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Black Box 単行本 – 2017/10/18
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- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2017/10/18
- 寸法18.8 x 13 x 1.6 cm
- ISBN-104163907823
- ISBN-13978-4163907826
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商品の説明
メディア掲載レビューほか
痛々しいほど切実
2015年4月3日夜、『Black Box』の著者であるジャーナリストの伊藤詩織は、以前から就職の相談をしていた当時のTBSワシントン支局長と会食した。数時間後、泥酔して記憶をなくした彼女が下腹部に激痛を感じて目を覚ますと、信頼していた人物は全裸の自分の上にいた。そこは、彼が滞在しているホテルの部屋だった。一方的な性行為が終わってベッドから逃げだした彼女が下着を探していると、「パンツくらいお土産にさせてよ」と彼が声をかけてきた。
当事者しか知りえない密室のやりとり、そして、レイプの被害届と告訴状を提出したからこそ直面した司法やメディアの壁について、伊藤はこの本で詳細に記している。
本当は書きたくなかったに違いない。しかし、ようやく準強姦罪の逮捕状が出たにもかかわらず、当日になって警視庁刑事部長の判断で逮捕見送りになり、さらには不起訴処分となった以上、伊藤も覚悟を決めたのだろう。今年の5月には「週刊新潮」の取材を受け、検察審査会への申し立てを機に記者会見を開いた。審査会が「不起訴相当」と議決した際には、日本外国特派員協会で会見に臨んでみせた。
マスコミの反応は今も鈍く、ネットでの誹謗中傷は続いている。そんな状況下で伊藤はこの本を上梓したのだが、通読して強く感じるのは、ジャーナリストとして真実に迫りたいという彼女の心意気だ。それは痛々しいほど切実で、心労で苦しみながら核心へと迫り、権力の傲慢さとともにレイプ被害にまつわる法や社会体制の不備──ブラックボックス──の実相を具体的に伝えてくれるのだった。
評者:長薗安浩
(週刊朝日 掲載)内容(「BOOK」データベースより)
著者について
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
1989年生まれ。ジャーナリスト。フリーランスで、エコノミスト、アルジャジーラ、ロイターなど、主に海外メディアで映像ニュースやドキュメンタリーを発信する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
著者について

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カスタマーレビュー

上位レビュー、対象国: 日本
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「これ、本当? 嘘でしょう?」と思った。著書が数十冊もある誰もが知っている大物ジャーナリストでさえ、ここまでいっているかどうかである。それを執筆当時20代の無名のジャーナリスト希望者でしかなかった伊藤さんが、こんなこと信じられるだろうか。これが本当なら、2017年時点で彼女は色々な雑誌に寄稿していて、著書も数点あるはずだが、未だに彼女の著書はこの「Black Box」1点だけである。
仕事などではなく、趣味で(自費で)数十ヶ国訪れた人ももちろんいるが、睡眠時間を削ってアルバイトの掛け持ちをして過労死してしまうかもしれない(P33~34、P40~41)状態だった伊藤さんにそんな余裕があったとは思えない。
