海面上昇が起こって既存の大都市や大国が崩壊した近未来。
グリッドシティと呼ばれる海上構造物都市に住む人々の物語。
ネットウィルスの蔓延でインターネットは崩壊し、謎の症候群ブレイクスも広がっている。貴重な都市の空間は一部の「株主」と呼ばれる黒幕に牛耳られており、ほとんどの人はレ・ミゼラブルとして暮らしている。
そんな世界で、4人の一見、直接の関係のない視点人物の間を頻繁にスイッチしながら物語は語られていく。
意図的に重要なことが謎として伏せられたまま進行していくので、かなり判りにくい。しかし、世界の手触りも人物の魅力もしっかりしており、それなりに高く評価できる。
謎の一端が解き明かされてからは、一気呵成にクライマックスを迎える。
いろいろなことが判った状態で再読してみたいと感じる作品であり、近い将来に再読することで、また評価は変わるかもしれない。
評価の付け方が難しい書籍だが、2020年の単発SF長編の中では屈指と感じている。
Kindle 端末は必要ありません。無料 Kindle アプリのいずれかをダウンロードすると、スマートフォン、タブレットPCで Kindle 本をお読みいただけます。
無料アプリを入手するには、Eメールアドレスを入力してください。
