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5つ星のうち4.3
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評価の数 321
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星3つ
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64
横山 秀夫
形式: 単行本
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上位の肯定的レビュー
高評価のレビュー全251件を表示
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笘す悪意なす
5つ星のうち4.0
実際とは違う設定がありました。
2018年8月3日に日本でレビュー済み
ストーリーの終盤で誘拐事件が起こり、県警本部に捜査本部を立ち上げました。が、現実であれば捜査本部は所轄署内に立ち上げるもので、このような越権はないはずです。
でも話の面白さは格別で、横山氏の硬筆なスタイルに期待です。
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上位の批判的レビュー
低評価のレビュー全62件を表示
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あなたもJinJinしよ!
5つ星のうち3.0
意外な展開ではあるが凄く面白くはない
2017年1月9日に日本でレビュー済み
警察に対してのよくある批判ネタから、それはあり得ないでしょう!という無理のある設定から、最後には事件の意外な展開へと続く…
んー 個人的にはボリュームの割にはイマイチかな
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10件中1 - 10件目のレビューを表示
(「長官の視察」 込み).
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嬉々
5つ星のうち5.0
広報官という視点で警察の抱える問題を見つめる面白い作品。
2013年1月14日に日本でレビュー済み
形式: 単行本
Amazonで購入
この作品は警察の広報官視点で描いていくという異色の設定で、それだけでもとても目の付け所が素晴らしい、独自性のある面白い作品だと思います。
広報はマスメディアに向けて事件の情報公開を行なう場であり、また警察を宣伝することが仕事です。そうである以上は警察のイメージが悪くなるようなことはしたくない。また事件が起こった際はどこまで情報を公開すべきか、という問題もあります。情報公開の裁量を間違えると取り返しの付かないことになりかねないからです。更に警察の身内が事故や不祥事を起こした場合はどうマスメディアに対応すればいいのか?とにかくマスメディアは何でも情報公開しろと迫ってくる。あまり隠していると隠蔽する警察として世間に悪いイメージを与えてしまう。常に葛藤する三上が作品では描かれています。
その中で突然訪れた「警察庁長官の視察」。
これを機に、様々な問題が発生していきます。三上の所属するD県警の内部対立の発生、14年前に起きた未解決の64事件の再度の表面化。
改めて警察の抱える問題を浮き彫りにさせた長官の視察は、広報官の三上を翻弄させます。
読者もどんどん惹き込まれていきます。
そして最後の結末は想像できなかった展開へ・・・
作品自体が主人公の目線で書かれているので主人公と一緒に問題に立ち向かう感覚で読むことができます。主人公の感覚は読者の感覚とあまり離れていないと思います。シンクロさせるような文体を書くことが出来る横山さんに脱帽です。
ただ物語の終わり方は読者の想像に任せます、という感じでしたのでその点がすごく気がかりです。
続編を匂わせてくれているのか…とにかく結末を書いて欲しい!不満な点といえばそれだけです。
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土下信人
ベスト1000レビュアー
5つ星のうち5.0
組織の理不尽さと不条理。それでも意志を貫く。
2017年3月22日に日本でレビュー済み
形式: 単行本
三上義信。広報官としてのポジションを、全うしようとする。
そこには、組織の理不尽さと不条理がからみあい衝突する部署であり、
そうであるからこそ、アイデンティティがとわれるのである。
D県警での刑事部と警務部の微妙な対立が
64 ロクヨンという 昭和が終わり 平成の時代になる前に起きた
誘拐事件が未解決なまま、14年すぎた時点でのさまざまなことが、
さざ波とうねりのような時間を過ぎていく。
交通事故が起きた。加害者は妊婦であり、警察のトップからは 匿名 を指示され
三上広報官は 匿名として 記者クラブに 発表するが記者たちは 匿名に反発する。
長官が視察に来るという予定のために
必死に 記者クラブを 説得する 三上広報官。
しかし、長官の視察の目的は。
そして、64の誘拐事件の真相が 浮き彫りになった
時に、三上は どのように行動するのか?
