本著を読む上で前もって知っておいた方良い歴史的事実のポイントは次の通りです。
1923年11月8日から9日にかけてヒトラーがミュンヘン一揆を蜂起するもすぐに鎮圧され、ヒトラーら首謀者が逮捕される。前年から一部の州で禁止されていたナチ党はこれで完全に非合法化される。
翌1924年2月26日に裁判が開かれ、1924年4月1日にヒトラーは禁錮5年の判決を受けランツベルク要塞刑務所に収容される。この収容されていた時期に書かれたのが『わが闘争』です。そして様々な事情により、この年の12月20日にヒトラーは釈放されます。
1925年2月16日にナチ党の再結成が許可されます。
本著は「衝動的な革命家が、権力獲得に向けた忍耐強い政治家に変わった」、まさに「ヒトラーがヒトラーになった」とされる『我が闘争』を書いた時期について、膨大な資料を基に解説しています。ご存じのように1933年1月に首相となって以降のヒトラーについては多くの書物が書かれているのですが、1924年という限られた時期に集中して分析・解説することで、歴史上稀有なアジテーターとしてのヒトラーと、そのアジテーターに巻き込まれていく権力者や大衆の様子、ポピュリズムの最終形態とも言えるナチあるいはヒトラーの手法によって変えられていく社会の恐ろしさを再確認することができます。
「訳者あとがき」でも触れているように、21世紀の今現在、世界中で議会制民主主義の危うさが指摘される状況にあります。そうした中で、決して平易ではありませんが一読の価値のある一冊だと思います。
訳注も必要に応じて記載されています。
目次は転記しても内容を類推するのは難しいと思いますので省略します。
著者のピーター・ロス・レンジはワシントンDC在住のドイツ事情を専門とするジャーナリストです。
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