ユージンスミスは高校生の時(約50年前)黒柳徹子さんの昼の番組でライブで見る機会がありその時から彼の写真に興味がありました。昔の事なのによくここまで取材し書き上げたと感心しています。
余談ですが、本書の中に襲われ怪我をした時、黒柳徹子さんがサントリーオールドをユージンスミスにお見舞いに送ったとの記述がありましたが、お昼の番組で黒柳さんが沖縄で日本軍の砲撃で大怪我されたそうですねとの問いに、砲撃ではなくサントリーオールドのボトル(沖縄戦の時にはまだサントリーオールドのボトル無いはずですが)を抱えて歩いていたら爆発して怪我したんだとユージンスミスがアメリカンジョークを言われたのを思い出しました。(サントリーがスポンサーの番組で黒柳さんが少し戸惑った顔をしていたのを覚えています)
映画も見てユージンスミスへの思いが一層強いものになりました。おすすめの一冊です。
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魂を撮ろう ユージン・スミスとアイリーンの水俣 単行本 – 2021/9/10
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伝説のフォトジャーナリスト最後の3年間。20歳の時、51歳のフォトジャーナリスト、ユージン・スミスと出会ったアイリーン・美緒子・スプレイグ。二人は、チッソの工場排水が引き起こす未曾有の公害に苦しむ水俣を目指した――。取材開始から十年。近代化の傷と、再生を勝ち取った魂の闘いに迫る大河ノンフィクション。
<目次>
序 章 小さな声に導かれて
第一章 アイリーンの生い立ち
第二章 写真家ユージン・スミス
第三章 ニューヨークでの出会い
第四章 不知火の海
第五章 水俣のユージンとアイリーン第六章 写真は小さな声である
第七章 撮る者と撮られる者
終 章 魂のゆくえ
<著者より>
水俣病が工場排水を原因とする公害であると国家に認定されたのは一九六八年、環境庁が公害対策を担うために発足したのは、一九七一年のことでした。
一九六四年には東京オリンピックが、一九七〇年には大阪万博が開催されましたが、都市部が華やかな国際イベントに沸く、その同じ時代に、水俣病、四日市ぜんそく、イタイイタイ病といった、公害に苦しむ人々の闘いがありました。
公害は高度経済成長のひずみである、と、よく言われます。ですが、「ひずみ」などではなく、高度経済成長の中に公害は内包されていた、公害を黙認することなくして高度経済成長は達成されなかった、そのように私は捉えました。
高度経済成長の日本を「奇跡の時代」として捉え、過去の栄光としてのみ記憶し、そこに日本社会の理想を求める限り、過ちはまた繰り返されるのではないか。私達が望む社会はどのようなものであるべきなのか。コロナ禍の中にオリンピック開催が強行された今こそ、見つめ直したい。
執筆中も現在も、「なぜ、今、水俣病なのか。過去の話ではないか」と問われることがあるのですが、これまでのような成長を頼りとする社会を是としていくのか、未来図を描くためにも、振り向くべき過去がある、そのような思いから本書を「今」、執筆しました。
<担当編集者より>
「女帝 小池百合子」で今年大宅賞受賞された石井さんの受賞後第一作。
深刻な内容ですが、高度経済成長の日本社会を体感しながらぐいぐいと物語に引き込まれていきます。
国も企業も、人命より利益優先。コロナ禍のいま、政府による無為無策のため、国民は国から棄てられようとしているという現実。人間の命の大切さを、心から祈るような気持ちでこのテーマに取り組んだ著者の熱い思いを感じてください。
関連記事 現代ビジネス「水俣病の少女が入浴する写真」をめぐる、写真家と被写体親子の「知られざる葛藤」https://gendai.ismedia.jp/preview/001fc91dadd6b86939f5c4f89602a6d6603c6c50?imp=0
<目次>
序 章 小さな声に導かれて
第一章 アイリーンの生い立ち
第二章 写真家ユージン・スミス
第三章 ニューヨークでの出会い
第四章 不知火の海
第五章 水俣のユージンとアイリーン第六章 写真は小さな声である
第七章 撮る者と撮られる者
終 章 魂のゆくえ
<著者より>
水俣病が工場排水を原因とする公害であると国家に認定されたのは一九六八年、環境庁が公害対策を担うために発足したのは、一九七一年のことでした。
一九六四年には東京オリンピックが、一九七〇年には大阪万博が開催されましたが、都市部が華やかな国際イベントに沸く、その同じ時代に、水俣病、四日市ぜんそく、イタイイタイ病といった、公害に苦しむ人々の闘いがありました。
公害は高度経済成長のひずみである、と、よく言われます。ですが、「ひずみ」などではなく、高度経済成長の中に公害は内包されていた、公害を黙認することなくして高度経済成長は達成されなかった、そのように私は捉えました。
高度経済成長の日本を「奇跡の時代」として捉え、過去の栄光としてのみ記憶し、そこに日本社会の理想を求める限り、過ちはまた繰り返されるのではないか。私達が望む社会はどのようなものであるべきなのか。コロナ禍の中にオリンピック開催が強行された今こそ、見つめ直したい。