娘の失踪。妻の精神的な不安。そして、警察の組織の中での板挟み。
そんな中でも、貫こうとする強い意志が三上にはあった。
64の誘拐事件の被害者の父親 雨宮の深い愛情と執念。
ただ、ひたすらと。そして、なにかの手応えが。誘拐事件は 急展開をする。
なぜ?という 問いかけをしながら 三上は 真実に 突き当たる。
そこには、松岡と言う存在があった。
イヤー。おもしろかった。
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ゆこりん
5つ星のうち4.0
読後の圧倒的な充実感
2013年1月14日に日本でレビュー済み
形式: 単行本
「未解決誘拐事件を
長官
が
視察
」という難題が持ち上がった。今では”ロクヨン”と呼ばれる
誘拐事件は、14年前に起こった。誘拐された7歳の少女は犯人に殺害され、無残な姿で発見
されたのだった。「なぜ今になってロクヨン
視察
が?」誰の胸にも疑問が浮かぶ。実は、その
視察
には重要な意味があったのだが・・・。
容疑者の匿名問題をめぐって報道関係者と警察の対立が起きる。そんな最悪の状況の中で突如
持ち上がった未解決誘拐事件の
長官
視察
。
長官
はロクヨンのことを本当に真剣に考えているのか?
いや、そうではない。そこに見えるのは警察内部の事情だった。だれも事件のことを真剣に考えて
いない。考えるのは、自分の保身や体面を取り繕うことだけだ。遺された被害者の家族は、どれ
ほど警察に失望感を抱いたことだろう。それだけに、被害者家族の描写は読んでいて切ない。
どんなに月日が経とうとも、色あせることのない悲しみがそこには渦巻いていた。読んでいて、
その悲しみが生み出す執念に圧倒された。
この作品の中には実にさまざまな伏線がある。長くて途中読むのに飽きてしまった時もあったが、
後半は一気だった。さまざまな伏線は、やがてラストを鮮やかに彩る。この結末にたどりつけて
本当によかった。見事な締めくくりだと思う。
これだけの長さが本当に必要だったのか、疑問は残る。でも、読んだあとの充実感は格別のものが
ある。面白い作品だった。
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腐乱鬼博士
5つ星のうち4.0
「警察職員二十六万人、それぞれに持ち場があり、大半は光の当たらない縁の下の仕事です。それでも誇りは持っている」
2013年10月10日に日本でレビュー済み
形式: 単行本
本書は「このミステリーがすごい!」と「週刊文春ミステリーベスト10」で1位に輝き、本年度の本屋大賞にもノミネート(2位)されたミステリー作家・横山秀夫氏による7年ぶりの最新作!
私自身、『
半落ち
』『
クライマーズ・ハイ
』『
臨場
』といった映像化作品は拝見した事があったが、横山氏の作品を手にしたのは今回が初めてでした(手にした理由も本屋大賞にノミネートされ、惜しくも次点(大賞は百田尚樹著『
海賊とよばれた男
』)となったが、本書の内容と評判に興味がそそられた次第です)。
58万世帯、182万人が集う地方都市D県!タイトルの『64(ロクヨン)』とは、<昭和64年>(1989年)に起きたD県警史上最悪の翔子ちゃん誘拐殺人事件(未解決事件)の符丁を表し、それから14年後の時効を間近に控えた(当時は時効撤廃前)平成14年12月5日から一週間の間に起こったD県警を舞台にした物語である。
一人娘のあゆみが家出をしてから三月の間、娘の消息を心配するD県警の広報官・三上義信!かつては『64(ロクヨン)』の専従捜査員であったが、現在では広報官として不都合な情報は知らせない県警とそれを不満に紛糾する地元の記者クラブとの板ばさみで翻弄されるなか、突如、警察庁
長官
が『64(ロクヨン)』の
視察
に訪れる事が決定した事により事前に下準備を命じられた三上だったが、そこからかつての『64(ロクヨン)』事件で公にならなかった警察の不祥事や隠蔽体質、やがては
長官
視察
の裏にある真意とそれによる警務部と刑事部の確執からやがてはD県警全体も揺るがす全面戦争に突入する怒濤の展開が描かれている。
私自身、最初に読んだ時(ナナメ読みしていたというのもあるが)、登場人物の多さとまた各人物や物語があまり頭に入ってこず、読後感は本書の面白さが伝わらず、ピンとこず、以前読んだ麻生幾著『
外事警察
』と同じ印象を受けた。
その時は主人公の広報官・三上を始め、登場人物に感情移入を出来ずに(途中で誰が誰やら分からなくなった)そのため、物語がどこへ進行をしているのかも分からず、今ひとつの印象を受けた(余談だが、昨年映画化されて話題となった貴志祐介著『
悪の教典
』も膨大な頁数と登場人物が多数であったが主人公以下、各登場人物のキャラクター設定がしっかりしているので感情移入しやすく私的には集中して読めました)。
ただ、本屋大賞ノミネート作品(2位)である事や評判も知っているのでこのままでは納得が出来ないと思い、私なりに登場人物と物語の時系列を整理して読み直してようやく物語の全貌が掴めて、当初は登場人物のキャラ設定も今ひとつだなと思っていたが実は各人物などの性格もよく描き込まれている事も理解して、なるほど評判どおり面白かったです(^_^)。
