本書はいい加減な人の書いた、いい加減な本です。
本書は、著者の主観を、整理せずに乱暴な言葉で無責任に書いた、いわば放談です。目次にある各章の表題と内容は一致すらしておらず、論旨は一貫せず、頻繁に反対のことを言っている混乱ぶりです。
教育制度、受験制度、学校教育のカリキュラム全般、そこでの起業家精神涵養にくわえ、高等教育機関の象徴としての東大、その卒業生についての個人的印象ないし偏見が、整理や十分な実証や分析がされないまま羅列されています。
多くの点は、巷で言い古された、ステレオタイプの議論です。少数の成功例の提供と、大多数の平均的な人が必要とする制度や方法の区別もつけていません。
AIに触れていますが、だからといってAI時代の子育てノウハウとしての提言が論理的に提供されているわけではありません。主観による教育論議の悪例です。
結局、本書のメッセージは、「おわりに」の結びの文の「楽しいことをやらなくてどうする!」であるにすぎません。賛成しますが、AIに関係ないです。また、このメッセージも、誰が誰にいつ言うかで、価値が変わることは、注意喚起するまでもありません。
「とにかく」という言葉が多くでてくることでも、論理性なく思い込みを並べているだけであることがよくわかります。
以上より、著者には文筆家としての誠意と基礎訓練がないことを証左する本と断言せざるを得ません。また、この本の出版社にはこの程度の出版を許す編集者しかいないことを示しています。
教育は誰もが経験することなので、その経験に基づくバイアスのかかった主観を誰もが持っています。それら教育論議は、個人的に交換し合うのは結構ですが、聞き手がそれを採用しようとする場合、賢さが必要です。フェイクニュースを聞き分けるためにニュースリテラシーが必要であることと同じです。
確かに産業構造と人口動態が大きく変わる環境下、教育も子育ても変わるべき部分もあるでしょう。制度の改革には時間がかかるでしょう。環境の変化は速く、情報は少なく、親世代は不安に思うこともあるでしょう。しかし、だからこそ読者は情報源を賢く選択すべきです。
読書人同輩におかれては、著者を選び、出版社を選び、本を選んでください。
追記:
未来に求められるスキルはなにか、について、Yuval Noha Harariは、21 Lessons for the 21st Century において、Bernie Trilling, Charles Fadel, 21 Century Skills; Cathy N. Davidson, The New Education などの書物を紹介し、Cではじまる4つのスキル、すなわち批判的思考、コミュニケーション、協力、創造力 (The Four Cs : critical thinking, communicatioin, collaboration, and creativity) が大事であり、変化に対応し、新しいことを覚え、未知の環境でも心の平安を保てること (ability to deal with change, learn new things, and preserve your mental balance in unfamiliar situation) が必要であり、 新しいアイディアや商品を創造するのみならず自分自身こそを再創造していく必要がある現実を受け入れなければならない (not merely to invent new ideas and products but above all to reinvent yourself again and again) と書いてあったことを報告します。
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AI時代の子育て戦略 (SB新書) 新書 – 2018/6/6
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自分の子供は、AI時代を生き抜ける大人に育つのだろうか――。
ビジネスは、間違いなくこれまでの常識が通用しなくなるだろう。
いったい、我が子にどんな教育をすればよいのだろうか?
そんな悩みを抱えている親を対象に、マイクロソフト日本法人元社長で、日本屈指のイノベーターである著者が自らの子育て経験を踏まえながら、AI時代に我が子を「食える大人」に育てるための“成毛流"子育て術を解説する。
ビジネスは、間違いなくこれまでの常識が通用しなくなるだろう。
いったい、我が子にどんな教育をすればよいのだろうか?
そんな悩みを抱えている親を対象に、マイクロソフト日本法人元社長で、日本屈指のイノベーターである著者が自らの子育て経験を踏まえながら、AI時代に我が子を「食える大人」に育てるための“成毛流"子育て術を解説する。
- 本の長さ208ページ
- 言語日本語
- 出版社SBクリエイティブ
- 発売日2018/6/6
- ISBN-10479739465X
- ISBN-13978-4797394658
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
我が子は、AI時代を生き抜ける大人にちゃんと育つのだろうか―。いま、AI技術の急速な進化により、ビジネスシーンが目まぐるしく変化している。これまでの常識が通用しなくなることはわかっている。でも、自分の子供にどんな教育をすればよいのか、まったくわからない。そんなモヤモヤした悩みを抱えているあなたに、マイクロソフト日本法人元社長で、日本屈指のイノベーターである著者が、AI時代に我が子を“食える大人”にするための成毛流子育て術を公開する。
著者について
1955年北海道生まれ。 中央大学商学部卒業後、自動車部品メーカー、アスキーなどを経て、 86年日本マイクロソフト設立と同時に参画。91年同社代表取締役社長就任。 2000年退社後、投資コンサルティング会社インスパイア設立。 10年おすすめ本を紹介する書評サイト「HONZ」を開設、代表を務める。 早稲田大学ビジネススクール客員教授。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
成毛/眞
1955年北海道生まれ。中央大学商学部卒業後、自動車部品メーカー、アスキーなどを経て、1986年日本マイクロソフト設立と同時に参画。1991年同社代表取締役社長就任。2000年退社後、投資コンサルティング会社インスパイア設立。2010年、おすすめ本を紹介する書評サイト「HONZ」を開設、代表を務める。早稲田大学ビジネススクール客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1955年北海道生まれ。中央大学商学部卒業後、自動車部品メーカー、アスキーなどを経て、1986年日本マイクロソフト設立と同時に参画。1991年同社代表取締役社長就任。2000年退社後、投資コンサルティング会社インスパイア設立。2010年、おすすめ本を紹介する書評サイト「HONZ」を開設、代表を務める。早稲田大学ビジネススクール客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : SBクリエイティブ (2018/6/6)
