正直最初は期待していなかった。トネガワが売れたからって何と安易な・・としか思わなかった。
実際大槻はカイジシリーズにおいてさほど魅力的な悪役じゃない。「今日を頑張り始めたものにのみ明日は来るんだ。」などの名言が多いから印象に残ってるだけで、大槻そのもののキャラクター性はトネガワの足元にも及ばないただの小悪党だ。
そして、このスピンオフ作品の中でもその小悪党ぶりは健在ですぐ人を見下したり、地下住人達から金を巻き上げる事ばかり考えてる小悪党として描かれている。
おそらくトネガワのスピンオフとはそこが決定的に違う。
トネガワの場合、原作では債務者が無残に死んでいくさまをせせら笑いながら見ていた冷血漢だったが、スピンオフでは部下想いの理想の上司とでもいうべき存在として描かれている。
一方大槻は小悪党のままなのだが、その小悪党ぶりにスピンオフでは愛嬌がプラスされている。
サラリーマンを騙してビールを飲む自分を見せびらかしたり、地下住人達から金を巻き上げていても、ダブルピースしたりアラレちゃん走りしている大槻を見ていると何だか笑って許せてしまうお茶目さがある。この辺は漫画的表現の違いも大きいのだろう。
それに、地下に落とされても人生を謳歌しようとする姿勢を忘れないバイタリティには学ばされるものがある。
そもそも大槻は地下労働施設の住人であり、我々読者の誰と比べても下の下の位置にいる人間だ。にも拘らず、我々よりもよほど人生を満喫しているように見えるから不思議だ。
この巻において大槻が行ってる事は、我々がやろうとすればいつでもできる事だ。だが我々が普通の事として何気なくしている行為を、大槻は全力で楽しむ。24時間の制限された自由の中で、余すところなく楽しみ尽くす。
不自由な地下生活を知る故に、彼は何気ない生活のありがたさ素晴らしさを良く知っている。
この漫画の楽しさはここにあると思う。
この漫画を読んでると、冴えない日常がどれほど贅沢な楽しみに満ちているか再発見させられる。
どんな実用書よりも雄弁に人生を楽しむ術をこの漫画は教えてくれる。
バイタリティーあふれる小悪党ハンチョウの日々には冴えない人生を変えるヒントが幾つもあるので、是非多くの人に読んでほしい。
1日外出録ハンチョウ(1) (ヤングマガジンコミックス) Kindle版
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言語日本語
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出版社講談社
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発売日2017/6/6
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ファイルサイズ90713 KB
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上位レビュー、対象国: 日本
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2020年10月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
内容はデフレ時代の「孤独のグルメ」。
大槻の悪魔的な休日満喫テクはもはや哲学さえ感じられる。
一言でいうと「幸せとは料理や体験それ自体に付属する属性ではなく、それを受け取る側がどう幸せを発見するかにすべてが掛かっている」。
そして幸せを発見するには「本当は何を望んでいるのか」という自分自身との対話をどこまで真摯に行えるかにかかっている。
しかし現実に生きる我々は、つい世間の目や他人の意見に流されがちで、欲望と正直に向き合うことが難しい。
福本作品の登場人物はどれも自身の欲望にストレートに行動していて、その意味で「こんな風に生きたい」という憧れさえ抱いてしまう
平日は会社、休日は家族サービス、という展開的お父さん(私です)が、たまに訪れるフリー休日を有意義なものとする参考にしたい。
大槻の悪魔的な休日満喫テクはもはや哲学さえ感じられる。
一言でいうと「幸せとは料理や体験それ自体に付属する属性ではなく、それを受け取る側がどう幸せを発見するかにすべてが掛かっている」。
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しかし現実に生きる我々は、つい世間の目や他人の意見に流されがちで、欲望と正直に向き合うことが難しい。
福本作品の登場人物はどれも自身の欲望にストレートに行動していて、その意味で「こんな風に生きたい」という憧れさえ抱いてしまう
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