》という秘密計画のもと、ロチェスター大学心理学部長G・リチャード・ウェントにヘロインの効果を調べる研究費として三〇万ドルを提供した。ウェントはミニ研究室をつくり、そこで学生たちに一時間一ドルの報酬を払って決まった服用量を与え、その反応を観察した。だが、ヘロインもコカイン同様、奇跡の薬ではないことがわかった。ウェントは「尋問にはほとんど役に立たない」という結論を出さざるを得なかった。
二〇世紀初めに人工的に合成された初の向精神薬、メスカリンは決め手となるだろうか? キャンプ・ディートリックの科学者はその可能性に心を奪われた。彼らは、ダッハウ強制収容所で囚人に行われたメスカリンの実験について、長時間ドイツ人科学者たちを尋問した。それらの実験結果にはばらつきがあったが、ナチの医師たちはメスカリンにはまだ知られていない効力があるかもしれないと考えていた。《ブルーバード》に携わっていた医師の何人かはこの見解に励まされた。しかし、結局、メスカリンの効果は―大麻、コカイン、ヘロインと同様―あまりにも予測不可能で、マインド・コントロールには使えない、ということがわかった。
ゴットリーブはこの職務に就いて最初の数か月間、積み上げられた実験記録を読んで過ごした。それには、催眠術をはじめ感覚遮断や電気ショック、覚醒剤と精神安定剤を交互に投与すること、様々な形状に精製した大麻、メスカリン、コカイン、ヘロインなど、人間の心理に到達するために試された様々な媒体と手段が詳しく説明してあった。ゴットリーブはそれらを読み進めるうちに疑問に思った。なぜLSDがないのだ?
――本文より
- 本の長さ424ページ
- 言語日本語
- 出版社原書房
- 発売日2020/1/22
- ISBN-104562057211
- ISBN-13978-4562057214
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商品の説明
著者について
【著者】
スティーブン・キンザー(Stephen Kinzer)
ニューヨーク・タイムズ紙元支局長(ニカラグア、ドイツ、トルコ)。海外特派員として受賞歴もある。現在はブラウン大学ワトソン国際関係研究所のシニアフェロー。ボストン・グローブ紙向けに世界情勢に関するコラムを執筆。既訳書に『ダレス兄弟:国務長官とCIA長官の秘密の戦争』があるほか、『The True Flag』『Overthrow』『All the Shah's Men』など9冊の著書がある。ボストン在住。
【訳者】
花田知恵(はなだ・ちえ)
愛知県生まれ。英米翻訳家。主な訳書にフリューシュトゥック『不安な兵士たち ニッポン自衛隊研究』、ハーディング『ドイツ・アメリカ連合作戦』、ホフマン『最高機密エージェント』、ゴールデン『盗まれる大学』、ガス『脱走王と呼ばれた男』などがある。
スティーブン・キンザー(Stephen Kinzer)
ニューヨーク・タイムズ紙元支局長(ニカラグア、ドイツ、トルコ)。海外特派員として受賞歴もある。現在はブラウン大学ワトソン国際関係研究所のシニアフェロー。ボストン・グローブ紙向けに世界情勢に関するコラムを執筆。既訳書に『ダレス兄弟:国務長官とCIA長官の秘密の戦争』があるほか、『The True Flag』『Overthrow』『All the Shah's Men』など9冊の著書がある。ボストン在住。
【訳者】
花田知恵(はなだ・ちえ)
愛知県生まれ。英米翻訳家。主な訳書にフリューシュトゥック『不安な兵士たち ニッポン自衛隊研究』、ハーディング『ドイツ・アメリカ連合作戦』、ホフマン『最高機密エージェント』、ゴールデン『盗まれる大学』、ガス『脱走王と呼ばれた男』などがある。
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登録情報
- 出版社 : 原書房 (2020/1/22)
- 発売日 : 2020/1/22
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 424ページ
- ISBN-10 : 4562057211
- ISBN-13 : 978-4562057214
- Amazon 売れ筋ランキング: - 490,605位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 379位アメリカのエリアスタディ
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
5つ星のうち3.4
星5つ中の3.4
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