主人公の三上が揺れ動く警察組織の狭間で翻弄されながらも警察官としての誇りと職務を真っ当しようとする姿には心を打たれたし、三上を支える広報課の部下たち(機転を利かせてサポートする諏訪係長、真面目が取り得の蔵前主任、職務に熱心で清楚な美人の美雲婦警)の活躍や三上の同期で『64(ロクヨン)』絡みの件で調査する二渡(ふわたり)真司、刑事部における捜査の最高指揮官である松岡勝俊捜査一課長(参事官)が印象的でした。
ただ、後半の急速な展開からラストまでは一気に読ませるも読後感はカタルシスを得ないし、あゆみに関してはどうなんだっていうのもあるし(そもそもあゆみが家出した理由というのもヒドイ話( ゚Д゚)だし、それが原因なら『
ドラえもん
』に登場するジャイアンの妹・
ジャイ子
はどうなるんだ!ヽ(`Д ')ノ)、読後感としては何かしら釈然としなかった。
それからこれから読む読者のためにもわかりやすい登場人物の紹介と各部署をまとめた図解は掲載された方がよいと思います。私自身、横山秀夫『64』特設サイト〈http://bunshun.jp/pick-up/64/〉で登場人物の紹介図を把握しながら読みましたのでこれを掲載してもらえるともっと混乱せずにスムーズに読めるのではないかと思います。
あと、著者の最初の出世作となる『
陰の季節
』にも二渡以下、本書で登場する人物が活躍されていると聞くのでできればそちらも読んでみたいと思います。
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2級を目指す者
5つ星のうち4.0
主人公三上が組織に翻弄されつつも広報官としての挟持を取り戻す姿に感動
2014年6月14日に日本でレビュー済み
形式: 単行本
横山秀夫氏による作品。2012年に出た作品ではあるけど
7年ぶりの新作らしい。その年月の重みと本作の濃密な作りが
関連しているのは当然だろう。
(7年もあったら東野圭吾なんて何冊本を書くやら・・)
最初、題名の64(ロクヨン)とは何だろうと思いながら読み進めた。
1996年に出たニンテンドウ64を思い出していた・・
(もちろん関係ない)
昭和最後の年である昭和64年に起きた翔子ちゃん誘拐殺人事件。
その呪縛にとらわれているD県警を舞台に物語は進む。
主人公三上の愚直な生き様は徐々に感情移入できてくる。
結局探していた娘のあゆみは解決されてないのだが・・
どこかであゆみの居場所たる場所で生きているという妻の台詞に
納得しつつ小説としては完結してないように思えました。
三上は広報官ということで匿名問題や長官視察インタビュー依頼など
記者クラブ側とやりとりするですが・・
マスコミ側にしても給与水準の高い朝日新聞に毎日や産経の記者が
移ることがあるなどの記述に著者の精密に調べた軌跡が伺えます。
おそらく本書内に出てくる様々な細かい点も同様に精密に調べあげた上で
文章にしているのでしょう。
本書を通じて思うのはマスコミ側も表現の自由がーとか言うのならちゃんと
調査して報道すりゃいいじゃんということ。
駄々っ子を見ているような思いを途中で抱きました。
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FANTASMA UCCIDENDO MECCANISMO (YO SOY AQUEL)
5つ星のうち5.0
やがて明らかになる感動の真実。これぞ警察小説。
2012年11月8日に日本でレビュー済み
形式: 単行本
たった7日間しかなかった昭和64年に起きた“翔子ちゃん誘拐殺人事件”の時効があと1
年となったいま、警察庁
長官
のD県警
視察
が決まった。1週間後である。本小説の主役は、D県警警務部の広報官、三上義信警視。彼に降りかかる様々な難題を描いた長編小説である。三上は、長年刑事部のエースとして活躍してきた。ところが、突然広報のトップに抜擢され、不本意ながら、三上の考えるマスコミ対策や理想的の広報体制づくりに対峙していく。だが、娘の家出や妻との関係といった家庭内のトラブルから警務部長に弱みを握られ、広報方針への介入を許すことに。そのような時、三上は交通事故加害者の匿名問題をめぐって記者クラブと対立。記者は
長官
視察
の取材ボイコットを示唆する。広報官として警察の発表のあり方に苦しむ三上が、記者たちと真剣に対峙する場面は感動的である。また、
長官
が慰問する予定の被害者遺族は、これを頑なに拒否する。三上の前に不可解な箝口令の壁が、これは、上司からの圧力、キャリアへの反発、刑事部と警務部との反目等の・・・根深い対立が。
長官
の
視察
予定日は迫る。記者クラブとの葛藤、内部の勢力争い。この部分の著者の記述は流石に凄い、板挟みの中にある三上の苦痛、息詰まる緊張感を見事に描き切っている。
長官
の
視察
には何か裏が?思惑が?あるのだろうか・・・・。
話が佳境に入った時、思いがけない・・・が。ここから、これまでとは異なる相転移の世界へ・・・著者7年ぶりに描く感動の真実をお楽しみください。これは一気読み!
