Phile-web(ファイル・ウェブ) プロによる商品レビュー
オーディオマニア目線で開発されたマルチウェイ・イヤホン
AROMA(アロマ)は、ヘッドホン/イヤホンを愛する同好の士が集まってできた香港の新進オーディオブランドだ。このAROMA製品のなかでも、中核となっているマルチウェイ・イヤホンが「Witch Girl S」と「Witch Girl Pro」である。
Witch Girl SはKnowles製の最新ユニットを用いた高域用×1基、中域用×2基、低域用×2基という3ウェイ・BA型5ドライバー構成を採用。一方のWitch Girl Proは高域用BA×2基、中域用BA×2基、低域用ダイナミック型8mmドライバー×2基の、ハイブリッド3ウェイ6ドライバー構成となっている。
いずれのモデルも着け心地の良さは相当追求しており、オールハンドメイドで製造されるボディも多くのドライバーを積んでいることを思わせない収まりの良いサイズとした。フェイスプレートとシェルには継ぎ目のないシームレスなつくりで、耳かけ用の形状記憶針金を仕込んだOCCケーブルもリケーブルに対応した着脱仕様となる。
まずはWitch Girl Sのサウンドから聴いてみよう。各帯域バランス良く、クリアにまとまったサウンドを聴かせ、ローエンドも適度に引き締まり素直でスムーズな音色を実感した。音像はBAタイプらしいシャープな浮き立ちを感じるが、音ヌケ良くすっきりと見通せる音場のクリアな描写性も相まって、分離の良い明晰なサウンドとなっているようだ。
一方のWitch Girl Proのサウンドである。低域のダイナミック型ドライバーの効果もあり、ベースがどっしりと響くウォームな傾向だ。設計陣としては音楽の大事な要素である低域のエナジーを表現するには、大入力時における耐歪特性の高いダイナミック型を用いることがひとつの解であったそうで、BAドライバーの繊細で鮮やかな描写性と相まってヘッドホンで聴いているかのような豊かな量感を持つサウンドを楽しめる。
AROMA製品は目新しい技術を盛り込んでいるわけではないが、“ユーザー発信”による“ユーザー目線”の製品開発を標榜しており、開発者自らが楽しいと思えるものを提供する、新しいブランド像を我々に見せてくれている。Witch Girl シリーズはAROMA開発陣の感じた“音の楽しさ”を満喫できる、バランスの良さと大らかさに溢れたイヤホンだ。
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元記事URL:http://www.phileweb.com/review/article/201612/02/2336.html
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文:岩井 喬
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執筆日:2016年12月2日