防衛問題に関する本は数多いが、防衛産業や装備品の調達の問題点に論点を絞った本書は希有の存在だと思う。防衛費が年々減少していく中で、防衛省の装備品調達費は大幅な増加が見込めず、さらに装備品の中でもミサイル防衛関係が最重視され、その他の装備品にツケが回っている。また、日本には産業保護のために無数の防衛関係の事業者が存在したり、海外からの装備品の輸入を商社に依存していることから、装備調達費が高騰している。これらの問題意識は全うなものであり、新書という形でこういった問題点を世に示した功績は極めて大きいと考える。また、筆者は軍事ジャーナリストであり、世界の防衛産業について豊富な知識を有しており、本書を読むと大変勉強になる。特に、昨今の欧米における防衛関係企業の大規模な合併や、装備品の国際共同開発の動向を手際よくまとめられており、有用だと思った。
他方で、筆者は自分でも認めているとおり、防衛省・自衛隊に対して厳しい見方をしている。それはそれで一つの見解だと思うが、問題はその見方がバイアスとして作用していると考えられる箇所が少なくない点だ。筆者が本書の中でとっている手法は、欧米の国々の国防省の調達方法と日本のそれを比較し、日本の異質ぶり(筆者は「ガラパゴス」という表現を多用)を浮き彫りにし、それだから日本はダメだという論法である。しかしながら、現在欧米では抜本的な調達の見直しが進められている。このような状況下では筆者の論法は全く説得力を有さない。また、筆者はあくまで兵器の専門家であって、軍事の専門家ではない。自衛隊の装備を論評するには、まず日本を取り巻く軍事情勢の評価、そしてその中で日本がとるべく戦略を示した上で、どのような装備品を自衛隊は調達すべきか、という論法をとるべきだが、筆者には装備品以外の知識があるようには全く見受けられなかった。
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防衛破綻―「ガラパゴス化」する自衛隊装備 (中公新書ラクレ) 新書 – 2010/1/10
- 本の長さ221ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2010/1/10
- ISBN-104121503384
- ISBN-13978-4121503381
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
国防に関する「世界の常識」が通用しない日本。「高い、古い、遅い」兵器の通達に税金が浪費されている。政治家もメディアも指摘しない、自衛隊の装備調達の異常な実態を明らかにする。
著者について
清谷信一 きよたに・しんいち <P>1962年生まれ、東海大学工学部卒。ジャーナリスト、作家。2003‾08年まで英国の軍事専門誌『ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー』日本特派員を務める。香港を拠点とするカナダの民間軍事研究機関Kanwa Information Center上級アドバイザー、日本ペンクラブ会員。欧州、中東、南アフリカなど豊富な海外取材とネットワークをベースにした防衛産業の分析には定評がある。<BR>著書に、『防衛破綻──「ガラパゴス化」する自衛隊装備』(中公新書ラクレ)、『自衛隊、そして日本の非常識』(河出書房新社)、『弱者のための喧嘩術』(幻冬舎アウトロー文庫)、『こんな自衛隊に誰がした!--戦えない「軍隊」を徹底解剖』(廣済堂)、『不思議の国の自衛隊--─誰がための自衛隊なのか!?』KKベストセラーズ)、『ル・オタク--フランスおたく物語』(講談社文庫)、『軍事を知らずして平和を語るな 』(石破 茂氏との共著 KKベストセラーズ)、『アメリカの落日──「戦争と正義』の正体』(日下公人氏との共著 廣済堂)などがある。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
清谷/信一
1962年生まれ。東海大学工学部卒。ジャーナリスト、作家。2003~08年まで英国の軍事専門誌『ジェーンズ・ディフェンス・ウイークリー』日本特派員を務める。香港を拠点とするカナダの民間軍事研究機関、漢和情報センター(Kanwa Inofrmation Center)上級アドバイザー、日本ペンクラブ会員。欧州、中東、南アフリカなどでの豊富な海外取材とネットワークをベースにした防衛産業の分析には定評がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1962年生まれ。東海大学工学部卒。ジャーナリスト、作家。2003~08年まで英国の軍事専門誌『ジェーンズ・ディフェンス・ウイークリー』日本特派員を務める。香港を拠点とするカナダの民間軍事研究機関、漢和情報センター(Kanwa Inofrmation Center)上級アドバイザー、日本ペンクラブ会員。欧州、中東、南アフリカなどでの豊富な海外取材とネットワークをベースにした防衛産業の分析には定評がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
