![[里つばめ]の風待ち休暇 (バーズコミックス リンクスコレクション)](https://m.media-amazon.com/images/I/51vrPe-6QRL._SY346_.jpg)
最初に作家さんの全体的なレビューですが、この方はそうした方が魅力を伝えやすいと思いますのでご容赦ください。
里つばめさんの作品を元々お好きな方なら、特にGAPS・DOGSがお好きな方は間違いなく楽しめる作品集です。
こちらの作家さんの魅力は言葉で伝えるには難しいのですが、個々のキャラクタの在り方と関係性、感情や環境の変化の丁寧さ、特徴的ながら見やすく印象を伝えてくる空気感と画面作りの素晴らしさ、キャラクタ達の仕事や趣味に関しても「お詳しいのだろうな」と思えるしっかりとした内容でストーリーに組み込み描かれる方です。
それでいて、表情や間・言い回しなどで余分な説明（台詞）を一切入れないところが読み手に想像の余地を与え、何度も読み返したくなります。
もっと簡単に、「萌」「エモ」というような記号で表すとしても、間違いなくブレない性癖を感じる上、それがさらりと入っている為、好きな方にはこの上なく刺さる作家さんです。
解釈勢の読み手さんには更に刺さるでしょう。（私だ）
そんな話を語っていたいところですが、今回は短編集であるということもあり、他の方もおっしゃる通り「もっと続きが読みたかった！」というお話がほとんどです。
ただ、全話綺麗に引きよく終わっているため、十分な満足感のある一冊に間違いありません。
短編集ですので、感情・関係面以外は上記ほどじっくりとした描写は少なく軽めではあります。
また、エロ描写についてはほとんどありません。
あってもこの作者さんの場合は直接描写は少なく（ある時はありますがすごい上手い感じに隠れてて雰囲気も良いので胸が熱いです）
参考までに収録4作品の概要…ネタバレはできるだけ回避していますが嫌な方は流してください。
・風待ち休暇：リストラでやさぐれた流れを変えるため離島に訪れた主人公と好青年感のある案内人。過ごす中、互いの意外な所や居心地の良さを自然と感じていく。風の流れを感じるような緩やかで自然な恋の関係が見える。反面意外とぐいっとくる青年も良し。
・加賀秀明の少し特殊な日常（前後編）：生真面目過ぎてマニュアル型天然な主人公と人懐っこさのある青年。青年のおかげでマニュアル外の日常と感情を知る。どちらも非常に可愛い組み合わせで、生真面目さも嫌味のない可愛さ。
・春を待たずに：学生時代から片想いの先輩に〇〇したら告白しよう。それを中々遂げられず落ち込んでいく日々の主人公と、卒業後も気がけてくれて、主人公よりも彼のことを分かっている先輩。…待ってません？待ってません？
・壁越しに住む人：浪人生で様々な悩み（わかる）を抱える主人公。なぜか見る度に入居者が違う不思議な隣室。そんな中、唯一固定の顔の1人と仲良くなっていき互いを知り合っていく恋愛までの緩やかな模様。
・晴れた休み明けに（風待ち休暇の後日談）
初めてこの作者さんの作品をに興味を持たれた方には、色々な組み合わせを見られるライト作品群としておすすめです。
そして是非他も読んでみてください。
GAPS/DGS、俺が好きなら〜などの長編を読まれた方は、その下地や片鱗を見るかのような箇所もあり、ファン読みの一冊としてもおすすめです。
長く失礼いたしました。
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