シリーズ4巻を読み通したが、第3巻と、この第4巻については、正直なところ、熱心なファン以外には、“無用”の印象を受けた。
全巻を通じて、世界観はそれなりに魅力的であるものの、どの作品もストーリーの結末は、少なくとも私にはあまり面白くない。
ただし、第1巻は、モノクロ基調で、ギュスターヴ・ドレの木版画を真似たようなタッチの、凄まじい描き込みが素晴らしい作品がある。また、ピラネージの「牢獄」やブリューゲルの「バベルの塔」にインスパイアされたような『塔』など、ストーリーが全くつまらないというわけではない。
そして、第2巻は、空想的建築物や室内の、色調を抑えたカラー描写が美しいので、“画集”的に楽しめる。また、『サマリスの壁』は単純なストーリーながら、悪い夢を見ているかのような面白さがある。
一方、第3巻と、この第4巻は、カラー作品がメインで、表向きは美麗に見える。
しかし中身は、第1巻や第2巻が持っていたような素晴らしさには、乏しいと言わざるを得ないのではないか?
ストーリーは尻すぼみで、架空の国々の説明不足な設定が一人歩きするだけの、ガッカリな作品群だ。“驚天動地”など、どこにも感じられない。
グラフィックアートの面でも、第1巻や第2巻を本質的に凌いているとは、私にはとても思えない。
結局、第1巻と第2巻だけで、すべて事足りる。そういう印象を持った。
本書の大まかな内容は下記の通り。
(1)『アルミリアへの道』(約60ページ)
飛行船に乗って、グリーンランドのような北方の島に、あるメッセージを伝えに行く話。
(2)絵本小品(約35ページ)
・『傾いたメリー』 : 第1巻の「傾いた少女」に関する話。
・『月の馬』 : 白馬と少女の無言劇。
・『真珠』 : 滅亡に瀕した王国の王子の結婚の話。
(3)『永遠の現在の記憶』(約75ページ)
半ば廃墟と化した都市にいる、“最後の子供”の冒険話。
(4)『砂粒の理論』(約125ページ)
謎の少数民族の戦士が町に現れ、白い砂が町中に溢れ始めた・・・。
少し色付いた紙を使って、白い“砂”を表現した、“モノクロ”作品。
(5)『富士山を待ちながら』(8ページ)
霞んでしまって、くっきり見るのは難しい・・・。
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闇の国々IV 単行本 – 2013/10/19
歴史的名作コミック『闇の国々』シリーズ、堂々の最終巻! 異変に襲われたアルミリアを救うため飛行船で出発した少年の旅路を描く『アルミリアへの道』、“永遠の現在"法により、過去・未来について考えることを禁止された廃墟の街を描く『永遠の現在の記憶』、ある男の死によって加速していく街の怪現象とその謎をめぐって奔走する人々を描く『砂粒の理論』など、シリーズ最新作を含む3篇を収録。日本語版特典として、10年前にスクイテンがフランスの雑誌の依頼で富士山を描いたイラスト連作『Mt. Fuji』シリーズを収録。
- 本の長さ336ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館集英社プロダクション
- 発売日2013/10/19
- ISBN-10479687173X
- ISBN-13978-4796871730
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商品の説明
出版社からのコメント
シリーズ最新作『砂粒の理論』を収録! さらなる進化を遂げる〈闇の国々〉シリーズ第4巻!
