UKのダウンテンポDJ、Bonoboことサイモン・グリーンの傑作CD。
この方は10年以上前にイビサチルアウトのコンピレーションCDで知ったが
本人の作品を聴く機会は遅れ、もっと早くから出会っておくべき音楽だったな
とこのCDを聴いて実感した。
作品は、美しいストリングスを中心としたアコースティックサウンドに
ゆったりとしたBPMのビートが重なる独自の音。途中随所に民族音楽や
ジャズの影響も垣間見せながら、流れるように音世界を展開する。
まさにジャケットの雰囲気どおり、深い森林の静謐と時折のざわめきを
感じさせるような不思議な魅力を伝えてくれる。
アコースティック+電子音というと、あまたのピアノハウスなどを思い起こすが
この作品は感動を安売りするがごとき、あざといメロディやケレンを廃し
ストイックな音世界を展開することで、それがむしろ精神の深いところまで
共鳴すると感じる。
たとえば夜疲れたときに聴いてもよいし、雨の日曜日の読書などにも最適だろう。
エレクトロの精神性をあくまでも優雅に表現した本作は満点で評価したい。