九巻の書評にて苦言を呈した某でござるが、
この十巻では打って変わって大満足の最高評価を差し上げとうございまする。
世に云う上杉謙信公と武田信玄公の川中島の合戦は、五回無いし六回行われたと言われておりまするが、本作では、九巻の時点で漸く第二回の合戦が描かれたことから、この話は何巻まで続くのだろうか、と、正直なところ少しの不安と軽い眩暈に似たものを感じましてございまする。
しかし、十巻を手にして仰天!なんと、本巻が最終巻!これには意表を突かれてござる。
第三次川中島の決戦は、睨み合いで終わっているので、という理由ですっ飛ばすという豪快さ。
その分、第四次は、作者殿が古戦場の現地取材で実感した思いや、作者殿なりの解釈を織り込みつつ、しかと描かれており、読み応え十分。
作者氏が女性であり、男女の恋愛描写を好まれていることから、近年の日本放送協会の大河のように、合戦描写はサラッと流してしまうことも予想していたため、こうした展開は拙者にとって意外性もあり、却って大いに盛り上がり申した。
また、過去の書評にて甲冑の描き込みにも苦言を呈した拙者で御座るが、その点もかなり改善されており、違和感はだいぶ少なくなっていたのも良し。
その辺の事情も、巻末のおまけ漫画に面白おかしく描かれており、それもまた本巻の楽しみのひとつ。
ところで、これは全く批判や苦言の類では無いのでござるが、作者殿は黒沢明監督の「影武者」もご覧になっておりまするな。
20ページの宗謙のセリフは、そうと取れるものがあり、あの映画が好きで何度か繰り返して観ている拙者にはすぐにピンときて、そして心くすぐられるものがありました。
たしか、名優大滝秀治氏が演じた山形昌景のセリフだったと記憶致しまする。
もっとも、アドバイザーが存在しており、その方が某同様『武田びいき』という事なので、
作者氏ではなく、その方の進言によりこのセリフが採用されたのかも知れませぬが。
(信玄だけに進言・・・プ)
晩年、虎様が信長の軍勢を余裕でコテンパンにする戦がありますが、それが描かれなかったのは唯一残念。
今後、読み切りか何かで、虎様の鬼神の如き活躍が描かれることを期待致しまする。
その時々で一喜一憂させられながらも
六年間の長きにわたり楽しめたのは動かしがたい事実。
作者殿には感謝の気持ちすら湧きまする。
心より御礼申し上げまする。良い時間をありがとうございました。
雪花の虎 (10) (ビッグコミックススペシャル) (日本語) コミック – 2021/2/12
東村 アキコ
(著)
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10巻中10巻: 雪花の虎
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本の長さ256ページ
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言語日本語
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出版社小学館
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発売日2021/2/12
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ISBN-10409861006X
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ISBN-13978-4098610068
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カスタマーレビュー
5つ星のうち4.5
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ベスト500レビュアー
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VINEメンバー
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本巻で最終巻。巻末おまけ漫画のコメントによると著者はもともと「10巻以内で終わらせる予定」だったそうですが、その割には割かなくて良い部分に枠を割き、最終巻は色々すっ飛ばして駆け足で終わったような打ち切り感は否めないです。1556年の謙信出奔のエピソードからはじまり、途中何年も時間を飛ばして、最終巻はほぼほぼ謙信VS信玄のクライマックスである「第四次川中島合戦」の描写(独自解釈含む)に終始し、エンディングを迎えます。山場である川中島合戦の描写についてはなかなか面白く漫画としての盛り上がりもありましたが、やっぱり駆け足な感じはしたかな…「謙信女性説」と「謙信と信玄という2人の人物の物語」に主軸を置いて、他をできるだけ余計なものは出さない、というのもわかるんだけど、結果、敵役である武田家の描写も薄いし、前半の強敵の1つである北条家や後半の強敵である織田家などが全く描写されないのも寂しい。(北条・織田はまだしも、上杉・武田の家臣連中はもっと描写割いても良かったんじゃないかなあ)女性謙信という「個」の描写には凄く丁寧に時間を割いて描いている反面、脇を固める上杉家臣や敵役の武田家の描写が後半に行くにつれ簡略化され、扱いが無いも同然なのがなんとも。後半に行けば行くだけ謙信の1人舞台みたいな感じが強くなっていくんですよね。そこに感情移入ができるか否かで物語に対する没入感は変わるんだろうけど僕は感情移入できませんでした。もっと上杉家中の連中がワチャワチャしてるの見たかったと思うだけに残念。あとまあ別に謙信が死ぬまで続ける必要性もなかったんだろうけど、やはり川中島をクライマックスとして事実上「ここで物語はおしまい」とするのもやっぱ寂しい部分はあったかな。「女謙信」の物語をアピールするためには必要だったんだろうけど、宗謙や光秀との恋愛描写にあそこまで枠を割く必要あったのかなあ…って思ってしまいますね。色々期待していただけでに「ここで終わっちゃうの?」って寂しさと「【女・謙信】【義の人・謙信】に軸を置く余りに他の人物描写が薄くなったり、結構強引な解釈があったなあ」ってとこがもったいなかったなって感じはしました。個人的な見解としては9巻で「ちょっと盛り下がったけどここから盛り返すかな?」で10巻は「川中島は盛り上がったけど、ここで力尽きたかあ」ですかね。「その後のメインキャラ」みたいの見たかったなあ…信玄ですら最後何も触れないまま終わるし…
2021年3月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
予定調和というか、無理に長くなることもなく、多少無理があったかもしれない女性説をきれいにまとめたと思う。
無理があったかもと書いたのは、知人の奥様がまさに謙信の出身地というか支配した土地の生まれ育ちだが、女性説は聞いたことがないといってたから。
だけど、女性風の肖像画、派手というかきらびやかな食器、伝承してる歌詞とか謙信の習慣などをきくと、もしやと思わせるところもあることを広く知らしめたのが、この漫画の業績かも。
無理があったかもと書いたのは、知人の奥様がまさに謙信の出身地というか支配した土地の生まれ育ちだが、女性説は聞いたことがないといってたから。
だけど、女性風の肖像画、派手というかきらびやかな食器、伝承してる歌詞とか謙信の習慣などをきくと、もしやと思わせるところもあることを広く知らしめたのが、この漫画の業績かも。