表面だけを捉えるとサマーという自己中心的な女性に振り回された運命を信じる無垢な青年…といった様子ですが、それだけではない 実は深い意味を携えた良質な出会いの映画です
あくまで「恋愛映画ではない」と冒頭でも釘を差している通り恋愛ではない…(そしてクソ女と言っているがそれはサマーのこと…)
運命に肯定的なトムと否定的なサマーが次第に心変わりしていくところに面白さがあります
その心変わりを散りばめられた心理描写から読み取る必要がある
サマーは、はじめ明らかに恋愛というものを嫌悪している
トムと友だちになったのも面白そうだったから位の気持ちだろう(そして性欲もあるのでベッドインもした)
音楽で知り合ったはずの二人だがその後音楽の趣味が明らかに合ってない様子を見ても、はじめからサマーにとっては遊びだったのかもしれない
だがトムと付き合ううちにサマーの中で心が動き始める
トムには心を開き、自分のさらけ出したことのない領域にまで踏み込ませている
そこからうまくいくかと思いきや、映画館で「卒業」をみて号泣するサマーにつながる
「卒業」とは簡単に言うと結婚式から花嫁を連れ去るので有名なアレだが
この時サマーは運命というものに肯定的になったのだ、と同時に運命の相手にはまだ出会っていないと感じる
つまり、トムではない そう感じた瞬間にサマーはトムに対する申し訳無さなどに涙したのだろう
(見返したがこの映画が何日の出来事かわからない、作中で心変わりした瞬間であれど正確に何日目かは観客に委ねている)
トムはそうしたサマーの気持ちなどつゆ知らず、次第に突き放されていく理不尽ばかりが募る
そうしたことで運命というものに否定的な立場になっていく
そしてパーティーの日、サマーの結婚指輪をみたトムは自暴自棄になってしまう
この時サマーはおそらく卒業となぞらえていたのだろう
トムのことも好きだったサマー、運命というものを否定してトムにチャンスを作った瞬間だ
運命なんてなくてもトムなら卒業のように連れ去ってくれるはずだと
だがトムはそのまま仕事をやめ、自分の道に突き進む
運命を振り払うために今まではそういう運命ではないからなれないと諦めていた建築家に自力でなることで決別しようとする
サマーと再び会った時も、サマーは手を握ってくるがトムは握り返さないここでも運命への立場が描かれている
サマーはトムに最後まで連れ去ってほしいと思っていたのかもしれない
そして建築家になる、つまり運命との決別の当日、ある女性とであう
思えばサマーの時はサマーがきっかけを作っていた
そこで運命というものを否定するため、女性に声を掛け、コーヒーに誘う
だが最後、その女性との奇妙なつながり、そしてオータムという名前を聞きトムも思わず運命を感じてしまう
短い時間なのも基本的に気分のいい物語ではないのでテンポよく進めるためだろう
こうした知識を入れてもういちどラストをみてみると「あれっトムもう大丈夫じゃん!」ってある意味ハッピーエンドな不思議な映画

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