原作が如何に名作であろうと、意欲的なアレンジを、原作と乖離しているからというだけで頭から否定すべきではないでしょう。
それは、十分知られた名作を新たな角度から楽しむためのチャレンジ精神であるかもしれないから、です。
が、そう考えた場合でも、この漫画版の「フェザーンは謎の星」というアレンジは頭から否定されるべきです。
何故なら、このアレンジによって与えられた新たな角度は無く、
また、新たな角度を与えようとして失敗した、と思える要素すらどこにもないからです。
仮に、これが十分に練られた考えに基づく確たる思想のあるアレンジであるならば、
「なるほど、この展開ならフェザーンが謎の星でないと成立しないな!」
と膝を打つような、大胆なアレンジ展開が用意されたことでしょう(それが結果として滑ったとしても)。
が、フェザーンは原作通りに攻められて、あっさりと謎の星ではなくなってしまいました。
では、ここまでの展開においてフェザーンが謎の星である意味があっただろうか?と考えてみましたが、
残念ながらまったく思いつきません。
そも「フェザーンが、場所が明らかなのに攻められない理由」は原作で丁寧に説明されています。
要は「世界がおおむね安定しているとき、大国間の風見鶏となって権益を確保する小国家」です。
だからこそ、世界が動乱を迎えて安定を欠いたとき、一気呵成に滅ぼされてしまうのです。
このため「フェザーンが謎の星になったのは、攻められない理由を説明するため」というのであれば
それは単なる原作への無理解であり、不要な改変であり、つまりは改悪になります。
更には、この設定のおかげで世界観や展開に矛盾がいくつも発生しています。
たとえばフレッシュなところでこの巻、他の方も指摘していますが
「フェザーンが謎の星なら、ロイエンタールが陽動に赴く意味がない」です。
同盟が認識していないルートなのですから、全力をもってフェザーン回廊を抜き、勝負を決してしまえばいいのです。
ヤンは独断で行動することをしない(できない)司令官ですから、同盟が慌てふためいてヤンを動かすころにはすべてが終わっているでしょう。
また少し遡って、同盟がフェザーンに国債を買われていて困っている、というエピソードはどうでしょう。
原作であれば、両国に適度に介入することで第三国の立場を保っている強かなフェザーン、を印象付けるところです。
が。
フェザーンが謎の星だと、途端にここがおかしなことになります。
「宇宙のどこにあるかもわからない星」に国債を買われ続けていて、その星を謎のままにしておいて、同盟は何も思わないのでしょうか。
償還期限をネタに政治的恫喝をしてくるほど前のめりの相手を、どうして放置できるのでしょう。
政治の腐敗やら国家の衰弱やら、そんなレベルでは説明ができないほどおかしなことになっています。
更には、両国の諜報なども良く分からなくなってきます。
原作であれば、にらみ合いの続く最前線であるイゼルローン回廊に対し、
フェザーンを介しての通商・人材移動の路線があるからこそ諜報網が維持できているわけですが。
この世界だと一体どうなっているのでしょう。
まさか、最前線であるイゼルローン越しに諜報活動をしている? そんなバカな。
謎の星であるフェザーンを中継して諜報活動をしている? 更にナンセンス。
等々。
これらアッサリと出てくるボロと矛盾の数々を考えるに、恐らくは藤崎竜先生も、担当の編集者も、原作をマトモに読んでいないとしか思えません。
ストーリーや人物相関、イベント一覧をおおまかな箇条書きにしたリストか何かだけみて作っていて、
「フェザーンが何故攻められないのか理解できない。そうだ謎の星にしよう」
くらいの、浅い理解でこのアレンジを思いついたとしか考えられません。
フェザーンは謎の星、という設定を最初に見て以来「色々おかしくならないか?」と首をひねったものの、
何かしらの意味があると信じよう。それを見届けるまでは評価を避けよう。と思い続けてきましたが、
フェザーン攻略が原作通りの展開で行われたことで、結論が出たとして、迷うことなく☆1をつけさせて戴きます。
本当に残念です。
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田中芳樹
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言語日本語
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出版社集英社
