本商品は「
MG 1/100 XM-X1 クロスボーンガンダムX-1 Ver.Ka (機動戦士クロスボーン・ガンダム)
」と「
MG 1/100 XM-X1 クロスボーンガンダムX-1フルクロス (機動戦士クロスボーン・ガンダム)
」に付属するマーキングシールやドライデカールの「注意書き」を「水転写デカール」にしたものです。
それらのキットを組んだご経験があれば、付属の注意書きを貼り付けるのがどれほど大変かは説明するまでも無いでしょう。本レビューは、これから上記のキットを組んでみたいという方(…が、いきなりこのページをご覧になることは、まず無いと思いますが)に向けて解説してまいりたいと思います。
最近のMG(マスターグレード)キットには水転写デカールが付属する場合が増えましたが、数年前(2012年ごろ)までのMGにおける「標準仕様」は上記のような「シール」と「ドライデカール」によって注意書きを表現する方式でした。それぞれの特徴ですが、
マーキングシール
台紙から剥がして、そのまま貼り付けることが出来る「ふつうのシール」です。シールの厚みは非常に薄く、段差は目立ちにくくなっているものの「余白が多い」ために、キットに貼る場合はそれを切り除かなければなりません(例えば、背中のスラスター部分がそれです)。また、角や曲面への「貼りつき」も良くないため(時間が経つと、だいたい浮き上がってきます)、それを考慮して切込みを入れたり切り離したりする必要があります。
ドライデカール
MGシリーズでは、これを「ガンダムデカール」と称していますが、本商品とは性質が違いますので区別する意味でここでは「ドライデカール」と呼ぶことにします。水転写式と違い、シートから直接キットの表面に「こすりつけて転写する」ことから、このように呼ばれます(インスタントレタリングと同じです)。シールと違って余白はありませんし、上手く貼れれば曲面にも追従しますが、貼り付ける位置や角度を失敗した場合は「やり直しができない」ですし、曲面への貼り付けは「上手くできないと」デカールが粉々になってしまいます。
キット付属のものにはこのような特徴があります。これに対して本商品は、
水転写デカール
台紙についている「のり」を水(ぬるま湯)で溶かすことでデカールを剥がし、キットに貼り付けるというもので、ドライデカールと違って「貼った後に位置の修正ができる」のが特徴です。本商品はさらに「余白が非常に小さい」「印刷面がしっかりしていて、色の透けがほとんど無い」ところも優れています。ただし、余白が小さいということは「のりも少ないので剥がれやすい」ということでもあり、印刷面がしっかりしているということは「角や曲面には馴染みにくい」という側面もあるといえます。
これらの「メリット」「デメリット」を並べてみますと、キット付属のものが「悪い」とはいいきれず、本商品が「賢い選択」とも断言できないことがお分かりいただけると思います。それぞれに「綺麗に仕上げるための工程」があり、それらをどのように受け止めるかで評価も変わってきます。私の場合は、ある程度までキット付属のものを貼り、失敗した部分(シールの余白切りの失敗・胸部の紋章ドライデカールなど)に本商品を用いました。
とはいえ、胸の紋章は貼る場所が曲面ということもあり、マークセッターを塗ってもなかなか馴染んでくれませんでした(それでも、あれば便利です)。そこで、マークに放射状の「切り込み」をデザインナイフで入れ、対処しました。また、商品に付属する「説明シート」によれば「台紙から切り離したマークを2~3秒ぬるま湯につけ…」との記載ですが、マークはどれも小さい為、それでは糊が溶けきってしまいます。「水につけたら「すぐに」引き揚げて表面の水気を軽く切る」ぐらいで丁度良いです(マークの「微調整」をやりすぎるのも、粘着力を弱めますのでご注意下さい)。
あとは、水気をしっかり切って「充分に乾かした後」にクリアーでトップコートすれば印刷面の保護になります。逆に、つや消しでコート済みのキットにデカールを貼ると、マークが表面に馴染まず、それによってマーク全体が光に反射しやすくなる「シルバリング」がおきますので、これにもご注意下さい。
商品のメーカー希望小売価格は432円(税込み)です。限定品ではないものの、いつも店頭にあるとは言えないのでamazonで「定価に近い値段」で手に入れば有り難いです。クロスボーンガンダムは「小さいMS」であるために「注意書き」も小さいので貼り付けには気を使いますが「小さいデカール」ということは1/144スケールなどの「スケール違いの他の機体に流用できる大きさ」と考えることも出来るわけです。応用次第で「値段以上」に楽しめる商品ではないでしょうか。