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2010年10月3日に日本でレビュー済み
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25人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2010年7月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日本の「防衛」、そしてそれに必要不可欠な自衛隊の
軍事装備について考察し、検証した本です。
航空機から隊員の装備品に至るまで、鋭い視点で厳し
い御指摘をなさってます。自衛隊の兵器調達にはまだ
改善すべき点がいっぱいあり、国産兵器の導入に固執するあまり、
実戦経験に基づき改良されてきた海外製の兵器と比べ
値段が何倍もするため、必要な数を揃えられず、本当
に必要な物が買えない状況なんだそうです。今まで防衛
というジャンルでこうした「無駄遣い」の指摘をした
本はなかなか見なかったので、自衛隊の予算の使い方はまだかなり問題
があるという事が分かってて良かったです。が。
そんなに自衛隊の装備はダメなのかと疑問をもって調べると、
かなりの部分において無知や勘違い、多角的な視点
の欠如が指摘されてますね。
例えば清谷さんが急難ヘリコプタと用途が被って無駄
だ、
一機200億もする、使っているのは日本だけだと非難
している救難飛行艇は、実はロシア軍も装備していて、
広い領海をカバーするのにはヘリコプターでは航続距離
が足りず飛行艇が必要なんだそうです。アメリカ軍は
普段展開している艦船が多く、ヘリコプターを中継させ
られるので飛行艇は必要ないんだとか。僕は後者の方が納得出来ると感じます。
他にも突っ込まれている箇所がいくつもあるんですが、
果たしてこの清谷さんという人の主張はマトモだと言
えるのでしょうか
。僕は軍事に関して素人ですが
イマイチこの本の信頼性に疑問を感じざるを得ませんた。
軍事装備について考察し、検証した本です。
航空機から隊員の装備品に至るまで、鋭い視点で厳し
い御指摘をなさってます。自衛隊の兵器調達にはまだ
改善すべき点がいっぱいあり、国産兵器の導入に固執するあまり、
実戦経験に基づき改良されてきた海外製の兵器と比べ
値段が何倍もするため、必要な数を揃えられず、本当
に必要な物が買えない状況なんだそうです。今まで防衛
というジャンルでこうした「無駄遣い」の指摘をした
本はなかなか見なかったので、自衛隊の予算の使い方はまだかなり問題
があるという事が分かってて良かったです。が。
そんなに自衛隊の装備はダメなのかと疑問をもって調べると、
かなりの部分において無知や勘違い、多角的な視点
の欠如が指摘されてますね。
例えば清谷さんが急難ヘリコプタと用途が被って無駄
だ、
一機200億もする、使っているのは日本だけだと非難
している救難飛行艇は、実はロシア軍も装備していて、
広い領海をカバーするのにはヘリコプターでは航続距離
が足りず飛行艇が必要なんだそうです。アメリカ軍は
普段展開している艦船が多く、ヘリコプターを中継させ
られるので飛行艇は必要ないんだとか。僕は後者の方が納得出来ると感じます。
他にも突っ込まれている箇所がいくつもあるんですが、
果たしてこの清谷さんという人の主張はマトモだと言
えるのでしょうか
。僕は軍事に関して素人ですが
イマイチこの本の信頼性に疑問を感じざるを得ませんた。
2016年12月12日に日本でレビュー済み
本書は、自衛隊の装備についての批判を展開する本。
装備の選択・調達方法だけでなく、その根拠となっている法の不備についても、著者の持論を展開している。
私自身、軍備、防衛については疎いので、著者の現状認識・主張が正しいのかどうかは分からない。しかし、現在の武器装備調達方法は課題山積であることは事実のようだ。
本書の中で著者は防衛問題に関して面白い表現をしている。福祉、医療、教育に関して一家言を持っている人に、福祉オタク、医療オタク、教育オタクとは言わないが、防衛問題に関しては、積極的に発言すると「防衛オタク」と揶揄される。
我々日本人は、自国の防衛にこの程度の認識、興味関心しか持っていないないのだろう。毎年5兆円弱の防衛費をつぎ込んでも、その使い道にさほど関心を示さず、無駄遣い垂れ流しを容認している。
私たちが、国家の防衛を真剣に考える日(憲法上の扱いも含めて)は何時やってくるのだろうか