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発売日2020/7/17
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2020年7月25日に日本でレビュー済み
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いの一番にレビューしたのに何故か消されてたのでもう一度(笑)
ヤングジャンプからウルトラジャンプに移籍して、初の単行本です
それまではヤンジャンで毎週読んでいたんですが、今回初めてコミックスで初読みすることになりました
中盤のクライマックスである「ラグナロック作戦」
その序盤の攻防が描かれていますが、はっきり言うとイマイチでした
理由はやはりフェザーンです
原作と違いフェザーンを伝説の存在にしてしまったことに対するツケが出てきました
私は原作至上主義ではありません
もちろん原作は基本ですが、漫画、アニメ、それぞれ表現方法が違えば演出も変わって当然と思います
ですが、今回のフェザーンに対する改変はやはり改悪としか思えません
ストーリーに整合性が無くなってしまったからです
改変擁護派の人たちが見落としている最も大きなポイント
それは、フェザーンが謎の存在であるなら、そもそも今回のロイエンタール艦隊によるイゼルローン侵攻自体が全く不要だと言う事です
原作でのこのイゼルローン侵攻は陽動作戦(同盟だけでなくフェザーンに対しても)だからこそ意味があるのです
フェザーンが謎の星なら陽動の必要などありません
最初から全軍でフェザーン回廊を突破すれば良いんですよ
だって同盟軍はフェザーンの存在自体を知らないんですから。
わざわざ貴重な兵を失ってまでイゼルローンを攻略する意味がありません(ロイエンタール艦隊4万隻のうち100隻の艦が撃沈されても、少なくとも1万人の兵が失われます)
一個艦隊ほど派遣して、遠くからヤンがイゼルローン要塞を放棄するのを待ってれば良いんです
漫画ならではのオリジナリティを出そうとしたんでしょうが、ストーリーを破綻させるだけの結果になりました
ユリアンも本来ならとっくにフェザーンに行ってるはずが、ハイネセンから辺境へ
まぁ、これからなにかがあって結局はフェザーンへ行ってラインハルトと遭遇するんでしょうけど、このくだりも無駄ですよね
それと今後フェザーンは帝国首都星になるのに、帝国からあんなに通過しにくい回廊でいいのか?と
エヴァンゼリンの描写も酷い
あれじゃ頭の中お花畑の馬鹿じゃないですか
キャゼルヌ夫人と並ぶ良妻の象徴なのに・・・
オリジナリティを出すのはいいんです
ですが、それならちゃんとストーリーや設定に与える影響もしっかり考えておかないと、物語を破綻させてしまいます
原作がある作品を別媒体で表現するなら、それがクリエイターとして最低限押さえておかなければならないところではないかと思いますね
ヤングジャンプからウルトラジャンプに移籍して、初の単行本です
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理由はやはりフェザーンです
原作と違いフェザーンを伝説の存在にしてしまったことに対するツケが出てきました
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もちろん原作は基本ですが、漫画、アニメ、それぞれ表現方法が違えば演出も変わって当然と思います
ですが、今回のフェザーンに対する改変はやはり改悪としか思えません
ストーリーに整合性が無くなってしまったからです
改変擁護派の人たちが見落としている最も大きなポイント
それは、フェザーンが謎の存在であるなら、そもそも今回のロイエンタール艦隊によるイゼルローン侵攻自体が全く不要だと言う事です
原作でのこのイゼルローン侵攻は陽動作戦(同盟だけでなくフェザーンに対しても)だからこそ意味があるのです
フェザーンが謎の星なら陽動の必要などありません
最初から全軍でフェザーン回廊を突破すれば良いんですよ
だって同盟軍はフェザーンの存在自体を知らないんですから。
わざわざ貴重な兵を失ってまでイゼルローンを攻略する意味がありません(ロイエンタール艦隊4万隻のうち100隻の艦が撃沈されても、少なくとも1万人の兵が失われます)
一個艦隊ほど派遣して、遠くからヤンがイゼルローン要塞を放棄するのを待ってれば良いんです
