私には未来を知る力はない。また、自分や他人の愛(やお金や健康や喜びなど)がどうなるのか正確に予測する力もない。もし、そんな能力があれば、世界を憂えることもないだろう。Chip Eckton /
今までの人生相談とかそれに関連するものに、違和感を抱いている人に、ぜひ読んでもらいたいのです。「なかみ検索」が可能になったら、ページをめくってみてください。Outsidervoice
レビュー
「outsidervoice」というHPで、匿名の日本人からの相談を受けるコーナー3年分が1冊にまとめられたもの。
回答者は、チップ・エクトン氏。「無名アメリカ人」と紹介されており、2007年に肺がんのため、45歳で他界されている。
本の帯に書かれている「誰かが代わりに、君の小便をしてくれるわけではない」。
なるほど、これぞ、相談を受けるものの極意。
うまいこと言うなあと思い、どんな風に応えているのか。それに、日英2カ国の文章が掲載されているので、英単語を覚えたりするのにいいかも…何かと興味をそそられたのです。
相談内容は「セクハラを受けています」「彼女を忘れられません」というものから「いったいぜんたい、アメリカは中東で何がしたいのですか?」という抽象的なものまでバラバラ。
それらに対する回答は、エクトン氏はきっちりと現実を見据え、しっかりと向き合って、的確に相談の「核」の部分を掴んでブレていない。
あくまで「誰かが代わりに、君の小便をしてくれるわけではない」というスタンスにのっとっているのに、なぜかエクトン氏の回答は血の通った、暖かさを感じる。
それは表現力の豊かさと、絶望の底から抜け出すための方法、考え方を提案しているのです。
「結局、最後は自分で決めるしかない」。
そう考える私でも、誰かに話すことで気がラクになったりするし、回答者の意見に反発して「いや、やっぱり違う」と決心がまとまることもあるし、他人の声を聞くことで新しいアイデアが生まれたり、違う見方ができる。
それが、非常に冷静な回答者だと、さらに広がるし、悩みからも早く脱出できることになる。
エクトン氏は、その役割を完璧にこなす人だったんだと思います。 --「低反発日記」
これは、衝撃の「あとがき」 回答もすごくいい。
悩みに答えるのではなく、「何故、その事で悩むのか?」を解き明かし、 「あなたは、どうしますか?」と逆に問う本だ。
「人生相談」という体裁をとっている、「自分アナライズ」の本だ。
誰にでも、何にでも答えているので、誰が読んでも相談を受けた事になる本。
奇妙で、シンプルで深くて、「哲学を碓認」できる本だ。
素晴らしい。ブログだったんだ?違うの、これ? --「こづかい帳」
ブログの日記を単行本化することはままあるが、これ人生相談の単行本化。
といっても、答えているアメリカ人のチップさんは、霊視ができるわけでもなければ、有名人でもなし!
そもそもは、このブログを運営する日本人とニューヨークの職場で知り合い、その後、離れ離れになって別々の道を歩みながらも交流を続けた彼らは、一方が日本でTシャツのブログを立ち上げる際、かねてから一緒に何かしたいと思っていたことからチップさんに声を掛け、「さて、どういう形で参加しよう??」と考えたとき、最近どんなライブが面白いかなんていう週末の過ごし方から人生のことまで、博識で理性的なチップさんのアドバイスに助けられてきた彼は「人生相談は—?」と提案し、チップさんはこれを受けいれ、異国の若人の相談の回答者となった次第。
質問は、自分に何の価値があるのか、自分は愛されるのか、といったお悩みから、アルツハイマーの親との関係やセクハラ問題、はてはアメリカで日本人のロックがどれほどのもんなの? という疑問まで。
そんないろいろな質問に対する回答に時間をかけじっくり考えるチップさん。慰めや気休めやヘタな励ましはなし、でも悲観せず諦めもせずに、真摯に問題を分析し、質問者に敬意を持って具体的な解決法を提示する。わからないことにはわからないと答えるけど、だからといって回答を放棄するのでなく、自分の考えうる限り考え応える。
個人の悩みにたいして、そこまで冷静に向き合う彼の態度そのものが、人との接し方や在り方を示し、質問者を勇気づけます。
ジョン・レノン亡き後、誰を指標にしていいのか?なんていう質問に「君が私に聞きたかったのは、真似すべき他の有名人の名なら、ちょっと答えに窮する。ジョン・レノンに代わる誰かを思いつくのは、なかなかたいへんなんのだ。みんなはボノって言うけどな…(ため息)」なんていう自分でも悩んでいるような、嘆きとも呆れともつかない、でも思わず相槌を打ちたくなる一節もあったりで、まじめゆえのおかしさも。
こんな質問や答えにコラボしながら創られたTシャツの絵柄やメッセージが相談の合間合間に出てきて、不思議なTシャツと人生相談の二人三脚ぶりもユニークかも。日英の二カ国語で書かれています。
B6判294P --「ようこそタコシェへ」
著者について
郊外暮らしの画一的安定からチップ・エクトンが逃げ出したのは、高校生のときだった。以来彼は、世の中の主流から外れた人生を送っている。