あの未曾有の大震災から10年の時が経過しました。
最初はこの文学的な書名から、震災をめぐる随想的な内容かな?と思って手にしましたが、そうではありません。
被災地に関する60のトピックは、感傷を排して現実をリアルタイムに切り取った内容で、具体的なデータが文中に多く挙げられています。
著者は福島県出身の内科医で、岩手県宮古市の市長も務められ、3.11を機に「よりそいホットライン」という相談窓口を立ち上げた方だそうです。
この経歴が、本書の視点を多角的なものにしているのかも知れません。
扱われているテーマは原発事故関連が中心ですが、広域避難者の直面する現実、震災関連死、子供たちの健康、学力、家庭内暴力、さらに発達障害や性的マイノリティ差別まで、一見意外に思えるものを含めて多岐に渡っています。
一言で「被災者」と括ることの決して出来ない多様な声を、医師として、また行政経験者としていかに伝えるのか、今必要な支援とは何なのか、有益な提言が散りばめられているように思います。
依然として山積する課題のどれか一つでも受け止め、一隅を照らすことが出来るのはまさに私達次第なのだと思いました。
後半にある座談会も興味深かったです。
飯舘村から避難されて喫茶店を営む女性の方、福島市で農業を営む男性の方、
岩波書店から著書を出版されているチェルノブイリ / 廃炉の若手研究者などが参加されています。
参加者の方々の等身大の実感と発言から、被災地への知見がさらに広がりました。
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駆けて来た手紙 単行本(ソフトカバー) – 2020/12/28
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少しでも早く、広く、届けたい。
“被災地(ふるさと)"へのエール。
医師として、元市長として、みんなの故郷のことをずっと考えてきた。
東日本大震災からの復興再生を祈願して。
福島県出身の医師で、岩手県宮古市の市長を12年間勤めてきた著者が、
“被災地(ふるさと)"の過去、現在、未来を語る。
東日本大震災、とくに福島原発事故の課題と取り組みの現状に関して伝えたいこと――
地域に寄り添い、地域の視点から発信してきた5年間にわたる記録。
巻末には識者を交えた“福島復興"座談会も収録。
“被災地(ふるさと)"へのエール。
医師として、元市長として、みんなの故郷のことをずっと考えてきた。
東日本大震災からの復興再生を祈願して。
福島県出身の医師で、岩手県宮古市の市長を12年間勤めてきた著者が、
“被災地(ふるさと)"の過去、現在、未来を語る。
東日本大震災、とくに福島原発事故の課題と取り組みの現状に関して伝えたいこと――
地域に寄り添い、地域の視点から発信してきた5年間にわたる記録。
巻末には識者を交えた“福島復興"座談会も収録。
- 本の長さ232ページ
- 言語日本語
- 出版社幻冬舎
- 発売日2020/12/28
- 寸法12.9 x 1.6 x 18.8 cm
- ISBN-104344932021
- ISBN-13978-4344932029
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商品の説明
著者について
■ 熊坂 義裕/クマサカ ヨシヒロ
1952年、福島市生まれ。
福島市立野田小学校・中学校卒業。
福島県立福島高校卒業。
1972年、東北大学工学部金属系学科中退。
1978年、弘前大学医学部医学科卒業、同大学医学部第三内科学(現内分泌代謝内科学)講座入局。
1984年、弘前大学医学部助手(文部教官)、1985年岩手県立宮古病院内科科長。
1987年、宮古市内に内科医院開業。
1997年、宮古市長に就任し合併後の新宮古市長も含め通算3期12年務めて2009年、退任。
これまでに内閣府社会保障国民会議分科会委員、厚生労働省社会保障審議会医療部会委員、同省少子化社会を考える懇談会委員、同省厚生科学審議会健康日本21(第2次)策定専門委員会委員、同省都市部の高齢化対策に関する検討会委員、同省地域生活支援計画策定プロジェクト委員会委員、同省社会保障審議会介護給付費分科会委員、総務省地域経営懇談会委員、同省合併サポーター(まちづくり有識者)、新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)メンバー、地域・生活者起点で日本を洗濯(選択)する国民連合(せんたく)幹事、地域ケア政策ネットワーク代表理事、福祉自治体ユニット監事、(公財)成年後見センター・リーガルサポート理事、全国市長会理事、同地方分権改革推進委員会委員、同介護保険対策特別委員会委員、(公財)総合研究開発機構(NIRA)地域再生と広域型公共サービスのあり方に関する研究会委員、(独)福祉医療機構(WAM)審査・評価委員会委員長等を歴任。
2010年、盛岡大学栄養科学部教授(臨床医学・健康管理概論等担当)、2011年、同大栄養科学部長、2014年、同大客員教授。
併せて現在、京都大学医学部非常勤講師(糖尿病・内分泌・栄養内科学講座)、弘前大学医学部学部長講師(社会医学講座)を兼任。
これまでに日本大学医学部兼任講師(公衆衛生学講座)、岩手医科大学医学部非常勤講師、東京大学大学院農学生命科学研究科特別支援員(魚病学研究室)、東京大学客員研究員(経済学部)等も務めた。
現在、㈳社会的包摂サポートセンター代表理事(よりそいホットライン運営)、「若草プロジェクト」呼びかけ人。
1999年、介護支援専門員(ケアマネジャー)試験合格、2007年、弘前大学大学院医学研究科神経精神医学講座研究生。
