社会連帯思想にもとづく福祉国家が管理社会と批判されたのは1980年代。小さな政府は結局のところ排除型社会を生み出してしまった。ここからの分断、すなわち今の新自由主義の終焉は、19世紀から20世紀にかけての自由貿易主義からケインズ主義への転換と重なる。
理想郷を求めて時代は巡るのだから、フーコーをはじめとした哲学思想には大いなるヒントがある。
そうなると、災害やテクノロジーによって個人で背負いきれないリスクが増える今の時代、相互扶助はどう実装されるべきなのか。実は社会連帯思想の裏には、多様性や分業がある。協同組合と言うと古臭いが、本来は利益を追求しないという意味で、株式会社の対義語だったとか。
なるほど、アートの界隈ではコレクティブなんて言葉も流行っている。
社会、経済、技術の間で見落としがちな政治の視点を拾ってくださる貴重な一冊。
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