原作未読者および既読者だがよく分からなかった方のために。
本作は西尾維新『戯言シリーズ』の登場人物、零崎人識、ならびに
彼が所属する組織『零崎一賊』に焦点を当てたスピンオフ小説のコミカライズである。
『零崎』は人間の中から偶発的に生まれる、人を殺さなければならない性を持った殺人鬼。
そうして、普通の生活を失った殺人鬼たちが家族として集まったものが『零崎一賊』である。
殺人鬼は人を殺す鬼であるが、鬼を殺す鬼ではない。故に共生できる。
家族が被害を被ったならば、敵は一族郎党老若男女の区別なく皆殺し。
『零崎一賊』の恐怖を知らしめることで一族の安全を守っている集団である。
零崎双識は人間だったころを知らず知人もいない、生まれながらの殺人鬼である。
『人間だった頃』が存在しない為か殺人鬼としての強さよりも『普通』の営みを、家族を最優先する。
ナイフを二つ鍛接し平和的な文房具にデチューンした大鋏『自殺志願』は彼の在り方を重ねた分身である。
本作、および原作はそんな彼と一族の戦いを描いた作品である。
漫画についての評価は素直に原作小説を読んだ方がいいという印象。一長一短。微妙である。
序盤殺人鬼になりかけの無桐伊織に焦点を当てた改変など面白い部分はあるのだが、
原作のコメディ要素や『戯言シリーズ』とのクロスオーバー(これは仕方ない)が削られ、
最終的に何か言うたび決めゴマが使われるような単なるオサレ漫画になってしまっている。
戦闘描写も線の細い絵にごちゃごちゃした構図が合わさりよく分からない。
原作小説からエピソードが抜かれ、漫画だからこそできる表現というものが無いので
ファンアイテム以上の意味はないと言わざるを得ない。
最も残念なのは本作見せ場の一つである『あるエピソード』が省かれている点である。
既読読者は想像できるだろう。この作品が死ぬのは、漫画家が『悪かった』のではなく、
出版社が、版権が、そもそもこの企画自体が『悪かった』のだ。
以上の理由から、総合的には小説版を読むべきという感想である。
ついでに『戯言シリーズ』に手をだしてもいい。
そして漫画版『零崎軋識の人間ノック』は文句の出ない出来である。
零崎双識の人間試験(1) (アフタヌーンコミックス) Kindle版
西尾維新
(著),
シオミヤイルカ
(著)
形式: Kindle版
シオミヤイルカ
(著)
著者の作品一覧、著者略歴や口コミなどをご覧いただけます
この著者の 検索結果 を表示
あなたは著者ですか?
著者セントラルはこちら
|
-
言語日本語
-
出版社講談社
-
発売日2011/12/22
-
ファイルサイズ101502 KB
この本はファイルサイズが大きいため、ダウンロードに時間がかかる場合があります。Kindle端末では、この本を3G接続でダウンロードすることができませんので、Wi-Fiネットワークをご利用ください。
【Kindleマンガ ストア】:
人気・新着、お買得タイトルをチェック。Kindle端末がなくても、
Kindle Web Reader
ならブラウザでマンガがすぐ読める。
-
このシリーズの次の3巻
¥ 1,980
21 pt (1%) -
このシリーズの次の5巻
¥ 3,300
35 pt (1%) -
このシリーズを全巻まとめ買い (1巻-5巻)
¥ 3,300
35 pt (1%)
このシリーズの次の3巻
シリーズの詳細を見る
このシリーズを全巻まとめ買い
シリーズの詳細を見る
高評価のインディーズマンガ
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
- 零崎軋識の人間ノック(2) (アフタヌーンコミックス)Kindle版
- 零崎軋識の人間ノック(4) (アフタヌーンコミックス)Kindle版
- 零崎軋識の人間ノック(3) (アフタヌーンコミックス)Kindle版
- 零崎軋識の人間ノック(1) (アフタヌーンコミックス)Kindle版
- 掟上今日子の備忘録(1) (月刊少年マガジンコミックス)西尾維新Kindle版
- 冷たい校舎の時は止まる(1) (月刊少年マガジンコミックス)Kindle版
こちらもおすすめ