装備の選択・調達方法だけでなく、その根拠となっている法の不備についても、著者の持論を展開している。
私自身、軍備、防衛については疎いので、著者の現状認識・主張が正しいのかどうかは分からない。しかし、現在の武器装備調達方法は課題山積であることは事実のようだ。
本書の中で著者は防衛問題に関して面白い表現をしている。福祉、医療、教育に関して一家言を持っている人に、福祉オタク、医療オタク、教育オタクとは言わないが、防衛問題に関しては、積極的に発言すると「防衛オタク」と揶揄される。
我々日本人は、自国の防衛にこの程度の認識、興味関心しか持っていないないのだろう。毎年5兆円弱の防衛費をつぎ込んでも、その使い道にさほど関心を示さず、無駄遣い垂れ流しを容認している。
私たちが、国家の防衛を真剣に考える日(憲法上の扱いも含めて)は何時やってくるのだろうか
2010年3月1日に日本でレビュー済み
この人の評論のスタンスの一つに「自衛隊装備のガラパゴス化」というものがあります。
ガラパゴス化している故に、無駄な装備が多い、税金の無駄遣いだというものです。
本書でもそれが根底にあるのですが、全く意味の無い批判だといえるでしょう。
ガラパゴス化は国際競争力を論じる時に出される概念ですが、日本は武器輸出三原則で輸出すらしていません。
またどこの軍隊でも装備の開発や調達に先立ち要求をだしますが、清谷氏は自衛隊のそれを「防衛利権の為の合理的でないもの」とし、本来は不要な要求を出しているとしています。
そもそも論で言うと、どの国の装備でも各国の事情に基づき開発されているので、平たく言えば各国ともガラパゴス化しています。
グリペン戦闘機はスウェーデンの事情によりガラパゴス化しており、メルカバ戦車はイスラエルの事情によりガラパゴス化しています。
輸出が成功するか否かは、その事情を踏まえた仕様が他国で受け入れられるかどうか、政治的に可能であるかどうかにより左右されるのです。
また輸入することの是非は、開発できる装備かどうかを検討した上での選択肢の一つに過ぎません。
氏は最近10式戦車として制式になった新戦車について、「軽いから諸外国のMBTより防御が弱い」と批判。
ブログも含めた彼の言動を踏まえれば、小型軽量化要求はレオパルド2やエイブラムスを排除するための、不合理なものと認識しているようです。
しかし基本設計が30年前の、改良すれば重厚長大化しかねない装備を新規調達するのが、お得な買い物とは思えません。
それに10式と諸外国のMBTでは5mの高級車と4〜4.5mの小型乗用車ほど大きさが違い、加えて装甲材の改良を重ねた結果としてあの重量なのです。
その小型化の為に、エンジンは90式の10気筒1500馬力から8気筒1200馬力に小さくしつつ、無段変速機を採用して軸出力を向上させ動力性能を向上させるといった対応もしています。
素材の軽量化を無視、物体の容積も無視し、重量だけで防御を比較する意義はありません。
氏の国際関係論や政治に関する主張は、見るべきところは大いにあります。
しかしこと装備類に関しては根拠を欠いたり思い付きのような発想をし、また装備を見て運用を考えるきらいがあるので、良い評価はできないですね。
ガラパゴス化している故に、無駄な装備が多い、税金の無駄遣いだというものです。
本書でもそれが根底にあるのですが、全く意味の無い批判だといえるでしょう。
ガラパゴス化は国際競争力を論じる時に出される概念ですが、日本は武器輸出三原則で輸出すらしていません。
またどこの軍隊でも装備の開発や調達に先立ち要求をだしますが、清谷氏は自衛隊のそれを「防衛利権の為の合理的でないもの」とし、本来は不要な要求を出しているとしています。
そもそも論で言うと、どの国の装備でも各国の事情に基づき開発されているので、平たく言えば各国ともガラパゴス化しています。
グリペン戦闘機はスウェーデンの事情によりガラパゴス化しており、メルカバ戦車はイスラエルの事情によりガラパゴス化しています。
輸出が成功するか否かは、その事情を踏まえた仕様が他国で受け入れられるかどうか、政治的に可能であるかどうかにより左右されるのです。
また輸入することの是非は、開発できる装備かどうかを検討した上での選択肢の一つに過ぎません。
氏は最近10式戦車として制式になった新戦車について、「軽いから諸外国のMBTより防御が弱い」と批判。
ブログも含めた彼の言動を踏まえれば、小型軽量化要求はレオパルド2やエイブラムスを排除するための、不合理なものと認識しているようです。
しかし基本設計が30年前の、改良すれば重厚長大化しかねない装備を新規調達するのが、お得な買い物とは思えません。
それに10式と諸外国のMBTでは5mの高級車と4〜4.5mの小型乗用車ほど大きさが違い、加えて装甲材の改良を重ねた結果としてあの重量なのです。
