AKB48グループ主要メンバーたちへの珠玉のインタビューが一冊の本になっている。
彼女たちは、皆、決して未だ長くはないこれまでの人生において、友人や先生に助けられて、今の自分を得ることができた。その思い出を瑞々しく語ってくれている。
しかし、もし、そうした出会いがなかったとしても、彼女たちは成功していたであろう。決して語らないが、彼女たちに共通する資質は、「強靭な意志」と「持って生まれたタレント性」だ。それがなかったら、たとえどんな人格者の支援を受けたとしても、トップアイドルとして花開くことはない。
そう言ってしまったら身も蓋もないと批判されるかもしれない。それでは本書の意味がないのかとの批判もあるだろう。しかし、そうではない。世の多くの少女たちは「大都会の摩天楼ときらびやかなステージにあこがれて」(p.100)芸能界を目指す。しかしそこで実を結ぶのはほんの一握りの逸材だけである。九分九厘の子たちは淘汰される。夢破れて故郷に戻っていくとき、そこには無償の愛で受け入れてくれる家族や友人が待っている。「いつでも帰って来なさい」(p.47)と言ってくれる親が待っている。こうした「帰る場所」の存在を教えてくれていることが、本書の最大の意義だと思う。
梅田彩佳は劇場デビューから半年後に、左足のすねを疲労骨折して、「夢をあきらめるしかない」(p.101)と失意のなか福岡に帰郷する。「そんな失意のどん底にいた私を支えてくれたのは家族でした」(p.101)と梅田は回顧する。先の見えないリハビリの日々、「不安で不安で頭がおかしくなりそうだった」(p.104)とき、梅田の祖父は「川沿いの道をただ並んで歩」(p.104)いてくれた。「とぼとぼと歩いて帰ってくるだけの2時間ほどの祖父との時間」(p.104)が彼女を癒した。そして1年半後、リハビリに成功した梅田は再びAKB48メンバーとして賦活する。復帰した梅田は言う。「家族の愛に包まれたこの1年半で、私は東京で頑張るために一番大切なことを学んだ気がします。」(p.105)今、梅田彩佳はAKB48 Team Bキャプテンという重責を担っている。
これまでも、そしてこれからも、九分九厘の側に入った子たちを、「帰る場所」は温かく迎えてくれる。
秋元才加の貧乏生活(pp.91-98)を読むにつけ、どんな環境にあっても本人の「強靭な意志」と「持って生まれたタレント性」があれば、のし上がることができると合点する。
もちろん、上述の論とは反面する話も多い。以前、秋元康氏は「エンターテインメントというのは、最後はオーディエンスが完成させる」(NHK-BS『密着!秋元康2160時間〜エンターテインメントは眠らない〜』)と発言していた。これもまた真実のようだ。NMB48メンバー小笠原茉由は、ある女性ファンと出会ったことで、人間として大きく成長した。その話(pp.221-226)は感動の涙なしには読めない。
ファンとしてAKB48と付き合っていると、本当に毎回泣かされる。
肩ひじ張らずに読めて、爽やかな読後感を覚えさせてくれる良書である。
AKB48 あなたがいてくれたから (日本語) 単行本 – 2013/11/19
AKB48グループ
(著)
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本の長さ268ページ
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言語日本語
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出版社朝日新聞出版
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発売日2013/11/19
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ISBN-104023312517
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ISBN-13978-4023312517
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
AKB48グループの人気メンバー33人が初告白。誰も知らなかった家族、親友、恩師たちとの感涙物語―。
登録情報
- 出版社 : 朝日新聞出版 (2013/11/19)
- 発売日 : 2013/11/19
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 268ページ
- ISBN-10 : 4023312517
- ISBN-13 : 978-4023312517
- Amazon 売れ筋ランキング: - 713,437位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
5つ星のうち4.4
星5つ中の4.4
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年2月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ステージやテレビ上ではいつも明るく元気なメンバーたち一人ひとりが、ここに至るまでの苦労、苦悩、涙、努力を本音で語っています。とてもすっきりとまとめられているので読みやすいです。
AKBのことをよく知らない人でもお勧めです。もしかすると自分の悩みから抜け出せたり、勇気づけられたり、学ぶことも多いと思います。
そして言うまでもなく48グループのファンなら一人ひとりをさらに深く理解し、これからの成長を見続け、応援していくためには必須の本だと思います。
「○○が好き!」「○○が悩みです」というようなチャラチャラしたことは一切書いてありません。ただただ真面目な、これまでの、そして今の心の真実の叫びが書かれています。
私は、これまでも多くの場面でAKB48の存在とその曲に救われてきて感謝の連続でしたが、この本を読んでさらに感謝の気持ちでいっぱいになりました。本当はひとにはあまり言いたくなかったこともあったかもしれませんが、心の内を語ってくれたメンバーに本当に感謝です。