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Amazonレビュアーのレビュー
殿堂入りNo1レビュアー
ベスト500レビュアー
5つ星のうち5.0
警察組織を舞台に描く、優れたサラリーマン小説
2013年9月18日に日本でレビュー済み
形式: 単行本
D県警はひとつの引き逃げ事件をめぐって記者クラブとの間に大きな溝を広げてしまう。捜査を担う刑事部と記者クラブとの間で、警務部広報官・三上は窮地に立たされる。そこへ、降ってわいたように警察庁
長官
がD県を来訪する予定が組まれる。
長官
は昭和最後の年に発生して未解決のままの少女誘拐事件の関係各所を
視察
して回るという。だがこの
視察
の背景には警察機構をめぐる中央と地方との根深い対立が存在していた…。
600頁を越える大部の書ですが、2012年の「このミステリーがすごい!」と「週刊文春ミステリーベスト10」で1位に輝いただけあって、頁を繰る手を休めることが全くできません。一気に読み通しました。
ミステリーといいながらこの小説がその4分の3を使って描くのは、D県警を構成する警務部、刑事部、そして記者クラブ間の対立です。殺人や誘拐などの事件の発生と解決をひたすら目指す物語を期待して手に取ると、裏切られたという思いにかられるかもしれません。
ですが、県民の安全を二の次にするかの態度で組織防衛に走る彼らの根深い対立は、いつしか天命を知る年齢を迎えることになった私にとって他人事とは言えない生々しさをもって迫ってくるのです。中央官庁と地方行政の間に横たわる上下関係。県警という一組織内の部局対立。警察から情報を与えられることを当然と考える記者クラブ。こうした組織の外に身を置く読者の目から見れば、“はしたない”と言えるような反目ですが、組織内の当事者たちにとっては大いなる死活問題なのです。そして40代の広報官・三上は県警内で複雑なキャリア遍歴を積んできたばかりに孤立を深めていくことになります。これは警察を舞台にした重厚なサラリーマン小説といえるでしょう。企業社会に籍を置く私は、身につまされる思いとともに読んだのです。
とはいうものの、最後の最後に読者を待ち受けるのは、新たに発生した事件をめぐって展開する、手に汗握る捜査劇です。ここで著者は、物語の前半に散りばめた謎を一気に回収していきます。ミステリー小説としてもしっかり楽しめる物語に仕上がっています。
これなら人に自信をもって勧めることができる。
そう思わせる小説です。
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悶
VINEメンバー
5つ星のうち5.0
新しい著者の代表作だと思う
2014年6月10日に日本でレビュー済み
形式: 単行本
2012年発表の本作品は、当該年末の出版社主催のミステリランキングでも首位を独占するなど、評価の高い作品ですが、その期待を裏切らない秀作と感じました。
私は、本作品を読み始めてすぐに、著者の実質的デビュー作「陰の季節」(第5回[1998年]松本清張賞受賞)を表題作とする短編集を読んだ時の感激を思い出しました。
この作品集の特徴は、同じ警察官でも、刑事ではなく、警務部という、人事や議会対策といった管理部門に所属する人たちを主人公に据えているということ。
殺人事件の捜査といった、ミステリに直結する仕事ではないため、現実に全国の警察に存在する部門であるにも関わらず、これまで取り上げられることのなかった設定でした。
しかし、組織の中で生きる人間という意味では、これほどリアリティーのある設定はなく、現実味を帯びたミステリ=社会派推理を生み出した、松本清張の名を冠した賞に相応しいミステリ作品だと感じました。
もちろん、ミステリの重要な要素である、謎の提示や、意外な結末などが巧みに織り込まれていることはいうまでもありません。
さて、本作品は、短編集「陰の季節」と同じ、D県警を舞台とし、警務部の中でも、広報室に所属する三上広報官が主人公。