また〈山口氏の帰国に合わせ、成田空港で逮捕する、という連絡が入ったのは、6月4日、ドイツに滞在中のことだった。〉(P132)とか、〈(イスラエルの)エルサレムの旧市街を歩いていると、高輪署のA氏の上司から連絡があった。〉(P140)だの、無給のインターンでサイドワークでやっと生活していた(P40)彼女が、どうしてこうも海外にいられたのか不思議である。
また、警察が被害者にこれだけ捜査状況を知らせるのは不自然極まりない。警察官が当事者に、被疑者の逮捕予定日を事前に知らせるなど、違法行為であり、懲罰の対象になる行為ではないか。ある警察官が違法を承知で彼女に情報漏洩したのなら、「このことは他言しないでくれ」の一言くらいあったはずだが、それもなかったのだろうか。
更に、その捜査員は空港からドイツにいる伊藤さんに電話して、警視庁のトップの指示で逮捕が中止になったことや、山口氏が目の前を通過するところを見届けたという報告をし、彼女に謝罪までしたという(P133~135)。警察官としての行為を明らかに逸脱していると言える。
伊藤さんは、自分はお酒にはとても強く(P98)、2015年4月3日のあの日、それほどお酒を飲んでおらず、あの程度の酒量で意識を失うなどあり得ない(P68)、だからドラッグを盛られたと思うと書いているが、串焼き屋の女将も寿司屋の店主も店員も、彼女は相当量のお酒を自分で注いで飲んでいたと証言している。またVISAの話は出なかったように書いているが(P47)、串焼き屋の女将は、伊藤さんがしつこいくらいVISAの話をしていたと言っているし、病院のカルテにも、VISAの話をしたことが書かれている。
寿司屋で伊藤さんは酔ってハイヒールを脱ぎ、裸足で店内を歩き回り、他の客に割り込み、話し込んでいた。こんな大酒・泥酔する女性客は珍しく、印象に残ったと店主は言う。その間、山口氏はたまたま隣席にいた同店常連のタレント"さかなクン"と話し込んでいた。また伊藤さんはトイレで寝ていたところを発見され、店員から介抱された後も、日本酒を注文して手酌で飲み始めたという。
本人の主張と複数の第三者の証言のどちらが信用できるか、言うまでもないだろう。本人は嘘をついていなくても、記憶違いということもある。〈追記:しかし山口氏は、これらの証言を裁判所に提出していなかった。刑事訴訟で不起訴になったため、油断したのだろうか。完全な作戦ミスである。〉
伊藤さんがドラッグを盛られたという客観的な証拠はない。血液検査も毛髪検査も受けなかった理由を伊藤さんは、「一回の使用ではすぐに体内から出てしまう」と友達から言われた(P69)とか、「一回の睡眠薬の服用ではほとんど体内に残らず、覚せい剤の常習犯などと違って毛髪にも残らないので、今からやっても意味はない」と相談した警察官から告げられた(P98)と述べている。2015年と現在とでは事情は違うかもしれないが、ドラッグを盛られたという確信があれば、検査を強く要求すべきだった。
NHKの「クローズアップ現代」で、デートレイプドラッグについて取り上げていた(2019年7月)。居酒屋(画面には三方向を壁と衝立で仕切られた店の模様が映し出されている)で男性と二人きりで飲食していた女性が突然意識を失い、気が付いたら翌朝になっていた。その間の記憶が全くないので、警察に行ったところ、警察官は、女性がその時間帯に男性と一緒に歩いている防犯カメラの映像を見せて、「この通り、あなたはその時間に男性と一緒に歩いていたんですよ。これでは立件できません」と言われた。防犯カメラに写っていたのは紛れもなく自分だったが、納得のいかなかった女性は性暴力被害者支援センターに連絡して、そこでサポートを受けた後、再び警察に行くと、警察は新しく開発された毛髪鑑定をしてくれた。そして4ヶ月経っていたにも関わらず、ドラッグが検出されたので、逮捕にこぎつけたということである。確かな証拠があれば、逮捕されるのである。
また山口氏によれば、警察は氏のパソコン、携帯、所持品を徹底的に洗って、ドラッグを購入した形跡が全くないことを確認したという。伊藤さんはP181で〈これらの犯罪に使われる睡眠薬や睡眠導入剤などは、極めて入手が容易だ。〉と書いているが、実際には医者の処方箋がないと買えないため、ドラッグを使った犯罪は医療関係者によることが多いという。ブラックマーケットで購入すれば、必ず証拠が残るため、まともな社会人にとってはリスクが高すぎるといえる。