内容(「BOOK」データベースより)
世界を救う冒険の旅に出る少年、永遠の現在を生きる廃墟の町、ある男の死により加速する都市の怪現象…謎の都市群“闇の国々”、驚天動地のシリーズ最新巻。『アルミリアへの道』『永遠の現在の記憶』『砂粒の理論』の3作品を収録。さらに幻のイラストシリーズ『富士山を待ちながら』を特別収録。
著者について
●ブノワ・ペータース…1956年、フランス・パリ生まれ。1980年代から幼なじみのフランソワ・スクイテンとともに〈闇の国々〉シリーズを手掛け、以後、BDの原作者として活躍。同シリーズは10の言語に訳され、数々の賞を受賞した。BD以外にもエッセイ、評伝、映画、テレビ、ラジオドラマの制作など多岐にわたる活動を展開している。 ●フランソワ・スクイテン…1956年、ベルギー・ブリュッセル生まれ。1970年代からBD作家として活動をスタートし、〈闇の国々〉シリーズで一躍人気BD作家の仲間入りを果たす。今やヨーロッパの至るところでスクイテンのイラストを見ることができるほどの、まさにBD界を代表するアーティストの一人。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ペータース,ブノワ
1956年、フランス・パリ生まれ。2冊の小説を出版した後、1980年代から幼なじみのフランソワ・スクイテンとともに“闇の国々”シリーズを手掛け、以後、BDの原作者として活躍。同シリーズは10の言語に訳され、数々の賞を受賞した。またBD以外にもエッセイ、評伝、映画、テレビ、ラジオドラマの制作など多岐にわたる活動を展開している。『タンタンの冒険』で知られるベルギーのBD作家エルジェの研究家としても有名で、これまでに3冊の研究書を出し、いずれも高い評価を受けている
スクイテン,フランソワ
1956年、ベルギー・ブリュッセル生まれ。1970年代から『ピロット』や『メタル・ユルラン』などの雑誌でBDを発表し、1982年、雑誌『ア・シュイーブル』に掲載された“闇の国々”シリーズ第1作『サマリスの壁』で一躍人気BD作家の仲間入りを果たす。現在では、切手やポスターなど、ヨーロッパの至るところでスクイテンのイラストを見ることができ、まさにBD界を代表するアーティストの一人である。また、スクイテンはパリやブリュッセルの地下鉄の駅のデザイン、オペラやダンスの舞台芸術も手掛けており、2005年の愛知万博のベルギー館をはじめとする数々の国際博覧会のパビリオンデザインなどにも携わっている
古永/真一
1967年生まれ。現代思想の研究の他、BDに関する著作や翻訳も手掛ける。現在、首都大学東京准教授
原/正人
1974年生まれ。学習院大学人文科学研究科フランス文学専攻博士前期課程修了。BDの専門誌『EUROMANGA』(飛鳥新社)で翻訳および執筆に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1956年、フランス・パリ生まれ。2冊の小説を出版した後、1980年代から幼なじみのフランソワ・スクイテンとともに“闇の国々”シリーズを手掛け、以後、BDの原作者として活躍。同シリーズは10の言語に訳され、数々の賞を受賞した。またBD以外にもエッセイ、評伝、映画、テレビ、ラジオドラマの制作など多岐にわたる活動を展開している。『タンタンの冒険』で知られるベルギーのBD作家エルジェの研究家としても有名で、これまでに3冊の研究書を出し、いずれも高い評価を受けている
スクイテン,フランソワ
1956年、ベルギー・ブリュッセル生まれ。1970年代から『ピロット』や『メタル・ユルラン』などの雑誌でBDを発表し、1982年、雑誌『ア・シュイーブル』に掲載された“闇の国々”シリーズ第1作『サマリスの壁』で一躍人気BD作家の仲間入りを果たす。現在では、切手やポスターなど、ヨーロッパの至るところでスクイテンのイラストを見ることができ、まさにBD界を代表するアーティストの一人である。また、スクイテンはパリやブリュッセルの地下鉄の駅のデザイン、オペラやダンスの舞台芸術も手掛けており、2005年の愛知万博のベルギー館をはじめとする数々の国際博覧会のパビリオンデザインなどにも携わっている
古永/真一
1967年生まれ。現代思想の研究の他、BDに関する著作や翻訳も手掛ける。現在、首都大学東京准教授
原/正人
1974年生まれ。学習院大学人文科学研究科フランス文学専攻博士前期課程修了。BDの専門誌『EUROMANGA』(飛鳥新社)で翻訳および執筆に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 小学館集英社プロダクション (2013/10/19)
- 発売日 : 2013/10/19
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 336ページ
- ISBN-10 : 479687173X
- ISBN-13 : 978-4796871730
- Amazon 売れ筋ランキング: - 861,477位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 8,277位漫画・アニメ・BL(イラスト集・オフィシャルブック)
- - 320,515位コミック
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