著名なノンフィクションライターの著者が、東工大での講義をもとに作り上げたのが本書である。理系の研究者の人生を取り上げて、生涯を掛けるテーマをいかに選ぶかを記した本だ。
最初はノーベル化学賞を受賞した下村脩さん。小さい頃は舟や飛行機の設計技師になるのが夢だった。エンジニア志望だったわけだ。しかし、大学は長崎大学薬学部に入る。卒業後は実験助手としてウミホタルの研究などをしていた。その後、名古屋大で恩師から乾燥ウミホタルのルシフェリンという化合物を結晶にするように命じられる。色々やってみたがアイデアが尽き、その時偶然にルシフェリンが結晶化された。その研究を論文にしたところ、プリンストン大から誘いが来て、オワンクラゲの発光物質を取り出すという課題に取り組んだ。そして後にノーベル賞を取るわけだが、「最初にぶち当たった困難をまず解決しろ、一度ギブアップすると次もまたギブアップすることになるだろう」というメッセージを残している。
本書の中には、ゲストを呼んで、対談のような形式の講義も行っている。著名なウイルス学者の山内一也、星新一の弟子の江坂遊、聴覚研究者の柏野牧夫などが登場する。
特に興味を引かれたのが、江坂遊のショートショートの書き方の講義である。「要素分解共鳴結合」という手法を使う。何やら難しそうだが、そうでもない。まず浦島太郎という言葉を「タイムマシン」「玉手箱」、遊園地という言葉を「大阪港の」「観覧車」といった要素に分解する。そして、その言葉を組み替えて「タイムマシン」「観覧車」といったあり得ない組み合わせを作る。この2つから連想して共通点を見つけ、つなげる。そしてオチを考える。その後、実際に書いてみる。文章はできるだけそぎ落としていく。なかなか具体的で、自分でもやってみたくなった。
一通り読むと、面白い内容もあるのだが、文系の研究者が出てきたり、理系の人が一生を賭けるテーマをいかに選ぶかという内容になっていない講義もあったりして、一本芯が通っていない本だと感じた。ちょっと中途半端である。そういう意味では、あまりお勧めはできない。
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