本書「解説」では<警察小説、リーガルサスペンス、サイコロジカルスリラーが一つの作品に盛り込まれている>という。
本書で小説家デビューとなるV・M・ジャンバンコは元映画の編集助手である。多くの映画、脚本に接してきたであろう作者は、このデビュー作にミステリのあらゆる要素を詰め込んでいる。
警察小説、リーガル、サイコだけではない。暗号あり、シリアルキラーあり、誘拐ありでFBIのプロファイラーまで登場する。そのためか既読感はあるものの良質で長大なミステリ大作となった。
さらに映画の脚本ではなく、フィルム編集のテクニックからかカット割りの多さに驚かされる。描写を転換していくスピードが速いのだ。これがスピード感あふれる文体をうみだし、女性刑事アリス・エレノア・マディスンを魅力的なヒロインとして誕生させた。
マディスンはシアトル市警殺人課に配属されて四週間の新米だが、彼女もまた他の主人公にありがちな灰色の影を引きずっているようだ。
しかしマディソンは<警官用のスミス&ウェッソンM19を片手で握る握力テストで四十キロの結果を出す力をもち、酒はほとんど飲まず、タバコは吸わず、独身で灰色の過去がありながら閑静で裕福な地域に住んでいる>のだ。
そのシアトルの住宅街で「弁護士一家惨殺事件」がおきる。
殺されたのはジェイムズ・シンクレア、その妻、二人の子供たちの四人だった。
事件のヒントは殺人現場状況にある。
<ステージング(演出)は手を加えて、ほかのものに見せかけること。計画殺人を強盗の仕業にみせかける。><ポージングは被害者をオブジェのように扱うこと。何かを主張しメッセージを残すために特別な姿勢をとらせること。>
そして現場に残された「十三日」の文字。
大量殺人鬼ジョン・キャメロンが容疑者として浮上する。
マディスン刑事たちは行方の分からないキャメロンを追うために、彼の弁護士ネイスン・クインを追求していくと彼らの過去が明らかになってくる。
そして二十五年前の少年失踪事件にたどりついた時、事件の様相は一変する。
<真の動機は別のところにあるに違いない。>
事件の核心は、闇の中に潜む邪悪なものが行ってきた一つ一つの事件は、彼らを破滅させるという大きな計画の一部だったのだ。
英国ではアリス・マディスン刑事シリーズは三作目まで刊行されているという。
日本でもシリーズ刊行を望む。
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闇からの贈り物 上 (集英社文庫) 文庫 – 2015/5/20
V・M・ジャンバンコ
(著),
谷垣 暁美
(翻訳)
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シアトル郊外の高級住宅街で起きた一家惨殺事件。やがて容疑者として浮かぶキャメロンは、彼の弁護人と被害者とともに悲惨な過去を共有していた…。女性刑事マディスンはキャメロンを追うが、捜査は難航を極める。
- 本の長さ392ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2015/5/20
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104087607046
- ISBN-13978-4087607048
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
シアトル郊外の高級住宅地でシンクレア一家が惨殺された。遺体には十字架が描かれ、殺人現場のドア枠には「13日」の文字が…。被害者のシンクレアは、やがて容疑者として浮かぶ男キャメロン、そしてキャメロンの弁護士クインとともに、悲惨な過去を共有する仲だった。殺人課に配属されて日の浅い女性刑事マディスンはキャメロンを追うが、足取りはなかなかつかめず、捜査は難航を極めるのだったが…。震撼のデビュー・サスペンス。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ジャンバンコ,V.M.
イタリア生まれ。高校卒業後にロンドンに渡る。ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジで英語と演劇を学んだ後、クラシック音楽の小売りや書店員を経て、映画の編集助手に。『ドニー・ブラスコ』、『フォー・ウェディング』、『秘密と嘘』など、数多くの作品の編集に携わってきた。2013年に『闇からの贈り物』で小説家デビュー。ロンドン在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
イタリア生まれ。高校卒業後にロンドンに渡る。ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジで英語と演劇を学んだ後、クラシック音楽の小売りや書店員を経て、映画の編集助手に。『ドニー・ブラスコ』、『フォー・ウェディング』、『秘密と嘘』など、数多くの作品の編集に携わってきた。2013年に『闇からの贈り物』で小説家デビュー。ロンドン在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2015/5/20)
- 発売日 : 2015/5/20
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 392ページ
- ISBN-10 : 4087607046
- ISBN-13 : 978-4087607048
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,073,557位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 8,189位集英社文庫
- - 22,574位ミステリー・サスペンス・ハードボイルド (本)
- - 24,007位英米文学研究
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
5つ星のうち2.5
星5つ中の2.5
2 件のグローバル評価
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年6月9日に日本でレビュー済み
揃えている素材は良い。猟奇殺人、過去に起こっていた事件、犯罪をおかしているのは確かなのに捕まらない殺人者。トラウマを抱えた女刑事。どんな面白い展開になるのだろうとワクワクして読み出した。が、一向にドキドキするシーンがやってこない。そういう展開になるべき所なのに盛り上がらずに終わっていく。上巻のラストでどんでん返しの展開がきたが、逆にここまで引っ張っておいて・・・と引いてしまった。とりあえず上下最後まで読んだけれど揃えた素材が生かしきれてない。色んな要素が出てくるのにどれも宙ぶらりん。主人公も犯人も彼等にまとわりつく過去が出てきても、それが物語のエッセンスになっているようには感じられなかった。どんでん返しを狙いすぎたせいか公開された真実が少な過ぎて違和感がありすぎてこちらが想像を巡らせたりしたものが定着しないため覆されても、ええっ!と驚くより、え・・・とテンション下がった。
また、主人公の視点から突然別キャラの視点に変わる書き方が数度出てくるのだが下手すぎる。主人公の目線だろうと読み進めているのに次の行では話していた相手の視線、心情に唐突に変わるためこちらの心が定まらないのも感情移入出来ない要因だったように思える。
あとは個人的に主人公の突っ走りについていけない。彼女が起こす行動は独りよがりすぎているように思えて愛情が湧かなかった。
また、主人公の視点から突然別キャラの視点に変わる書き方が数度出てくるのだが下手すぎる。主人公の目線だろうと読み進めているのに次の行では話していた相手の視線、心情に唐突に変わるためこちらの心が定まらないのも感情移入出来ない要因だったように思える。
あとは個人的に主人公の突っ走りについていけない。彼女が起こす行動は独りよがりすぎているように思えて愛情が湧かなかった。