著作権について知りたくて購入しました。勉強になりました。
本書は、IT系ニュースサイト「CNET Japan」の連載に加筆・修正したものです。
<概要>
本書は著作権の入門書です。著作権とは何か、どこまで似れば盗作か、私的利用はどこまで許されるか、ネットと著作権の関係などについて解説されています。
<勉強になった点>
著作物とは何か
著作物とは、「思想や感情を創作的に表現したもの」(p11)です。著作物の例は、小説、音楽の歌詞やメロディ、ダンスの振り付け、美術、映画、写真などです。他に、工夫された地図、子供の描いた落書きも著作物になります。小説だと、1文くらいなら著作物にならない場合がありますが、1ページ丸々は著作物になります。ツイッターだと、「お昼なう」などよほど短いものを除けば、著作物になります。
一方で、事実・データは著作物になりません。また、題名・名称も著作物にならないので、ブログで「サザエさん」「ミッキーマウス」という言葉を使っても大丈夫です。
著作権とは何か
著作権とは、「『私に無断で私の作品を利用するな』と言える権利」(p35)です。著作権には、複製権(無断でコピーするな)、譲渡権(無断で一般に販売・配布するな)、翻案権(無断でパクるな)など11種類の権利が含まれています。
著作者人格権とは何か
著作者は著作権を譲渡できますが、それでも「著作者人格権」(p163)は残ります。著作者人格権には、氏名表示権(著作物の公表時に、どのような著作者名を表示するか決定できる)、同一性保持権(著作者の意に反するような改変をできなくする)など4種類の権利が含まれています。
その他
「著作者は著作権を譲渡できる。譲渡された相手は著作権者と言う」(p49)、「著作物の私的コピーは認められている。一方で、会社員が資料作成で新聞記事をコピーするのは、業務的なので許可がいる」(p73~74)、「『非営利目的』『観客などから料金を受け取らない』『出演者などに報酬を支払わない』という3つの条件を満たせば、著作物を利用できる。たとえば、演奏会で好きな曲を演奏したり、上映会で好きな映画を放映したりできる」(p90)
「ツイッターのつぶやきは、よほど短いものを除けば著作物になる。しかし利用規約により、ツイッター社はつぶやきを自由に流用でき、マスメディアも自由に転載できる」(p109)、「ユーチューブやニコニコ動画はJASRACと契約している。そのため、動画の投稿主は歌の歌詞やメロディを利用できる。よって、『歌ってみた』動画は認められている。しかし歌の音源は、レコード会社などが著作隣接権を持っているので許可がいる」(p114)、「違法動画の視聴は著作権の侵害に当たらない」(p118)
以上は原則的な内容で、例外もあります。
<感想>
本書では、初音ミク、千本桜、相当閣下シリーズなどの言葉が出てきます。これらの意味が分からなくても楽しめますが、意味が分かるとより楽しめると思います。
<目次>
はじめに
第1部 基礎知識編
第1章 「著作物」って何?
第2章 著作物ではない情報(1)
第3章 著作物ではない情報(2)
第4章 著作権ってどんな権利?
第5章 著作権を持つのは誰か?
第6章 どこまで似れば盗作なのか
第7章 どこまで似れば盗作なのか(続)
第8章 個人で楽しむためのコピー・ダウンロードはOKか
第9章 引用は許されるのか?教育目的での利用は?
第10章 まだある「できる利用」
第2部 応用編
第11章 ソーシャルメディアと著作権
第12章 動画サイトの楽しみ方
第13章 JASRACと音楽利用のオキテ
第14章 作品を広めるしくみ
第15章 青空文庫を知っていますか?
第16章 「海賊版」の問題
第17章 「命を惜しむな。名を惜しめ」
第18章 加筆、アレンジはどこまでOKか
第19章 二次創作
第20章 著作権は何のためにあるのか?著作権をどう変えていくか?
あとがき
参考文献兼読書案内
索引
内容紹介
基礎的な知識からデジタル化が揺さぶる創作と著作権の現況まで。著作権を考えることは未来を創造すること! おとなになる前に読みたい、教養としての著作権の話。
内容(「BOOK」データベースより)
基礎的な知識からデジタル化が揺さぶる創作と著作権の現況まで。著作権を考えることは未来を創造すること!おとなになる前に読みたい、教養としての著作権の話。