またP49に〈(パソコンの)角度から、直感的に「撮られている」と感じた。〉とあるが、そのパソコンにはカメラ機能がなかったことも確認された。警察がその程度の捜査をしていないはずがない。
伊藤さんは民事訴訟で「ドラッグを盛られた」と主張していない。証拠がないのにそんな主張をすれば、裁判官の心証を悪くすることが分かっているからだろう。2019年7月8日の公判でも、伊藤さんは「ドラッグを盛られたという確証はしていない」と答えている。
P49からP56にかけての暴行の描写は凄まじい。
〈体のところどころが赤くなり、血も滲んで傷ついた自分の姿が(大きな鏡に)映っていた。〉(P50)、〈体と頭は押さえつけられ、覆い被さられていた状態だったため、息ができなくなり、窒息しそうになった私は、この瞬間「殺される」と思った。〉(P51)、〈あざや出血している部分もあり、胸はシャワーをあてることもできないほど痛んだ。〉(P55~56)、〈(夜12時前に帰宅した時には)右膝が激しく痛み、歩けないほどになっていた(と言いつつ、その翌日、友達と食事に出かけている)。〉(P65)など、これらは準強姦ではなく、強姦致傷だろう。特に膝の怪我は酷く、〈「凄い衝撃を受けて、膝がズレている。手術は大変なことだし、完治まで長い時間がかかる」。診察した男性の医師は、そう言った。〉(P66)とあるが、これらも証拠無しである。
最初に行った産婦人科のカルテには、性交の時間は「2~3時」となっており、伊藤さんの話と一致しない。山口氏の話と一致する。〈追記:山口氏が最初に答弁書を書いた時点では、このカルテを見ておらず、カルテの内容は当然知らなかった。〉
胸の傷やアザはカルテも写真も無し。伊藤さん自身、誰にも見せていないと公判で言っている。この書には、親身になってくれた友達が度々出てくるが、なぜ彼女らに傷を見せなかったのだろう。またこれほどの暴行を受けたのなら、通常顔面にも傷があるはずである。
膝の傷は整形外科のカルテはあるが、「右膝内障、右膝挫傷」としか書かれていないし、重症でない証拠はある。4月4日の午前5時50分過ぎに、伊藤さんがシェラトンホテルを立ち去る姿が3台の監視カメラに映っているが、伊藤さんはハイヒールで大股で闊歩している。髪も服装も整っていて、数十分前に強姦され、深刻な暴行を受けた人の姿には到底見えない。スマホをチェックする姿も日常そのものである。
整形外科医のセリフはバカバカしくて話にならないレベルである。レントゲンも撮っていないし、その後の通院も手術の記録も無し。嘘だということが丸分かりではないか。第一、道具も使わず、人力だけで膝をずらすことが物理的に可能なのか。〈追記:また受傷の日は3月31日となっており、この件と全く無関係な傷であることは明らかである。〉
また4月17日に、性暴力の被害者に前向きに対応しているという婦人科の検査で、妊娠の可能性がないことと外傷がないことが確認された(P81~82)。その翌日から、伊藤さんは山口氏に、妊娠の可能性を訴える脅迫メールを執拗に送るようになるのである。
伊藤さんは当初から強姦や暴行について警察に訴えていたというが、それなら警察は間違いなく山口氏を傷害罪か強姦致傷罪で逮捕したはずである。証拠が残りにくい準強姦と違って、暴行による傷害は目に見えるはっきりとした証拠があり、立件のハードルは低いのである。
不自然な点は他にもある。P50でバスルームに逃げ込んだ伊藤さんは、〈ヒゲそりなどの男性もののアメニティが、広げられた小さな白いタオルの上に、いやに整然と並んでいた〉ことから、そこが〈山口氏が滞在しているホテルだと気づいた〉が、そのすぐ上にはフロントに通じる電話機が壁にかかっていたのである。アメニティの並び方に気付くほど意識がしっかりしていた彼女が、目立つ場所にある電話機に気付かないことがあるだろうか。また連泊していてバスルームに電話があることを知っていた山口氏が、すんなり伊藤さんをバスルームに行かせるだろうか。