執筆中も現在も、「なぜ、今、水俣病なのか。過去の話ではないか」と問われることがあるのですが、これまでのような成長を頼りとする社会を是としていくのか、未来図を描くためにも、振り向くべき過去がある、そのような思いから本書を「今」、執筆しました。
<担当編集者より>
「女帝 小池百合子」で今年大宅賞受賞された石井さんの受賞後第一作。
深刻な内容ですが、高度経済成長の日本社会を体感しながらぐいぐいと物語に引き込まれていきます。
国も企業も、人命より利益優先。コロナ禍のいま、政府による無為無策のため、国民は国から棄てられようとしているという現実。人間の命の大切さを、心から祈るような気持ちでこのテーマに取り組んだ著者の熱い思いを感じてください。
関連記事 現代ビジネス「水俣病の少女が入浴する写真」をめぐる、写真家と被写体親子の「知られざる葛藤」https://gendai.ismedia.jp/preview/001fc91dadd6b86939f5c4f89602a6d6603c6c50?imp=0
- 本の長さ360ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2021/9/10
- 寸法13.9 x 2.7 x 19.4 cm
- ISBN-104163914196
- ISBN-13978-4163914190
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出版社より
写真家ユージン・スミスと妻アイリーンの軌跡を通じて、二人が世界に伝えた水俣病問題




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カスタマーレビュー
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とにかく読んで良かった~!と思える作品です。芸術家でありジャーナリストであるユージン・スミスの苦悩や生き方に、そして魅力に、読み進むうちどんどん引き込まれてしまう。ノンフィクションなのに。いや、ノンフィクションだからこその数々のドラマ、水俣の現実。写真家と彼に関わり、巻き込まれ翻弄されていく周りの人たち。それぞれが生き生きと生々しく、ときに泥臭く描かれていて、ドキドキしてハラハラして、読み始めたら止まりません。自分の存在を自ら消して、被写体の波動に自分の波動を合わせにいく。写真を撮るということは、被写体を、服を着たまま裸にし、その魂や生き方、人生観を写し出すということか。その人の苦しみや喜びや希望や絶望がそこに映し出されるということか。だからこそ、1枚の写真が人々に感動を与え、ときに世論を動かすほどの力になるのだろう。こんなにも、とことん全力で、貪欲に生き抜いた人がいたという感動。私の「お気に入りの一冊」に仲間入り。みんなにすすめたくなりました。
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上位レビュー、対象国: 日本
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2021年10月5日に日本でレビュー済み
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ジョニー・デップさんの映画・MINAMATAを見て、ユージン・スミスさんにがぜん興味を持ち購入しました。
結論から言うと、ここ数年本を完読できなかった私が最後までページをめくるほど、興味深い感動的なノンフィクションでした。それほど、ユージン・スミスさん、アイリーンさんという実在の人物の最後が気になりました。
そして、大変ためになる言葉と生き様を彼から教えてもらいました。
この本を読むと先に見た映画のシーンを思い出し、「えー!ジョニー・デップさん!この脚色はダメでしょう!」とか、「え!この背景を説明しないと」という調子で…、本を読むと映画では2人の物語を正確に描くうえで大事な背景が無かったり、残念な脚色が多かったりしました。
もちろん限られた時間で描くには、映画は省略が必要だし、興行的な成功のために脚色も必要だと思いますが、以下は「もっと映画で描くべきでは?」と思いました。
①水俣病の怖さ
水俣病は想像を絶する悲惨な病気であり(骨がゆがみ、激しい痛みで精神が壊れ、のたうち回り、多くの方が自死を選ぶほど)それが映画ではあまり伝わってこない。
②ユージンの苦しみ
ユージンは戦場カメラマンとして、硫黄島や沖縄で激しい戦闘のため体と精神を病んだ。特に沖縄戦では、爆弾の破片が頭を貫通し、あごが破壊され、固形物が食べられなかった。アルコールに依存した原因でもある。
あとは2時間の映画に入れるのが難しいけれど、本当に興味深い事実
③アイリーンの生い立ち
彼女は先祖が大変なお金持ちであったが、両親の愛を知らなかった。スタンフォードに入学できた才女。ユージンは父親代わりだったのでは?