- 発売日 : 2018/6/6
- 言語 : 日本語
- 新書 : 208ページ
- ISBN-10 : 479739465X
- ISBN-13 : 978-4797394658
- Amazon 売れ筋ランキング: - 428,164位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 698位SB新書
- - 2,963位子育て (本)
- - 18,465位コンピュータ・IT (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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書評サイト「HONZ」代表。北海道札幌西高等学校を経て、1979年中央大学商学部卒業。アスキーなどを経て1986年にマイクロソフト株式会社入社。1991年よりマイクロソフト代表取締役社長。2000年に退社後、同年5月に投資コンサルティング会社インスパイアを設立。元早稲田大学ビジネススクール客員教授。書評の定期寄稿はHONZ、週刊新潮、日経ビジネス。
カスタマーレビュー
5つ星のうち4.0
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年1月20日に日本でレビュー済み
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22人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2018年11月21日に日本でレビュー済み
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成毛さんも堀江さんも好きなので購入しました。当然大丈夫というルートが正解だと考えてしまうこと自体が危険だと投げかけています。親や祖父母の世代とはかけ離れた環境下な今、必要とされる仕事や物、価値観も当然時代ごと変わりゆくので、その通りなんですよね。子育てにおいてですが不幸なことに私自身全く興味のない、そのため練習もまともにしたことのないピアノを10年間も習わされておりました。結果いま、猫踏んじゃったすら思い出せず教室に行きたくなかったという思い出だけが残っています。(それ以外は好きなことをやらせてもらえましたが。)私の子供は小さいので習い事もまだですが努力は夢中に勝てないことを考慮し興味のないものは早々に見切り、ハマるものをとことん探すそのキッカケを与えるという点を大切にしていきたいです。日本の時代背景、学校教育に潜むエピソード、先進国の状況など知らなかったことや疑問に思わなかったことも多々あり、知るだけでもためになります。また子育ての中でこういうことしてあげるといいよ、といった細かいアドバイスやエピソードが大変多く書かれておりその内容が1つ1つ難しいことでもないので、実践してあげたいと思うことがいくつもありました。
子育てに正解もゴールもないですが、型にはまらず生きていける柔軟性を持ちたいし子供にも持ってもらいたいと思いました。
子育てに正解もゴールもないですが、型にはまらず生きていける柔軟性を持ちたいし子供にも持ってもらいたいと思いました。
2018年6月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
子どもに将来のAI時代を生き抜く力をに与える本。子育てに悩みもやもやしている親におすすめ。子供を食える大人にするための術が公開されてます。
嫌いなことはせず、はまることをとことんする。受験勉強以外にも道はある等。考え方が変わることが書いてあります。私が親なら是非実行してみたいこと盛りだくさんです。
嫌いなことはせず、はまることをとことんする。受験勉強以外にも道はある等。考え方が変わることが書いてあります。私が親なら是非実行してみたいこと盛りだくさんです。
2018年8月4日に日本でレビュー済み
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こどもの教育へのアプローチには色々考える事があるが、この本で新たなページが開けたような気がします。
2018年8月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
落合陽一や堀江貴文の本が好きで読み漁っている為、わくわくしながら購入。
結果買う必要なかったなと・・。言ってることは二人の焼き増しに加えて割と大学名や政治家の名前の羅列で
書いてることに差異を感じました。
半分以上書いてることに興味がなかったです。(学校名とかおすすめアプリとかそんなのどうでもよ)
前半自分の意見の押し付けや決めつけが多く、言ってることと書いてることが違う。
この点堀江貴文の本は、過激な物言いをしてるが逃げ道を用意してうまく書いてるなぁと逆に関心したくらいです。
今後はモチベーションの時代であることや、学校教育はこのままじゃ危険だぞ、って所はこの本を読む人はベースとしてその知識はあるかと思いますが、それ以上のことは得られません。
堀江さんや落合さんの本を読むほうがいいです。
子供はキャンプが嫌い。行っても無駄。など、嫌いでも行ってみれば経験から得られるものがあるかもしれないのに
(と、ご自分も書いてらっしゃるのに)
自分が嫌いだからとはなからアウトドアを意味不明なものと位置付ける価値観のまま語られてる箇所は疑問を感じました。
(私もアウトドア嫌いですけども)
ADHDの人らしいですが、なるほどなという感じです。
結果買う必要なかったなと・・。言ってることは二人の焼き増しに加えて割と大学名や政治家の名前の羅列で
書いてることに差異を感じました。
半分以上書いてることに興味がなかったです。(学校名とかおすすめアプリとかそんなのどうでもよ)
前半自分の意見の押し付けや決めつけが多く、言ってることと書いてることが違う。
この点堀江貴文の本は、過激な物言いをしてるが逃げ道を用意してうまく書いてるなぁと逆に関心したくらいです。
今後はモチベーションの時代であることや、学校教育はこのままじゃ危険だぞ、って所はこの本を読む人はベースとしてその知識はあるかと思いますが、それ以上のことは得られません。
堀江さんや落合さんの本を読むほうがいいです。
子供はキャンプが嫌い。行っても無駄。など、嫌いでも行ってみれば経験から得られるものがあるかもしれないのに
(と、ご自分も書いてらっしゃるのに)
自分が嫌いだからとはなからアウトドアを意味不明なものと位置付ける価値観のまま語られてる箇所は疑問を感じました。
(私もアウトドア嫌いですけども)
ADHDの人らしいですが、なるほどなという感じです。