東日本大震災時の災害医療貢献に対して日本糖尿病協会から功労賞、「よりそいホットライン」の活動実績に対し宮沢賢治学会からイーハトーブ賞奨励賞(社会的包摂サポートセンター代表理事として)、紺綬褒章、総務大臣表彰、宮古市市勢功労者、地域経済賞(ちいき総研)等を受賞。
日本糖尿病学会専門医、医療法人双熊会理事長、医学博士。
1952年、福島市生まれ。
福島市立野田小学校・中学校卒業。
福島県立福島高校卒業。
1972年、東北大学工学部金属系学科中退。
1978年、弘前大学医学部医学科卒業、同大学医学部第三内科学(現内分泌代謝内科学)講座入局。
1984年、弘前大学医学部助手(文部教官)、1985年岩手県立宮古病院内科科長。
1987年、宮古市内に内科医院開業。
1997年、宮古市長に就任し合併後の新宮古市長も含め通算3期12年務めて2009年、退任。
これまでに内閣府社会保障国民会議分科会委員、厚生労働省社会保障審議会医療部会委員、同省少子化社会を考える懇談会委員、同省厚生科学審議会健康日本21(第2次)策定専門委員会委員、同省都市部の高齢化対策に関する検討会委員、同省地域生活支援計画策定プロジェクト委員会委員、同省社会保障審議会介護給付費分科会委員、総務省地域経営懇談会委員、同省合併サポーター(まちづくり有識者)、新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)メンバー、地域・生活者起点で日本を洗濯(選択)する国民連合(せんたく)幹事、地域ケア政策ネットワーク代表理事、福祉自治体ユニット監事、(公財)成年後見センター・リーガルサポート理事、全国市長会理事、同地方分権改革推進委員会委員、同介護保険対策特別委員会委員、(公財)総合研究開発機構(NIRA)地域再生と広域型公共サービスのあり方に関する研究会委員、(独)福祉医療機構(WAM)審査・評価委員会委員長等を歴任。
2010年、盛岡大学栄養科学部教授(臨床医学・健康管理概論等担当)、2011年、同大栄養科学部長、2014年、同大客員教授。
併せて現在、京都大学医学部非常勤講師(糖尿病・内分泌・栄養内科学講座)、弘前大学医学部学部長講師(社会医学講座)を兼任。
これまでに日本大学医学部兼任講師(公衆衛生学講座)、岩手医科大学医学部非常勤講師、東京大学大学院農学生命科学研究科特別支援員(魚病学研究室)、東京大学客員研究員(経済学部)等も務めた。
現在、㈳社会的包摂サポートセンター代表理事(よりそいホットライン運営)、「若草プロジェクト」呼びかけ人。
1999年、介護支援専門員(ケアマネジャー)試験合格、2007年、弘前大学大学院医学研究科神経精神医学講座研究生。
東日本大震災時の災害医療貢献に対して日本糖尿病協会から功労賞、「よりそいホットライン」の活動実績に対し宮沢賢治学会からイーハトーブ賞奨励賞(社会的包摂サポートセンター代表理事として)、紺綬褒章、総務大臣表彰、宮古市市勢功労者、地域経済賞(ちいき総研)等を受賞。
日本糖尿病学会専門医、医療法人双熊会理事長、医学博士。
登録情報
- 出版社 : 幻冬舎 (2020/12/28)
- 発売日 : 2020/12/28
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 232ページ
- ISBN-10 : 4344932021
- ISBN-13 : 978-4344932029
- 寸法 : 12.9 x 1.6 x 18.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 644,797位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 19,769位エッセー・随筆 (本)
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原発事故後、多くの専門家が自分の専門分野に引きつけて福島について語り、書いてきた。
それらは物事の一面を切り取る反面、別の面を見えなくさせてしまうものではなかっただろうか?
著者は福島県で生まれ育った、医師、市長を三期務めた政治家、そして声なき人々の声に耳を傾けてきた社会事業家(「寄り添いホットライン」理事)。住民の健康を守る医療、行政のあり方。政治の覚悟や決意はどうあるべきか。声を上げられない人々の「ことば」にどう耳を傾けるのか。この視点の多重性は「学祭」「多面的」などという言葉では片付けられない。目の前に苦しんでいる仲間がいる、その手助けができれば、とあらゆるアプローチを駆使して「駆けて来た」のが著者熊坂氏なのだろう。著者は「語りにくい」問題、時には耳の痛い問題にも冷静な診断を下しつつ、その筆致には地域で暮らす人々を思う「町医者」のぬくもりがある。この3月には原発事故から10年を迎え、様々なアニバーサリー報道が溢れるだろう。『駆けて来た手紙』は一過性の「3.11モノ」ではない。長く読み継がれて欲しい本だ。
それらは物事の一面を切り取る反面、別の面を見えなくさせてしまうものではなかっただろうか?
著者は福島県で生まれ育った、医師、市長を三期務めた政治家、そして声なき人々の声に耳を傾けてきた社会事業家(「寄り添いホットライン」理事)。住民の健康を守る医療、行政のあり方。政治の覚悟や決意はどうあるべきか。声を上げられない人々の「ことば」にどう耳を傾けるのか。この視点の多重性は「学祭」「多面的」などという言葉では片付けられない。目の前に苦しんでいる仲間がいる、その手助けができれば、とあらゆるアプローチを駆使して「駆けて来た」のが著者熊坂氏なのだろう。著者は「語りにくい」問題、時には耳の痛い問題にも冷静な診断を下しつつ、その筆致には地域で暮らす人々を思う「町医者」のぬくもりがある。この3月には原発事故から10年を迎え、様々なアニバーサリー報道が溢れるだろう。『駆けて来た手紙』は一過性の「3.11モノ」ではない。長く読み継がれて欲しい本だ。