法シリーズですから内容そのものは、相変わらず素晴らしいものです。
ですが、第4章の「人生に自信を持て」の中のマスコミに対する総裁の見解を読むと、なぜ幸福実現党が国民の票を集めることができないか、その理由がわかります。
NHKから国民を守る党などの、いわゆるワン・イシュー政党は、私も総裁の見解のとおり、『ワンポイントだけで攻めてくる政党を、それほど持ち上げる必要はまったくありません』に賛同しますが、NHKについて問題となるのは、偏向報道だけではありません。受信料の価格の高さと徴収方法についてもあります。
NHKの受信料は、一般家庭の場合はBS放送も見ることができるテレビが普通ですから、年間24,770円と現代の基準で考えると、(CS放送のスカパーやケーブルテレビのように、多チャンネル放送を見れるならともかく)非常に高額です。
例えば、Amazonプライム会員やコストコの年会費は年間5,000円程度であり、コストコの経営者は「これくらいの年会費があれば経営の安定が図れる」と語っています。NHKもこのような企業姿勢に見習うべきであり、受信料は年間5,000円までが適正価格と考えます。
『視聴率を大して取れないニュースを延々とかけ続けているのは、NHKだけです。視聴率に関係なく、儲からない公共性のある仕事をしているわけですから、もっと自信を持ってやったほうがよいでしょう』という総裁の見解には、上記のような【一般企業で行っている経営努力が、NHKには一切無い点】に触れておりません。
NHK受信料については、価格だけでなく徴収方法にも問題があります。
協力会社に依頼し、受信料を納めていない家に個別訪問をしていますが、この経費は受信料に転嫁され、結局は受信者が負担することになります。
さらに、NHKの受信料は家のテレビだけでなく、車に付いているカーナビにもかかります。一般家庭の場合は受信契約を結んでいる限り、車のカーナビは家の中にあるテレビの1台とみなされますが、企業の社用車については、なんと社用車1台ごとにNHK受信料を支払う必要があるのです。
こうしたNHK受信料制度を、総裁は本当に問題が無いとお考えなのでしょうか?
仮に問題が無いのだとしても、そもそも受信料は個別徴収ではなく、住民税にNHK受信料も付加するなど、税金として徴収すべきでしょう。そうすれば、個別訪問は必要なくなり経費が削減でき、ホテルの客室にあるテレビ・携帯電話・カーナビ等からの<受信料の二重取り>を止めさせることができます。
NHKから国民を守る党が1議席といえど、国民投票で得票できたのは、あまりにも馬鹿げたNHKの受信料制度について、国民のこうした内在する怒りがあるからです。
幸福実現党が「旧態依然とした放送法を改正するため、憲法改正をしたい」と言えば、得票率は大きく伸びるでしょう。ワン・イシュー政党が訴えている内容は稚拙であると批判したところで、幸福実現党は、幸福の科学の会員数に匹敵する得票数すらも得られず、ましてや、批判するワン・イシュー政党の得票数にも遠く及んでいないのです。
NHKに対して、このような民意が多数あるにもかかわらず、本書での総裁の見解はNHKに対して大変甘く、総裁の見解をそのまま実践しているだけの幸福実現党は、今のままでは票を集めることは難しいでしょう。
また、NHK以外のマスコミ関連の見解も、『朝日新聞・東京新聞・中日新聞がだいぶ変化してきている』というのは、「そうした動きが若干見られる」位であれば理解しますが、『だいぶ変化』というのは明らかに言い過ぎです。
(追記)例えば、朝日新聞デジタルの2020年1月11日の社説では、東京五輪にちなんで「日の丸を掲げる行為そのものが、侵略戦争の暗い記憶を呼び起こすものにほかならない」として、オリンピックで自分の国を応援するためとはいえ、日の丸を掲げることを戒めるべき旨を述べています。この社説を読んでも、『だいぶ変化している』と言えますか?
