迷走の地獄 - ボニータ1991年(平成3年)9月特大号
光の蝶 - ボニータ1991年(平成3年)11月号
闇療法 - ボニータ1992年(平成4年)新年特大号
すきとおった世界 - 1967年(昭和42年)チャーム漫画劇場3「すきとおった世界」《若木書房》)
「迷走の地獄」
→ 主人公・鬼龍功の忌まわしい過去が潜む鬼龍家で異母弟・雅章が分を超えた力を求めて生死の境をさ迷い、恋人が功に助けを求める。知り合いのブロガーにもキモイと評判の雅章は加代という鬼龍家を取り仕切る女性の実の息子だが、功とすり替えたことは闇の力を得た彼と加代しか知らない事実だった。鬼だ、加代は災厄を齎す闇に繋がる鬼だ。去り際の功に“力の進化を望むなら”と彼の心の傷を抉る醜さが雅章には見えないから加代様は素晴らしい人だと口癖のように言うのだが、加代は功や周囲に対するのと同じに振る舞いながらも実子である雅章に対する母親の情が滲み出ているようだ。
最後の“力の進化”云々はコミックス版には無い、新たに加筆されたものだ。
「光の蝶」
→ 幼い頃に虐待された心の傷が原因で他者に暴力をふるう萩原は重病で死にかけたため、千鈴は被害者の1人でもある過去の記憶が曖昧なこともあり彼の魂が地獄に落ちるのを防ぎ救おうと全力を尽くし功に助けを求める。地獄に落ちればいいと言い放つ功だが、千鈴は救いたいと必死に訴えて助力を得る。
「闇療法」
→ 事故に見せかけて他者の臓器を奪い生きながらえてきた奴が、功の力により犠牲にした人々の怨念が頭から離れず苦しむという罰を受ける。
「すきとおった世界」
→ 貸本少女まんが時代の貴重な長編で単行本初収録。売れない画家の青年・大沢ワタルは亡くなった母親がナンシーという欧米女性というハーフらしいが、遺産相続でドブレー館に引っ越すが、鏡を通してワタルやその他の人間が生きる世界と自身の棲む世界を行き来する少女と出会い彼女を独占したくて出入り口の鏡を壊してしまう。名前が無いのにローラと呼んでと彼女は告げたが、館の前の住人の誰かに命名されたのだろうか?
最後の「すきとおった世界」は書店のサイトに画像がupされて初めて知った昔の作品だが、内容がよくわからなかったことよりも作者が10代の頃に描いたというだけあって昔がモロ出しで呆然。なにしろ、今の筆致で描いた表紙と当時の絵とのギャップが激しくてクラクラする。
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