更に"強姦魔”から逃れてバスルームに逃げ込んで鍵をかけていた彼女が、〈意を決してドアを開けると〉、すぐ前に立っていた山口氏に〈肩をつかまれ、再びベッドに引きずり倒された〉というのである。凶悪犯からやっとの思いで逃げ出した女性が、ドアを開けて凶悪犯のいる場所に再び出向くなどということがあるだろうか。
そして、P117で初めて、〈元検事の叔父〉が登場するが、遅すぎないか。P89で彼女は、弁護士に相談したとある。身近に法律の専門家がいながら、なぜ彼女はすぐに叔父に相談しなかったのか。また彼女はその叔父にも弁護士にも、怪我のことを訴えていないようなのである。訴えていたら、準強姦ではなく、強姦致傷だと彼らは助言したはずである。
2015年の刑事訴訟で伊藤さんは準強姦しか訴えていない。P49からP56にかけての暴行の描写は、2017年に作られた話であると思われる。〈追記:実際の性被害者であるキャサリン・ジェーン・フィッシャーの体験を参考にしたと言われている。〉
追記:2019/12/16
〈10月8日の最終弁論で、伊藤さんはそれまで主張していた強姦・暴行・傷害・傷害致死未遂などの被害を一切語らず、訴えを準強姦だけにとどめた。突っ込まれれば、ボロが出ることが分かっているからだろう。創作である確信がますます強まった。〉
2人がタクシーを降りてホテルに向かう映像やロビーを横切る映像は、残念ながら見ることができない。閲覧制限がかかっているからである。伊藤さんがホテルを出るときの映像も伊藤さんのカルテも多くが制限がかかっているが、制限がかかる前に拡散されたものがあって、見ることができた。
P79~80のホテルの防犯カメラの描写で、〈山口氏は、上半身を後部座席に入れて私を引きずり出した。〉とあるが、実際に見た人々は、伊藤さんは足から出ており、引きずり出されてなどいないと言っている。また〈歩くこともできず抱えられて運ばれる私の姿〉〈山口氏に抱えられた私は足が地についておらず、前のめりのまま、力なく引きずられ、エレベーターの方向へ消えていった。〉とあるが、そのような場面はどこにもなく、伊藤さんは山口氏に片手で軽く支えられ、時々ふらついてはいるが、自力歩行していたとも言っている。写真を見ると、山口氏の片手は荷物でふさがっており、片手で意識不明の成人女性を抱えるのは無理である。
そして次の〈最後の映像は、明け方に私がうつむきながら、足早にホテルを去って行く映像だった。〉は、「私が歩きスマホをしながら、足早にホテルを去って行く映像だった。」とすべきだろう。
山口氏は一切閲覧制限をかけていないという。伊藤さんのカルテを非公開にできるのは、伊藤さん側の人間だけであることは言うまでもないだろう。"Open the black box" などど言っておきながら、open にすることを拒んでいるのは伊藤さんの方である。
最初に行った近くの産婦人科で、女医さんから事務的な応対をされたことを〈取りつく島もなかった〉(P62)とか、警察の対応が悪い、性暴力被害者を支援するNPOの対応が悪い(P63)、ホテルの対応が悪い(P128~129)と批判ばかり。あまりに自己中心的なのに、読んでいて不快になった。特に、予約がないと駄目なところを無理を言って診てもらった産婦人科を悪く言うのには唖然とした。
また〈警視庁が、消去データの復旧作業すら行っていない可能性もある。〉(P163)とか、〈(具体例なく)自宅周辺で不審な動きを感じて〉(P225)とか、〈ここまで深く政権と繋がっているTBSのワシントン支局長に物申すのだから〉(P230)など、非常に思い込みの激しい非論理的な思考の持ち主だと感じた。
伊藤さんや彼女の支援者らは、山口氏が不起訴になったことをさも不当であるかのように主張しているが、物的証拠がないのであれば、不起訴は当然ではないか。証拠がないのに、逮捕状が出たことこそ、不思議である。物証が無いに等しいのに、逮捕を強行して、後に無罪が確定して、警察や検察が非難された事例は、甲山事件や志布志事件や氷見事件などいくらでもある。