④ユージンの生い立ち
30歳も違う妻となるアイリーンとユージンの関係。またユージンと母親との関係が複雑。写真を教えたのも、キャリアを作ったのも母だった。母に認めてもらえなくて、写真に執着。また女性に依存する性格も。
⑤ユージンの執着
現像の上での執着。実子ちゃんという少女の苦しみを描けなくて、何ロールも使った執着。
⑥2人の愛の終わり
⑦世界的な傑作・水俣病の智子ちゃんとお母さん入浴の写真が90年代以降は公開されなかった訳
この本が私に教えてくれるのは…
「しばしば、人の心に救いをもたらすような偉大な芸術や仕事は、立派な聖人が行うのではない。社会では変人だったり、心に大きな傷を負った人じゃないとできないことがある」
ということです。きっと、ジョニー・デップさんもそれを描きたかったはず。
ジョニーさん、映画はとてもよかった。教えてくれて、ありがとう。
でも、私はこの本を読んで、人間としてのユージンとアイリンさんが大好きになり、さらに勇気が出た。
石井妙子さん、ありがとうございました。
結論から言うと、ここ数年本を完読できなかった私が最後までページをめくるほど、興味深い感動的なノンフィクションでした。それほど、ユージン・スミスさん、アイリーンさんという実在の人物の最後が気になりました。
そして、大変ためになる言葉と生き様を彼から教えてもらいました。
この本を読むと先に見た映画のシーンを思い出し、「えー!ジョニー・デップさん!この脚色はダメでしょう!」とか、「え!この背景を説明しないと」という調子で…、本を読むと映画では2人の物語を正確に描くうえで大事な背景が無かったり、残念な脚色が多かったりしました。
もちろん限られた時間で描くには、映画は省略が必要だし、興行的な成功のために脚色も必要だと思いますが、以下は「もっと映画で描くべきでは?」と思いました。
①水俣病の怖さ
水俣病は想像を絶する悲惨な病気であり(骨がゆがみ、激しい痛みで精神が壊れ、のたうち回り、多くの方が自死を選ぶほど)それが映画ではあまり伝わってこない。
②ユージンの苦しみ
ユージンは戦場カメラマンとして、硫黄島や沖縄で激しい戦闘のため体と精神を病んだ。特に沖縄戦では、爆弾の破片が頭を貫通し、あごが破壊され、固形物が食べられなかった。アルコールに依存した原因でもある。
あとは2時間の映画に入れるのが難しいけれど、本当に興味深い事実
③アイリーンの生い立ち
彼女は先祖が大変なお金持ちであったが、両親の愛を知らなかった。スタンフォードに入学できた才女。ユージンは父親代わりだったのでは?