家族・友人・先生…いろいろな人から助けられ、愛をもらい、元気をもらい、優しさをもらい、今のメンバーがいるということがわかりました。
感じ方は人によりさまざまでしょうが、特に次のメンバー達の語りが秀逸です。
島崎遥香(誤解されがちな性格を乗り越えて)、秋元才加(元AKB:貧乏時代があったからこそ)、峯岸みなみ(登校拒否から救われて)、高城亜樹(テニスの負け試合でヘラヘラして叱られて気づいたこと)、前田亜美(劣等感と自己嫌悪の中で)、山本彩(ライブハウスでの演奏に客2人の時代を越えて)、渡辺美優紀(母子家庭の中で咲く笑顔)、山田奈々(わずか5分の門限遅れでわかった母の想い)、小笠原茉由(耳の不自由なファンにもらった元気)、多田愛佳(「しょうがない」と妥協する自分と決別して)。
本当にお勧めの一冊です。
AKBのことをよく知らない人でもお勧めです。もしかすると自分の悩みから抜け出せたり、勇気づけられたり、学ぶことも多いと思います。
そして言うまでもなく48グループのファンなら一人ひとりをさらに深く理解し、これからの成長を見続け、応援していくためには必須の本だと思います。
「○○が好き!」「○○が悩みです」というようなチャラチャラしたことは一切書いてありません。ただただ真面目な、これまでの、そして今の心の真実の叫びが書かれています。
私は、これまでも多くの場面でAKB48の存在とその曲に救われてきて感謝の連続でしたが、この本を読んでさらに感謝の気持ちでいっぱいになりました。本当はひとにはあまり言いたくなかったこともあったかもしれませんが、心の内を語ってくれたメンバーに本当に感謝です。
家族・友人・先生…いろいろな人から助けられ、愛をもらい、元気をもらい、優しさをもらい、今のメンバーがいるということがわかりました。
感じ方は人によりさまざまでしょうが、特に次のメンバー達の語りが秀逸です。
島崎遥香(誤解されがちな性格を乗り越えて)、秋元才加(元AKB:貧乏時代があったからこそ)、峯岸みなみ(登校拒否から救われて)、高城亜樹(テニスの負け試合でヘラヘラして叱られて気づいたこと)、前田亜美(劣等感と自己嫌悪の中で)、山本彩(ライブハウスでの演奏に客2人の時代を越えて)、渡辺美優紀(母子家庭の中で咲く笑顔)、山田奈々(わずか5分の門限遅れでわかった母の想い)、小笠原茉由(耳の不自由なファンにもらった元気)、多田愛佳(「しょうがない」と妥協する自分と決別して)。
本当にお勧めの一冊です。
VINEメンバー
Amazonで購入
今や押しも押されぬ、本当に国民的アイドルとなったAKBグループの人気メンバーのインタビュー集。自然な語り口調なので親しみやすい。話の内容は、トップアイドルたちの話とは思えないほどの素の話で、ほとんどが、普通の女の子が今に至るまでの中で逆境に苦しみながらも、家族や友人たちに背中を押されここまで来たという話。一話一話そんなに長くないので非常に読みやすい。私は玄人のようなファンではないのでほとんどが初めて知るエピソードが多く、結構面白く読めた。
また、AKBのこういう本と言うとお涙ちょうだいとか苦労話の押し付けのように思われるかもしれないが、彼女たちの語り口そのものが本当に普通の女の子のモノであり、そういう意味でも読みやすい1冊になっている。
以前から本当はどうだったんだろうと思っていた秋元才加の小さいころの貧乏時代の話にはびっくり。よくここまで話したなと思う。また、やはり飾らない素直な語りにも好印象を受けた。他にもあえて詳しく書かないが、ファンであるゆきりんやぱるるの話にもほほーっというところ大。
それにしても、近頃は、「ナツイチ読書感想文集」、よしりんの「AKB48論」、少しさかのぼるが「AKB48裏ヒストリー ファン公式教本」と、なかなか読みごたえのある本が増えてきているように思う。
AKBを良く知らない人も知っている人にもおススメの1冊。
また、AKBのこういう本と言うとお涙ちょうだいとか苦労話の押し付けのように思われるかもしれないが、彼女たちの語り口そのものが本当に普通の女の子のモノであり、そういう意味でも読みやすい1冊になっている。
以前から本当はどうだったんだろうと思っていた秋元才加の小さいころの貧乏時代の話にはびっくり。よくここまで話したなと思う。また、やはり飾らない素直な語りにも好印象を受けた。他にもあえて詳しく書かないが、ファンであるゆきりんやぱるるの話にもほほーっというところ大。
それにしても、近頃は、「ナツイチ読書感想文集」、よしりんの「AKB48論」、少しさかのぼるが「AKB48裏ヒストリー ファン公式教本」と、なかなか読みごたえのある本が増えてきているように思う。
AKBを良く知らない人も知っている人にもおススメの1冊。
2013年11月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
最初の投稿: 2013/11/20 14:18:38:JST
ghostlayerさんのコメント:
自分の成り立ちを振り返って、自分にかかわってくれた人に想いを馳せることはどんな人でも美しくなる。人が人とかかわることがこんなに美しいかをあらためて教えてくれた。それがたまたまAKBグループのメンバーだと言うことだ。個々のケースではすでにファンの間では有名なこともあるが10代にこうした人に恵まれたことが彼女たちを美しくさせているのだろう。歳古びた人間にとってはそれらすべてがまぶしくて一人のところでハンカチを2〜3回、涙をぬぐった。私はこんな体験を持てているのだろうか。そんな体験をあたら見過ごしてきたのだろうか。だとしたら貧しい人生だ。
輝けAKBGの彼女たち。
ghostlayerさんのコメント:
自分の成り立ちを振り返って、自分にかかわってくれた人に想いを馳せることはどんな人でも美しくなる。人が人とかかわることがこんなに美しいかをあらためて教えてくれた。それがたまたまAKBグループのメンバーだと言うことだ。個々のケースではすでにファンの間では有名なこともあるが10代にこうした人に恵まれたことが彼女たちを美しくさせているのだろう。歳古びた人間にとってはそれらすべてがまぶしくて一人のところでハンカチを2〜3回、涙をぬぐった。私はこんな体験を持てているのだろうか。そんな体験をあたら見過ごしてきたのだろうか。だとしたら貧しい人生だ。
輝けAKBGの彼女たち。