香りを楽しみます。ディフューザーという器具を使いますが、何もないときはティッシュなどに1~2滴落として近くにおいて楽しみます。 日南高原アロマ蒸留所でくろもじの枝葉を水蒸気蒸留しました。くろもじ(学名:Lindera umbellata)は日本原産の落葉樹です。北海道以南の山野に原生します。緑色がかった幹や枝に現れる黒い斑点が特徴です。香料が工業的に作られる以前、くろもじの枝葉を水蒸気蒸留して得たくろもじ精油は貴重な天然香料でした。化粧品や石鹸などに使用され、くろもじ精油を髪につける椿油に混ぜ香りづけに用いたりもしたそうです。化粧品以外にも、その上品な香りと抗菌性などの効果から、和菓子に添える爪楊枝として「黒文字」が現在でも使われています。原材料の枝葉の量に対して得られるくろもじ精油の量はきわめて少なく、そのため少しでも多くの精油を抽出するための工夫が古くからなされてきました。そのひとつが原材料を採取する時期です。くろもじは5月~6月に、抽出される精油の量が最大となりますが、なかでも満月の日に採取したくろもじの枝葉からは多くの精油が得られるといわれています。その理由ははっきりとはわかりませんが、月齢に応じて変化する害虫の量と、木の中に蓄積される害虫に対する忌避物質(精油の成分と共通)の量とが関連していると考えられます。