〈追記:逮捕状は証拠がなくても簡単に発布されるものであり、逮捕状が出たのに執行されないことは何ら問題ではないという。P142~143の捜査員の説明にもそうある。〉
この書に書かれていることが全て真実であれば、1,100万円の賠償金額は少な過ぎる。5,000万円は請求すべきである。伊藤さんの弁護人らは、伊藤さんの主張の何割かは事実ではないと思っているのではないか。
また伊藤さんの代表弁護人は公の場でとんでもない発言をしている。「怪しげな文書であっても、民事事件では証拠になり得る。誰が作ったか分からない、作成者がはっきりしない文書であっても、それがどれだけ信用できるかどうかは別として、証拠として持ってきてはいけないという風にはなっていないということです」。
裁判に勝つためなら、怪文書でも何でもありということか。
山口氏が泥酔した女性をホテルに連れていき、結果的に行為に及んだことは、軽率の極みだし、山口氏の主張にも突っ込みどころはある。山口氏が疑われたのは仕方がない。が、希薄な根拠で「ドラッグを飲まされた」とか、「政権が揉み消させた」などと主張するのは、誹謗中傷に当たるだろう。ましてや、暴行・傷害の証拠は皆無だし、それを否定する状況証拠さえある。山口氏は文藝春秋社や新潮社も名誉棄損で訴えるべきだし、「Black Box」のここがおかしいという本を書くべきだろう。ただの憶測、証拠無しの言いたい放題を許すべきでない。
争うべきことは、「準強姦」や「合意の有無」などではなく、「強姦致傷」の方だろう。
追記:2020年6月17日
今では「Black Box」について、多くの人が疑問に思っている。警察や検察の組織構造や法的にあり得ない描写が多数みられるからである。関心のある人は、〈山口敬之氏の民事訴訟を応援するサイト「JUSTICE FOR NY」〉を見てほしい。その中に〈ほんとうの被害者の声〉もある。
性被害に遭った女性は、「犯人の逮捕前に検事が登場するのはおかしい」と述べ、M検事の存在を疑問視している。また「被害に遭った者の心理として、お酒を飲み過ぎてしまったのではないかとか、自分の記憶にない間に同意してしまったのではないかなど、自分を責めてしまう傾向にあるが、伊藤氏は意識を失った後も、自責の念に駆られているようには思えない」と述べている。
また〈中村格氏は逮捕中止命令を出したのか?〉という記事があるので、紹介する。
〈逮捕中止について、「当時刑事部長だった中村格氏が直接中止の命令をした」と言われている。その根拠となったのは、週刊新潮の以下の記事である。
《「週刊新潮」編集部は中村氏本人に、「トップの意を受け、あるいは忖度して捜査を中止したのか」と問うと、「あり得ない。(山口氏の立場に)関係なく、事件の中身として、(逮捕は必要ないと)私が決裁した。(捜査の中止については)指揮として当然だと思います。自分として判断した覚えがあります。」》
執筆者によって補われた( )を外してみると、「逮捕」という言葉は元発言に一切含まれていない。「忖度などあり得ない。自分で判断・決裁しています」と一般的に答えているだけである。
問いは「捜査の中止」についてだったようだが、そもそも捜査は中止されておらず完逐している。この報道が「逮捕中止は中村氏が直々に命令したと本人が認めた」という話の根拠になっているのは理解し難いことである。〉
つまり、中村格氏が逮捕を中止させたというのは、週刊新潮のミスリードだということである。また週刊新潮は、「北村さま」を総理に近い北村滋・内閣情報官と決めつけているが、これも憶測でしかない。週刊新潮は一体いつから、こんな低俗なゴシップ誌に成り下がったのか。
山口氏は新潮社を提訴した。当然である。
もうひとつ〈「逮捕」に関するエピソードについて思うこと」(その3)〉を紹介する。
〈伊藤さんは、ドイツ滞在中の6月、西日の強く差す時間帯に刑事から「上からの命令で逮捕できなくなった。成田空港で目の前を山口氏が通り過ぎていった」との電話を受けたという。その直後、(日本の)検事に電話をかけると、電話口に出た人から「M検事はこの件から外れた」と言われたという。(P133~137)
