書店の棚でこれ見よがしのパフォーマンスをしている本に比べて慎ましく控えめな自己主張。それでいて中身は他を圧倒する質の高さと密度の濃さ。こんな本が728円で買える。
ただしこの本に取り組むには文法の基礎を終えて高校2年生程度の教科書の長文を終えたあと、ある程度構文の文法的な解析ができるようになってからの方がいいかも知れない。でないと何が書いてあるのかちんぷんかんぷんということになりかねない。つまり解説のレベルが非常に高いのだ。文章のレベルも「やさしめと」あるが難かしい英文に対して相対的にやさしめという意味でそんなに易しいわけでもなく課が進むにつれてむずかしくなっていき、一課と二課の間には段差がある。
(因みに第2課の英文は「基礎問題精講」の68,第6課の仮定法を主題としたヘレンケラーの美しい文は同18の英文と同じ出展など、他にも同じ出展文がある)
解説が詳しいだけに短時間で読もうとしないで時間をかけてじっくり読み進めるのがよい。
たとえば、
If it were possible, as it is not, to come out of college with a trained and disiplined mind and nothing useful in it, you would still be ahead, and still, in a manner, educated.
土台となる基本構文である仮定法過去構文の中に、直説法構文(as it is not possible)が挿入され、さらに付帯状況のwithをともなったto come out of以下を真主語とする形式主語構文(itが2つ)があり、またif〜,still〜文がありといった具合に複雑に絡み合った一文を丁寧にわかり易く説明してくれる。このあたりの英文の構造解析を面白く感じながら勉強できる本です。
またこの本の問題には、本文の英文の一部をかっこなどで空欄にして当てはまる適当な語彙を尋ねるような問題が全くない。これは英文の通読学習の際の重要なことで、( )等で本文を空欄にされてしまうと英文読解の思考の流れを遮られてしまう。このような問題は通読学習の阻害要因であることをこの本の著者はちゃんとわきまえておられるのだろう。
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