第三部の二巻目となる今巻。前回よりもさらに物語の核心に近づいていく中身であっただけに、読み応えがありましたね。読み終わるまでがあっという間でした。
前回、立ち直るきっかけをつかんだレイフォン。本当に少しずつですが、前に進んでいるように思えます。自らの膨大な剄量のため、天剣以外では全力を出せない彼ですが、そんな状態の中で、もっと力を出せるように新たな剄技を試しています。(もっとも、剄技の鍛錬自体は以前からやっていた模様)まだまだ試行錯誤の段階で、錬金鋼を破壊してしまうようですけどね。これから、天剣授受者と匹敵、またはそれ以上の相手が出てくると思われるわけですし、こういう主人公サイドの戦力強化は欲しいところです。また、マザー'T、レヴァンティンの存在のため、神経をすり減らす日々を送るニーナとクラリーベル。特にニーナは、事情を話すことでレイフォンたちを巻き込むことを恐れ、動くに動けない状態でいます。一人で背負い込むニーナの姿は、非常に彼女らしいとも思います。正しいかどうかは別として。そのため様子がおかしい彼女に、フェリはおろか、レイフォンにすら不信に思われる始末。そんな表面上だけの歪な平穏の日々をすごす中、新たな汚染獣と遭遇するツェルニ。だが、そこで待ち構えていたのは汚染獣ではなかった。レイフォンを圧倒する強大な相手を前に、彼とニーナは己の覚悟のほどを迫られることに・・・
いやはや、レイフォンの戦闘シーンが燃えましたね!グレンダンでの養父やドゥリンダナとの戦いは、どこか悲壮感のようなものがあっただけに、純粋に己の主張と武器、技をぶつけ合う今回の戦いは熱かった。タイトルのように、レイフォンが自分の意思を明確にしたこともよかった。今まで、何をするにしても受動的だった彼が、たとえ「わからないことを知ろうとする」という単純なことであっても自らの意思を定め、能動的に動こうとすることはよい変化だと思います。「教えてもらう」わけではないですしね。主人公にしては異例なほど、「中心」から弾かれている彼が今後、どのような影響を与えていくか楽しみです。また、前回フェリとの絡みが多かったためか、今回はニーナとの絡みが多くなっているように思えます。負傷した彼女を手当てするシーンが好きです。ニーナのレイフォンに対する想いのようなものが垣間見えることかと思います。イラストもいい感じ。
世界の敵となったツェル二への試練は、まだまだ続きそうです。レイフォンたちはもちろんのこと、「ヴァティ・レン」が今後どのような行動をとるかも気になるところです。期待して待ちたいと思います。
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