④ユージンの生い立ち
30歳も違う妻となるアイリーンとユージンの関係。またユージンと母親との関係が複雑。写真を教えたのも、キャリアを作ったのも母だった。母に認めてもらえなくて、写真に執着。また女性に依存する性格も。
⑤ユージンの執着
現像の上での執着。実子ちゃんという少女の苦しみを描けなくて、何ロールも使った執着。
⑥2人の愛の終わり
⑦世界的な傑作・水俣病の智子ちゃんとお母さん入浴の写真が90年代以降は公開されなかった訳
この本が私に教えてくれるのは…
「しばしば、人の心に救いをもたらすような偉大な芸術や仕事は、立派な聖人が行うのではない。社会では変人だったり、心に大きな傷を負った人じゃないとできないことがある」
ということです。きっと、ジョニー・デップさんもそれを描きたかったはず。
ジョニーさん、映画はとてもよかった。教えてくれて、ありがとう。
でも、私はこの本を読んで、人間としてのユージンとアイリンさんが大好きになり、さらに勇気が出た。
石井妙子さん、ありがとうございました。
2021年9月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「女帝 小池百合子」で大宅賞を受賞された石井妙子さんの最新作。
これまでの著作と同様に、膨大な資料と緻密な取材・インタビューを通じて、ユージン・スミスという、稀有なフォト・ジャーナリストの生涯を描き、圧倒的な筆致で読者を石井さんの「世界観」に引き込んでいきます。
しかしながら、MINAMATAのみに焦点を当てられがちなユージン・スミスの生涯を、「優れたジャーナリスト」として、より普遍的な視座にたって描いている点が、本書を優れたノンフィクションに昇華しているのではないかと感じました。
本書のなかで、ユージン・スミスの「客観なんてない。人間は主観でしか物をみられない。だからジャーナリストが目指すべきことは、自分の主観に責任を持つことだ」という言葉を引用されてますが、これは、我が国を含め今となっては「絶滅危惧種」となりつつある、「真のジャーナリズム」という存在の意義を、改めて世に問うているのではないでしょうか。
そういう点で「客観的」という名を借り「バランスをとる」ことに拘泥された凡百の「自称ジャーナリスト」がはびこるなか、石井さんは「自分の主観に責任を持って」優れたノンフィクションの数々を発信し続けている、貴重な「真のジャーナリスト」の一人ではないかと思います。
もちろん本書の白眉は、ユージン・スミスとアイリーンならびに(もちろん)被害者の方々の水俣の地(および「世間」という名の目に見えない場所)での「闘い」にありますが、水俣病の発生と、その被害の(今もなお)辿っている「想像を絶する歴史」についても非常に丁寧に描かれておりますので、ユージン・スミスはもとより、水俣病(または「苦界浄土」)のことさえ(もしかすると)知らない世代には、イントロダクションとして、是非手にとってもらいたい一冊です。
これまでの著作と同様に、膨大な資料と緻密な取材・インタビューを通じて、ユージン・スミスという、稀有なフォト・ジャーナリストの生涯を描き、圧倒的な筆致で読者を石井さんの「世界観」に引き込んでいきます。
しかしながら、MINAMATAのみに焦点を当てられがちなユージン・スミスの生涯を、「優れたジャーナリスト」として、より普遍的な視座にたって描いている点が、本書を優れたノンフィクションに昇華しているのではないかと感じました。
本書のなかで、ユージン・スミスの「客観なんてない。人間は主観でしか物をみられない。だからジャーナリストが目指すべきことは、自分の主観に責任を持つことだ」という言葉を引用されてますが、これは、我が国を含め今となっては「絶滅危惧種」となりつつある、「真のジャーナリズム」という存在の意義を、改めて世に問うているのではないでしょうか。
そういう点で「客観的」という名を借り「バランスをとる」ことに拘泥された凡百の「自称ジャーナリスト」がはびこるなか、石井さんは「自分の主観に責任を持って」優れたノンフィクションの数々を発信し続けている、貴重な「真のジャーナリスト」の一人ではないかと思います。
もちろん本書の白眉は、ユージン・スミスとアイリーンならびに(もちろん)被害者の方々の水俣の地(および「世間」という名の目に見えない場所)での「闘い」にありますが、水俣病の発生と、その被害の(今もなお)辿っている「想像を絶する歴史」についても非常に丁寧に描かれておりますので、ユージン・スミスはもとより、水俣病(または「苦界浄土」)のことさえ(もしかすると)知らない世代には、イントロダクションとして、是非手にとってもらいたい一冊です。