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
- 零崎軋識の人間ノック(1) (アフタヌーンコミックス)Kindle版
- 悲鳴伝(1) (ヤングマガジンコミックス)Kindle版
- 零崎軋識の人間ノック(4) (アフタヌーンコミックス)Kindle版
- 零崎軋識の人間ノック(2) (アフタヌーンコミックス)Kindle版
- 掟上今日子の備忘録(4) (月刊少年マガジンコミックス)Kindle版
- 零崎軋識の人間ノック(3) (アフタヌーンコミックス)Kindle版
カスタマーレビュー
5つ星のうち3.1
星5つ中の3.1
17 件のグローバル評価
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
ベスト500レビュアーVINEメンバー
Amazonで購入
殺人鬼たちの輪舞がテーマとでも言えばいいのだろうか。主人公は零崎双識、ヒロインは無桐伊織、そして襲い掛かる自我を失った人々というバトルロイヤルです。ただ、西尾作品の常としてどれほど血が流れても血なまぐさくならない。死体ががまさに死血山河を築こうが、残酷であっても無残ではない。伝説シリーズでもその不思議な残虐さは幻想的な魅力がありましたが、それは本作でも輝いています。首が飛びの喉から血が吹き上げ、体は四分五裂、その華やかな死屍累々な地獄絵図は見る者を魅了する。ただ、想像の世界と絵の世界はそのまま無限と有限の差となって表れる。どう描いても描き手の実力が絵に表れる。この作品を小説で読むのは面白いだろうが、コミックで読むのはそれほど興をそそられない。
2016年10月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
レビューに辛口が多かったので、興味本位でDLしたンですが(あまのじゃくだね)、良かったゾ。
絵は好みだし、スピード感ある展開だし、主人公の素の状態の不思議ちゃんキャラと覚醒(?)後の凄味のあるキャラのギャップも、インパクトをもって表現されてると思う。
最初の数ページの「試し読み」では、ちょっとこの作品のノリが把握出来ないのが残念だけど、アクロバティックな流れでガンガン行く。
謎めいた設定も上手いし、性急に舞台をぜーんぶ説明しちゃって、ハイ、説明終ったから後はひたすらバトル漫画描いて自己陶酔します・・・ってならないのも評価出来る。
絵は好みだし、スピード感ある展開だし、主人公の素の状態の不思議ちゃんキャラと覚醒(?)後の凄味のあるキャラのギャップも、インパクトをもって表現されてると思う。
最初の数ページの「試し読み」では、ちょっとこの作品のノリが把握出来ないのが残念だけど、アクロバティックな流れでガンガン行く。
謎めいた設定も上手いし、性急に舞台をぜーんぶ説明しちゃって、ハイ、説明終ったから後はひたすらバトル漫画描いて自己陶酔します・・・ってならないのも評価出来る。
2012年7月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
戯言シリーズ、人間シリーズともに読んでしまいました。キャラクター達が魅力的な作品でした。新しい作品はもう見られないので少々さびしく感じていました。コミカライズ版も有ると知って購入しました。
小説を読んで脳内で描いていたイメージと違う部分がありましたがこれは作者と自分の違いでしょうから異論はありません。伊織ちゃんの緊張するとついおちゃらけてその場をしのごうとするようなところなどはイメージどおりでした。
マインドレンデル(武器のほう)がどのように描かれているかが楽しみでしたが初登場のコマは効果をつけすぎていてよくわからなかったのが残念でした。
小説を読んで脳内で描いていたイメージと違う部分がありましたがこれは作者と自分の違いでしょうから異論はありません。伊織ちゃんの緊張するとついおちゃらけてその場をしのごうとするようなところなどはイメージどおりでした。
マインドレンデル(武器のほう)がどのように描かれているかが楽しみでしたが初登場のコマは効果をつけすぎていてよくわからなかったのが残念でした。