ある事件の加害者名の匿名扱いを巡り、記者クラブとの関係がギクシャクする中、警察庁長官のD県
視察
の話が舞い込んできた。
視察
にあたっては、「ロクヨン」の遺族を慰問するという。
「ロクヨン」──それは、たった一週間しかなかった「昭和64年」に発生した、未解決の少女誘拐殺人事件の符丁であった。
時効まであと1年と迫るこの時期、長官の
視察
の目的は何か。
三上広報官は、事件の背後に隠された「真実」に迫ろうとするが…。
本作品は、その舞台から、「D県警シリーズ」とも呼ばれる作品群に位置するものですが、7年ぶりの新作とあって、600頁を超す分量もさることながら、主人公三上の仕事や家庭に関する思いが丹念に描かれ、読みごたえ十分な作品です。
ミステリ的にも、ロクヨンと呼ばれる誘拐事件の謎解きを中心に据えつつ、警察組織内の葛藤や記者クラブとの駆け引きが緊迫感を持って描写されます。
特に、400頁を過ぎた辺りからの意外な展開と、巧妙に張られた伏線が明らかになっていく様は、「陰の季節」の長編版といった感じで、本作品は間違いなく、著者の代表作と呼ばれることでしょう。
もし、初期の作品集、「陰の季節」や「動機」が未読であれば、そちらも併せてオススメします。
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暮坂透
5つ星のうち5.0
文章の一行一行、会話の一言一言に圧倒的迫力があり、息を呑む。
2012年12月6日に日本でレビュー済み
形式: 単行本
7年ぶりの新作だという。これは長かった。この間、横山秀夫の作品は全て読破した。映画化作品もテレビ(再放送を含め)も観た。「第三の時効」「クライマーズ・ハイ」が特に良かった。それから、どのくらい時間が経ったことか。今、日本の作家で、文庫化を待たずに即座に買うのは横山秀夫ぐらいだ。読み応えが有るのを知っているからだ。
平成14年。D県警の三上広報官は公私とも悩みを抱えていた。私的には一人娘のあゆみが家出をして3ヶ月になる。公的には新聞記者クラブとの軋轢で二進も三進も行かない状況で、輪をかけたように警察庁トップの
長官
がD県警に
視察
に来るという。時効寸前の「64 ロクヨン」事件の応援も兼ねるらしい。「64」 とはD県警内部の符丁で、昭和64年の正月明けに起こった「翔子ちゃん誘拐殺人事件」の事である。そして
視察
の裏には大きな人事が画策されているという。
本書には「陰の季節」等の二渡警視が登場するが、三上を同期と書いているので、三上はテレビで清水宏次朗が演じた刑事課長の事かと思って調べたが、そうではなかった。本書のために新たに登場した主人公である。二渡が三上の行くところに先手を打って現われるのが不気味だ。文章の一行一行、会話の一言一言に圧倒的迫力があり、息を呑む。
ただ終盤近くなっても、タイトルの「64」事件そのものの進展が明示されないので、その事が気懸かりだったが、それは杞憂だった。大きなどんでん返しが仕掛けられていたのだ。後から読めば伏線も巧妙に張りめぐらせている。現時点で横山の最高傑作であり、オールタイムでも日本のミステリーシーンに存在感を示す作品となった。横山秀夫健在なり!
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へな子
5つ星のうち3.0
刑事部と刑務部の対立とは何だったのか・・・
2013年2月4日に日本でレビュー済み
形式: 単行本
刑事部と刑務部の対立、警察庁長官の視察、これらがクライマックスに向けてどう効いているのかがイマイチ分かりません。まあ、効いてなくてもそれはそれで面白いのですが、☆☆☆☆☆はないでしょう。たしか、「半落ち」もこんな読後感だった気がします。
あと、誘拐・失踪モノは読んでいて真っ暗な気持ちになるので苦手です。。
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