その時間、日本では広く見て深夜~明け方である。そんな時間に成田空港で山口氏が目の前を通過する可能性はあるのか。また深夜も有人対応していて、検事に取次ぎ可能な連絡先があるのだろうか、といった疑問が生じる。〉
私の意見を追加すると、ヨーロッパは緯度が高いため、夏は日照時間が非常に長く、6月のベルリンの日没は21時半ごろである。従って、西日の強く差す時間帯は20時台から21時台で、日本時間では午前3時台から4時台ということになる。そのような時間帯に上記のようなことがあったとは考えにくく、P133~137の空港での逮捕取りやめの話は創作である可能性が高いと思われる。
追記:2020年8月30日
2人のメールのやり取りだけを読むと、山口氏に不審な点は感じられない。2015-4-14 の〈罵声浴びた記憶はないけどな〉(P77)のセリフは、伊藤さんの作り話を証明していると言える。
伊藤さんは、4月6日に「山口さん、お疲れ様です」(この書では省略)で始まるVISAについて尋ねるメール(P70)を送り、すぐに返事が来なかったことから、〈最初から仕事仲間になるということではなく、どうにでもできる「モノ」のように見られていたのではないか〉と思い込み、その悔しさから、4月9日に警察に行く。もし、すぐに良い返事がきていたら、伊藤さんは警察に行かなかったと思われる。
この書では、多くのメールが、特に最後の方は大部分が省かれている。伊藤さんの言い掛かり、脅迫、罵倒に対して、山口氏は戸惑いながらも、誤魔化したり逃げたりせず、辛抱強く、誠実に対応している。
数日後の8月21日、もう一度「メール全文」を読み返そうとしたら、非公開になっていた。「JUSTICE FOR NY」や「裁判資料」もである。残念である。〈「メール全文」はその後、他のサイトで見ることができた。〉
P48~49に〈(寿司屋の)トイレに入るなり突然頭がくらっとして蓋をした便器にそのまま腰かけ、給水タンクに頭をもたせかけた。〉とあるが、そのトイレには給水タンクはなかった。P128に〈ホテル二階部分の廊下に防犯カメラがないと聞いていた。〉とあるが、防犯カメラはあった。
また伊藤さんには、「元検事の叔父」はいないことが判明した。叔父(親の弟)さえおらず、2人いる伯父(親の兄)のどちらも検事でも副検事でもなかった。膝の怪我といい、なぜ彼女は必ずバレる嘘をつくのか。伊藤さんには精神疾患があるのでは、と指摘している人は複数の医者をはじめ、少なからずいる。
追記:2022年1月16日
間もなく控訴審の判決が言い渡される。伊藤さんの支持者らは未だに控訴審の争点は「同意の有無」だと言っているが、最大の争点は「午前5時台の強姦致傷は事実か否か」だろう。
控訴審では、この点について、かなり念入りにやり取りが行われた。山口氏側から、乳首の出血や腰付近のアザや右膝の痛みについて、部位やキズの程度、加療期間について問われたが、伊藤氏側はまともな回答を出せなかった。裁判官からも「何時に、具体的に何をされたのか、すべて書き切って下さい」と注文されたという。
また整形外科医に伊藤氏がホテルを出るときの映像を見てもらって、「伊藤氏の主張通りの傷害が発生していたら、このように普通の歩調や歩幅では歩けない」との回答を得た。
伊藤氏が午前5時台に激しい暴行を受け、怪我をさせられたという証拠はなく、そのようなことはなかったという状況証拠は多数ある。産婦人科のカルテ、整形外科のカルテ、ブラジャーからは血液反応なし、ホテル退出時の映像など。
控訴審ではかなり時間をかけて、暴行の有無についての審査が行われており、第一審と異なる結果が出る可能性は低くはないと思う。
彼女が主張する被害者の気持ちには頷けるが、彼女の生き様を応援する気にはなれない…上に、ゴシップ本の域を出ない本だと思い、少々がっかりでした。いや、腹立たしくもなりました。
まずもってがっかりな点は、刑法改正を訴える割には、著者自身の司法に関する理解不足が随所に伺える点。
そして、仕事人として応援したくなるような人じゃないなと思ってしまった点。
