"それだからこそ私はあえて主張するのである、人は皆エロスを尊重せねばならぬと"師であるソクラテスを主な語り手として紀元前の饗宴でのエロスをテーマにした対話を戯曲的に描いた本書は、地上の愛『エロス』は肉体から精神、そして永遠なる美のイデアへと高まると説く祝祭感に満ちた一冊。
個人的には、紀元前416年のアテナイの詩人アガトンがコンクールで初優勝した翌日に自宅で行われた饗宴(いわゆる飲み会)での参加者からの"エロスには誰一人としてふさわしい賛美の歌をささげた者がいない"(ので)"順に美しくエロス賛美の演説を試みよう"との提案を受けて始まる本書、何となく積読になっていたのですが。ようやく手にとりました。
さて、そんな本書は前述の通り、ワインを片手に、エロスをテーマに"エロスは最古の神にして少年愛に生きる源泉だ!"少年愛には肉体派と魂派がある!""人間はもともと背中合わせの一体(アンドロギュノス)であったが、神によって2体に切り離されたのだ!"などと【喧々諤々の議論】が参加者によって繰り広げられた後に【ソクラテスが大トリとして】(最後を持っていき)そして最後は泥酔者者の乱入によって終演するのですが。何とも漂う喜劇的な空気感が楽しかった。
また、矮小化して恐縮ですが。現代において仮に私他の男性たちで集まって同様のテーマで朝まで飲み会を行ったならば。はっきり言って【下ネタあるいは肉体の愛】について終始くだらない話をしていると容易に予想される事から、いやー紀元前の人たち(弟子フィルター的理想化があるとしても)高尚で熱いな!と素直に圧倒されたり(笑)
喜劇的な古代ギリシャ人たちの宴の様子を追体験したい、あるいはエロス(少年愛含む)について熱く語りたい人へ、スパイス的にオススメ。
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