朝日新聞・東京新聞・中日新聞などのニュース内容がどれほど偏向しているかは、毎日インターネットで日の目に晒されています。もはやネットを使う世代の人々は、「新聞をお金を払って購読する」ことは無いでしょう。
日本人は表立って批判を口にせず、静かに立ち去るのです。お店であれば行かなくなり、物であれば買わなくなり、サービスであれば利用しなくなります。こうした無言の圧力が、お客(国民)の本当の意見であり、【声なき声に耳を傾ける】ことなくして、日本ではいかなる組織も存立し続けることはできません。
新聞であれば「購読しない」ことによって、マスコミに対しての反対行動ができますが、NHKは「視聴しなくても受信料が徴収される」ために、批判しようにも個人では何もできません。だからこそ、ワン・イシュー政党のNHKから国民を守る党でも議席を取れたのです。残念ながら、本書の説法ではマスコミ問題について、日本国民の民意を汲み取っているようには感じられないのです。
マスコミ各社で働く会員に向けて励ましの意味があるのでしょうが、第4章のマスコミ関連についての見解は、一般国民は言うに及ばず、擁護するはずの会員達の中でも、特に現役社会人世代からの共感・賛同が得られにくいはずです。それが無言の批判として、はっきりと幸福実現党の得票数に表れているのです。
理想は口に出すことで叶えられやすくなりますから、(映画・音楽や政治関連についての)ビッグマウスもある程度は許容できます。
ただ、そのビッグマウスを叶えるべく、一生懸命に支え続ける会員達が、私生活でどれほどの経済的・時間的協力が強いられているのかを思うと、星5つの満点評価など安易にはできません。師が厳しい態度で臨むなら、弟子もまた厳しい態度で臨むべきであり、それゆえ厳しいレビューを書かせていただきました。
鋼鉄の法 ―人生をしなやかに、力強く生きる― (OR BOOKS) (日本語) 単行本 – 2019/11/30
大川 隆法
(著)
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本の長さ355ページ
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言語日本語
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出版社幸福の科学出版
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発売日2019/11/30
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ISBN-10482330134X
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ISBN-13978-4823301346
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商品の説明
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
大川/隆法
幸福の科学グループ創始者兼総裁。1956(昭和31)年7月7日、徳島県に生まれる。東京大学法学部卒業後、大手総合商社に入社し、ニューヨーク本社に勤務するかたわら、ニューヨーク市立大学大学院で国際金融論を学ぶ。86年、「幸福の科学」を設立。ハッピー・サイエンス・ユニバーシティと学校法人幸福の科学学園(中学校・高等学校)の創立者、幸福実現党創立者兼総裁、HS政経塾創立者兼名誉塾長、幸福の科学出版(株)創立者、ニュースター・プロダクション(株)会長、ARI Production(株)会長でもある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
幸福の科学グループ創始者兼総裁。1956(昭和31)年7月7日、徳島県に生まれる。東京大学法学部卒業後、大手総合商社に入社し、ニューヨーク本社に勤務するかたわら、ニューヨーク市立大学大学院で国際金融論を学ぶ。86年、「幸福の科学」を設立。ハッピー・サイエンス・ユニバーシティと学校法人幸福の科学学園(中学校・高等学校)の創立者、幸福実現党創立者兼総裁、HS政経塾創立者兼名誉塾長、幸福の科学出版(株)創立者、ニュースター・プロダクション(株)会長、ARI Production(株)会長でもある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 幸福の科学出版 (2019/11/30)
- 発売日 : 2019/11/30
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 355ページ
- ISBN-10 : 482330134X
- ISBN-13 : 978-4823301346
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2020年2月3日に日本でレビュー済み
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まだ、最初の2〜3ページしか読んでいませんが、小学生でも理解できる優しい内容になっていると思います。
繁栄については、社会全体という意味合いがあり、社会や国全体の繁栄なくして個人の繁栄はあり得ない。
そう考えると、個人だけ、自分だけ良ければよいという思考は、決して許されないと言うことです。
組織や会社が発展、繁栄するのは、喜ぶべきことですが、個人の豊かさを犠牲にして、組織に尽くすのは、行き過ぎかと思います。
あくまで、個人が豊かになって、組織や会社が繁栄するという考え方が、私は王道だと思います。
組織や個人のどちらを重視するのかは、個人のバランスが必要ですね。
繁栄については、社会全体という意味合いがあり、社会や国全体の繁栄なくして個人の繁栄はあり得ない。
そう考えると、個人だけ、自分だけ良ければよいという思考は、決して許されないと言うことです。
組織や会社が発展、繁栄するのは、喜ぶべきことですが、個人の豊かさを犠牲にして、組織に尽くすのは、行き過ぎかと思います。
あくまで、個人が豊かになって、組織や会社が繁栄するという考え方が、私は王道だと思います。
組織や個人のどちらを重視するのかは、個人のバランスが必要ですね。
2020年1月2日に日本でレビュー済み
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