そもそも、報道各局では普通に新卒採用があるはずで、門戸は開かれていると思うのだが、そこに日本の有名大学を出るなりして正面から当たろうとせず、山口氏のようなコネを頼りに就職しようとする。誰かに口利きを頼めば、その業界でずっとしがらみがついて回ることへの理解はあったのだろうか。インターンって聞こえはいいのかもしれないけど、ずっとタダ働きで、搾取されている自覚はあったのだろうか。しかもその間、男性と同棲したり、ヨガインストラクターの資格を取ったり、真剣に勉強する大学生の時期に本当にやるべきことに取り組んでいたのかと思えてしまう。
そうやって脇道から入る選択をし、保身を優先して警察を信用しないで、一番証拠が残っている時期に通報せず、後から警察の落ち度を探しては責め立てる。
本の後半は、著者の被害体験とは全く関係の無い流れで日本の司法制度への批判、警察への批判、唐突な判例の比較、既に議論済みの過去の警察の誤捜査へと言及していきます。
一般的な被害者の立場を考えた際にそういった思考になっていくのは分かりますし、正当性も感じ、もっともらしく聞こえますが、著者の被害体験とは結びつかない。
性犯罪は密室で起こるため、証拠が乏しく、言った言わないで泣き寝入りすることは現実にあると思います。逆に、薬物反応や精液が検出されるなどすればかなり言い分が食い違っても被害者有利なのに。司法の改正を求めたとして、言った言わないだけで人1人が処罰されるようになったら、それはどういうことなのか考えはあるのでしょうか。
ここまで私の思った事をそのまま書いてしまいましたが、だからといって、著者が強姦されて良い理由など一つもありません。山口氏の会見を見れば、権力に乗っかって著者に何かした事は間違いないのでしょう。
被害者という立場が明るみに出れば、私のレビューを含め、これだけ世間の批判に晒されるということも、今の日本では悲しい現実だと私自身も思い知らされました。
逮捕差し止めの事実についてはよくわかりません。
著者は美しい容姿ですが、仮にそうではなかったら、世間は同じ注目度でこの事件に着目したでしょうか。同じ数の女性の共感を得たでしょうか。本の表紙にアップの顔を持ってこれたでしょうか。
私は相当歪んでいるかもしれませんが、どうも素直な気持ちでこの本を読み進めることができませんでした。
フラワーデモの主張には大変共感しているのですが。
あっというまに読みおわりました。吐きながら、泣きながら。どんなにつらいだろう。
著者さんの感じたこと、淡々とした感情だったり 起きたことからの2次災害、記憶の道の前後左右、被害者でありながら何もかも余裕のないときに どうしたらよいかをすべて自らが調べて、さがし、行動し、何度も何度も蓋をしたはずの嫌なことを口にたしては まるでこちらがわるいかのように
質問される。 いま現在、わたしが同じような立場にいます。たよれる人もいない、生活すら危うい状態です。 被害者は不利益にならないように、、なんて会社の用紙にありますが、不利益しかありません。告発したあとすべて普通の生活がこわれました。こうなるなら まだどうにか我慢しながら仕事して蓋をして生きるほうがましです。証拠なんて残せる余裕があるわけではないんですよね、実際の現場では。 言う前はね、いろいろな機関に相談し、言わなきゃだめよ、頑張って言わなきゃ!告発しなきゃ、 言ったあとは、、どこどこに相談してみたら、のたらい回し、辛い思いをしたねー 、証拠ないなら厳しいね、もっと強く断らなきゃ、、 誰もなにもできないんですよ。 裁判、被害届けだすにも 体力、精神力が普通以上に必要です。起きた記憶、証拠 おもいだしたりあつめたり、うつ状態の被害者には 死ぬほどつらいこと。ましてや、大きなストレスにより健忘症みたいになってる部分がある。
告発したら 会社側もすぐに告発者には配慮ある対処はできない、不利益はないと紙にはあるが 不利益がおきますと、 さきに言うべき。なら 告発しないよ、、すべてこんなに壊れて生きるだけでつらいことになるから。
著者さんのように 被害がおきて 被害者がパニックになっている状態でも 支援できる場所や セクハラやわいせつにたいする法を変えていくべき部分をもっと考えていくべきです。