ノーランズのベスト盤にふさわしい20曲を網羅したベスト盤。
ブックレットも歌詞カードも入っていないインポート品ならではの廉価仕様です。
発売元はEUのSONY MUSICのようですが、販売元はCAMDENと謎めいたディスク。
音源の出所も不明ですし演奏のアレンジも何曲か、私の持っている当時物と違いもあります。
このBest ofは、明らかにマスタリング工程でイコライジングやコンプレッサーを使った改悪を
していない良識あるCDであることが、とっても好印象です!
音量を上げると音の凹凸がはっきりしますし、イコライザーで高音と低音を妙に強調していない
ので自然体です。コンプレッサー等のマキシマイザーで音圧底上げをしていない事がわかります。
音も丸くて滑らかですし、引きつり、音割れ、ザラつき、などの音の圧縮破綻が感じられません。
スピーカーがブルブル震えるほど音量を上げても騒々しさがなく耳を圧迫しない伸び伸びとした音です。
ミニミニコンポでかつ、小音量で聴いたなら「しょぼい音」と勘違いされてしまう可哀想なCDかもしれません。
波形画像は同じ曲「Sexy Music」を、このCDと日本版シングル・コレクション(MHCP-647)と比較しました。
シングル・コレクションの方はマキシマイザー過多で音の凹凸に乏しく、音圧オーバーで波形切れが発生。
しています。現に音量を上げると、奥行きの無いうるさい音に感じますしジャリジャリとザラついた音にも聴こえます。
このBest ofで、気になる点は「Thank You For The Music 」だけ、音のビビリ音が確認できます。
じつは、当時物のレコード、カセットテープも確認したところ、ここまで顕著ではありませんが
ビビリ音が確認できます。このCD特有ではなくマスターテープ自体(あるいは既にレコーディング段階)での
原因かとも思います。その証拠として再マスタリング音源のシングル・コレクション(MHCP-647)
「Thank You For The Music」もビビリ音が確認できます。
ただ、こちらは再マスタリング工程で極力目立たないよう処理されているのが想像できます。
総じて、このBest ofは、可哀想なことに音が悪いと低評価を受けていますが、いやそんな事はありません。
ある種、貴重ともいえる音をいじっていない「ザ・フラットトランスファー」代表CDの1つといえます。
オーディオファンお勧め、余計な事をしていない「素の音」です。