60代にもなると体の衰えを認識するようになるのは当然だが、或る病気の存在も気になってくる。それが認知症。自分では気付かないうちに発症している場合がある。今は働いており大丈夫だと思うが問題は仕事を辞め完全リタイアした後。独り暮らしをするようになった場合である。自覚症状が無いの自分では解らない。客観的に判断できる人が居ないのが怖い。そこでこの著作である。認知症についての予防や原因そして対策など解り易く書かれており読み易い。日常的にできる事ばかりで中でも歯磨きの重要性に触れている。著者は毎月約1000人の認知症患者を診察する専門医である。今や認知症の6割を占めるのがアルツハイマー。筆者はその一因が歯周病だと述べている。
この事実は数年前から自分なりに理解していた。歯周病菌が血流に混入すると危険なのだ。これが脳に入り込むとアミロイドβという物質を作り出し、脳細胞に悪影響を及ぼして認知症を引き起こす。また日常の食事でも噛む力が衰えると脳への血流が滞り、これも認知症の発症リスクを高める。従って柔らかい食べ物ばかり摂取する食生活を変えねばならない。特に高齢者は要注意である。また虫歯治療でも抜歯はできる限り避けた方が良い。歯を失うという事はその後に与える影響が予想以上に大きく、歯が内臓などの臓器と繋がっているという説もある。抜歯したがる歯医者は裏を返せば技術が伴わない事の証明となる。
歯周病の怖さを知ってからは丁寧に歯磨きをするようになった。そして定期的に歯医者に行って歯石除去している。以前とは違い明らかに口腔衛生の認識が変わった。その都度歯ブラシの指導を受けるが、やはり磨き残しが出る。ここはやはりプロに任せた方が良い。間違った磨き方は却って症状を悪化させる。改めて歯磨きの重要性を再認識した次第である。
【雑感】
最近になって新たな知見を得た。TV番組で知ったのだが認知症予防に早歩きが有効だというのだ。普通に歩くのではなく早く歩くというのが重要で1日20分程度で良い。分割しても大丈夫で合計20分あれば良い。歩数に換算すれば約8000歩位だという。番組では群馬県の地方(中之条町)の住民が一定期間これを実践したところ、認知症の発症リスクが減るという事が解った。
そして新たな事実が判明した。これを実践した事で脳の海馬が2%大きくなったというのだ。実はこれが凄いというのだ。では何がどう凄いのか。医学的に言えば高齢者の海馬は1年経過するごとに1~2%縮小してゆく。それが逆に大きくなった。だから凄いのだ。明らかに脳への血流が良くなり、流量が増えた事で酸素や栄養素が満遍なく行き亘り脳が若返ったという訳である。よって脳細胞への神経が増えて相互間の繋がりが良くなった結果、海馬が大きくなったと考えられる。
勿論、基本は全身運動だがそれができなくとも意識して早く歩くようにすれば充分補えるだけの効果が得られるとなれば、これほど安上がりな予防法は無い。やはり人間は2足歩行の動物であり歩かねばならない。昨今はこの事さえ疎かにしている。こう考えると昔の人はよく歩いていた。当然今のような認知症のリスクは低かったのではないか。
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