その小型化の為に、エンジンは90式の10気筒1500馬力から8気筒1200馬力に小さくしつつ、無段変速機を採用して軸出力を向上させ動力性能を向上させるといった対応もしています。
素材の軽量化を無視、物体の容積も無視し、重量だけで防御を比較する意義はありません。
氏の国際関係論や政治に関する主張は、見るべきところは大いにあります。
しかしこと装備類に関しては根拠を欠いたり思い付きのような発想をし、また装備を見て運用を考えるきらいがあるので、良い評価はできないですね。
ベスト500レビュアーVINEメンバー
主として自衛隊の装備について、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊にわたって、しかも小銃、トラック、装甲車両、攻撃ヘリ、戦車、潜水艦、大型飛行艇、FX、空中給油機などなど、多くの装備をとりあげている。
その主な主張は、(a) 自衛隊は日本の実情に合わないムダな装備を取り揃えている、(b) 高価な買い物ばかりして基本的な装備はなおざりにされている、(c) わずかな発注しかしないので1機あたりの価格は非常に高いものになる、などなど様々なことが書かれている。
本書を読みながら、「個々の兵器の良否に関する著者の批判は本当にあたっているのだろうか」、「防衛省の調達は本当にここまでいいかげんなのだろうか」と思った。私は、防衛装備について全く知識が不足しており、その疑問は疑問のままであるが、「納税者として無関心すぎた」と反省して「今後、もう少し軍事面の知識を得よう」と思った。
書いてあることの当否はともかくとして、少なくとも「関心をもつきっかけ」としては意義のある本と思います。
その主な主張は、(a) 自衛隊は日本の実情に合わないムダな装備を取り揃えている、(b) 高価な買い物ばかりして基本的な装備はなおざりにされている、(c) わずかな発注しかしないので1機あたりの価格は非常に高いものになる、などなど様々なことが書かれている。
本書を読みながら、「個々の兵器の良否に関する著者の批判は本当にあたっているのだろうか」、「防衛省の調達は本当にここまでいいかげんなのだろうか」と思った。私は、防衛装備について全く知識が不足しており、その疑問は疑問のままであるが、「納税者として無関心すぎた」と反省して「今後、もう少し軍事面の知識を得よう」と思った。
書いてあることの当否はともかくとして、少なくとも「関心をもつきっかけ」としては意義のある本と思います。
2010年3月28日に日本でレビュー済み
戦争や武器、装備の関する基礎知識が私には欠けているので、「価格が高い」「無駄な機能だ」といった指摘はそうかもしれないと思って読みました。
むしろそれらを調達する方法や、国内産業を保護する仕組みの問題がとても大きなものであることに驚きました。
調達方法は官僚的というか前例主義、あるいはパソコンやコピー機を購入するにも特定業者から購入したり、予算の均等配分で結果的にそれぞれのパイが小さくなるといった現状の改革が可能だと思いました。また国内産業を保護するといいながら飼い殺している現状の指摘は国家戦略に関わるものであり、政府が明確な方針を示すべき分野だと考えさせられました。
ただそういった無駄は、自衛隊だけでなく、他の日本の組織には多いようで、でも私自身を含め、その組織の当事者になると気がつかないでいる部分もあるでしょうね。
ただ防衛省の調達に関しては、たの省庁より第三者機関に委ねれば評価をしやすいため、国家の無駄を省く仕組みのモデルが作りやすいかもしれません。
むしろそれらを調達する方法や、国内産業を保護する仕組みの問題がとても大きなものであることに驚きました。
調達方法は官僚的というか前例主義、あるいはパソコンやコピー機を購入するにも特定業者から購入したり、予算の均等配分で結果的にそれぞれのパイが小さくなるといった現状の改革が可能だと思いました。また国内産業を保護するといいながら飼い殺している現状の指摘は国家戦略に関わるものであり、政府が明確な方針を示すべき分野だと考えさせられました。
ただそういった無駄は、自衛隊だけでなく、他の日本の組織には多いようで、でも私自身を含め、その組織の当事者になると気がつかないでいる部分もあるでしょうね。
ただ防衛省の調達に関しては、たの省庁より第三者機関に委ねれば評価をしやすいため、国家の無駄を省く仕組みのモデルが作りやすいかもしれません。
2010年4月1日に日本でレビュー済み
これまで自衛隊や兵器調達などあまり関心がありませんでしたが、読んでみて意識がかわりました。ちょっと細かい話が多かったですが、新書ということもあってか専門知識がない読者にむけて書かれているようで、理解はしやすかったです。自衛隊や兵器にかかるお金の大きさと、なによりその杜撰さに驚きました。多くの人があまり興味はないけれども、ものすごく関係はしている防衛費について考えるのに、いい入門書となると思います。