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アイドルとか全然興味なかったけど、コンポーザー陣・演奏陣がガチすぎて思わずファンになってしまった、って言う人いるじゃないですか。ベビメタとかももクロのファンにそういう人多いと思うんだけど。そういう、「純粋な音楽好き」層を狙い撃ちしたようなアイドルグループが最近増えてきていると感じます。
この「・・・・・・・・・」もまさにその一つであると言えます。音楽的には、大々的に謳われている通り、ポップなシューゲイザーが基本です。My Bloody Valentineを現代の日本人好みに加工した感じです。Lushとかね。もう少し正確に言うとKeith CanisiusとかUlrich SchnaussとかGuitar（っていうユニットね）が近いかな... それから、（この作品に限ってはあまり当てはまりませんが）90年代のエモコアの要素もけっこう強く、Texas Is The ReasonとかThe Promise Ringあたりが好きなリスナーに対して明らかに色目を使っているのが分かります。
この「CD」という作品は1時間12分超の1トラックのみというとんでもない構成ですが、4～5分程度のシングル曲3曲をインタールードでつなぎ合わせて、残り50分程度はアンビエントパートというものになっています。現代の東京の情景をイメージして作られたという、無機質でありながらどこかセンチメンタルなノイズの応酬です。でもぶっちゃけこの50分は環境音楽に理解のある人でないと最後まで聞きとおせないと思います。ただし歌モノの3曲は極上です。
こんなふうに、わかる人にしかわからない音楽的な蘊蓄を述べましたが、肝心な、このアイドルグループのメンバーについて言及することができない。なぜかというと、彼女らには暗号化された謎の呼称が存在するだけで、全員常時覆面であり、ひとりひとりのパーソナリティを認識するのが極めて困難だからです。
音楽的にはとても本格的に作られていて、上述のような音楽が好きな人だったら大多数が高評価を下すであろうクオリティです。もっと聴きたい！と思わせるレベルです。しかし、そんな本格的で素晴らしい音楽を、パーソナリティを極力抑制させた覆面アイドルに歌わせる必要があるのか？ と思ってしまう。音楽的・アート的探究心にあふれた意識の高い大人の表現活動のツールとして、パペットともロボットともとれる存在に押しやられている女の子たちを思うと（さらにたちの悪いことに、未成年である彼女たちにはそんな状況を自覚してすらいないかもしれない）、何とも不憫に思えてならないのです。「アイドルはツールになり下がったのか？？」などと、クドクドと善人ぶった考察に耽ってしまうのです。
そもそもバンド名も、・・・・・・・・・というよくわからない名前で、読み方も定まっておらず、いかにも検索エンジン泣かせです。作品名も「CD」とか、あざといほどテキトーです。
全く売る気がない姿勢であることがうかがえます。もちろん狙ってやってるんでしょうけど。当世風にいえば「ロックな姿勢」であるし、これも一つのアートでありプロデューサーの哲学なんだなと思うわけです。
しかしながら、先述したように女の子の扱いには疑問を抱かずにはいられない部分もあり、そういう要素がこのグループ、この作品の評価をとても難しくします。こうやってリスナーを混乱させていくことも、プロデューサーの狙いなのかもしれません。わたしはまさにその術中にはまっている。実につかみどころがありませんが、今後の動きから目が離せません。
CD
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登録情報
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曲目リスト
ディスク：1
1. tokyo
商品の説明
内容紹介
本作『CD』は・・・・・・・・・初の全国流通音源であり、これでもかと変な要素を詰め込んだ、アイドル史に残る1枚となりました。90sUK感を匂わせる『スライド』はForTracyHydeの管梓が提供。エレクトロシューゲイザーを絶妙な塩梅でエレポップに傾けた『トリニティダイブ』は、「あヴぁんだんど」や「アシモフが手品師」で知られるteoremaaが提供。国内外のシューゲイザーバンドのいいとこどりをしたゆるふわシューゲポップ『ねぇ』、そして、この3曲をベースとしながら、日本ドローン界の雄hakobuneがディレクション、ノイズやアンビエント等を用いて1トラック72分に仕上げました。 72分の音の波から、ぽこっぽこっと浮かび上がってくる個々の楽曲、音の波から楽曲が生まれ、楽曲はまた音の波に還っていく…そんな体験をイメージしました。 また、つなぎの箇所で使われる音にも趣向を凝らしており、例えばメンバーの本物の鼓動音が用いられていたり、また50分近くあるノイズパートはメンバーの生演奏をレコーディングしたものでほぼ加工なしです。 是非リピートして聴いてみてください。そこにはTokyo=都市=アイドルを感じられるはずです。
メディア掲載レビューほか
本作は初の全国流通音源であり、これでもかと変な要素を詰め込んだ、アイドル史に残る1枚となった。 (C)RS
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