漫画ならではのオリジナリティを出そうとしたんでしょうが、ストーリーを破綻させるだけの結果になりました
ユリアンも本来ならとっくにフェザーンに行ってるはずが、ハイネセンから辺境へ
まぁ、これからなにかがあって結局はフェザーンへ行ってラインハルトと遭遇するんでしょうけど、このくだりも無駄ですよね
それと今後フェザーンは帝国首都星になるのに、帝国からあんなに通過しにくい回廊でいいのか?と
エヴァンゼリンの描写も酷い
あれじゃ頭の中お花畑の馬鹿じゃないですか
キャゼルヌ夫人と並ぶ良妻の象徴なのに・・・
オリジナリティを出すのはいいんです
ですが、それならちゃんとストーリーや設定に与える影響もしっかり考えておかないと、物語を破綻させてしまいます
原作がある作品を別媒体で表現するなら、それがクリエイターとして最低限押さえておかなければならないところではないかと思いますね
2020年7月23日に日本でレビュー済み
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外伝から描き続けてラグナロックに到達したのは大したものです。艦隊戦の描写、SF的なデザイン設定はアニメのプロダクションIG版を含めても、藤崎先生のモノが一番好きです。女性キャラクターを敢えて機械的、ファティマ的に描くのは、藤竜版のSF設定と納得しました。フェザーンの設定変更も良かったと思います。アレンジが一切なく原作通りに進行して行くのであれば、何度も銀英伝に触れているファンは、ストーリーへの興味が薄れますからね。原作者はキルヒアイスを描ききれず、早い段階で失ってしまったのを残念だったと何処かで述べていましたが、しっかりと描ききれたのではと思います。フレーゲル男爵に深みを持たせる事にも成功していましたからね。今後については、自己矛盾の塊であるロイエンタールも、藤崎先生なら描ききって下さるのではと、期待しています。
ベスト1000レビュアー
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すでに18巻・・・ここまで読み続けている方であれば十分楽しめます。
いよいよ神々の黄昏が開始されます。
アニメや漫画(他作者版)では見ることが出来なかったフェザーンとの戦いも描かれており、
個人的には楽しめました。意外と帝国も苦戦していたことがしれたのは良かったです。
あとはイゼルロ-ンでのヤンVSロイエンタールもありますがこちらは、まだ始まったばかりで
次巻でといった感じです。
いよいよ神々の黄昏が開始されます。
アニメや漫画(他作者版)では見ることが出来なかったフェザーンとの戦いも描かれており、
個人的には楽しめました。意外と帝国も苦戦していたことがしれたのは良かったです。
あとはイゼルロ-ンでのヤンVSロイエンタールもありますがこちらは、まだ始まったばかりで
次巻でといった感じです。
2020年8月25日に日本でレビュー済み
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この『18』は、所謂藤崎版の中でも個人的には最も宇宙艦隊の描写が美しい一冊だと読んでいて私は感じました。
この巻では、帝国軍に於ける双璧つまりミッターマイヤーとロイエンタールの二人に大きくスポットライトを当てているので二人のファンだという方には特にお勧めです。
また、ラインハルトのかつてない大規模作戦「神々の黄昏」(ラグナロック)発動による様々な人間ドラマも読み応え抜群です。
余談になりますが、ここだけの話もしも私がラインハルトの立場だったとしたら敢えてヤン・ウェンリーの存在にこだわり過ぎず、イゼルローン要塞完全スルー作戦なるものを実行していたことでしょう。
まあそれ以前に戦争が大嫌いで平和が大好きな私としては、戦争起こさせずで物語が終わってしまっているでしょうが。あはは。
この巻では、帝国軍に於ける双璧つまりミッターマイヤーとロイエンタールの二人に大きくスポットライトを当てているので二人のファンだという方には特にお勧めです。
また、ラインハルトのかつてない大規模作戦「神々の黄昏」(ラグナロック)発動による様々な人間ドラマも読み応え抜群です。
余談になりますが、ここだけの話もしも私がラインハルトの立場だったとしたら敢えてヤン・ウェンリーの存在にこだわり過ぎず、イゼルローン要塞完全スルー作戦なるものを実行していたことでしょう。
まあそれ以前に戦争が大嫌いで平和が大好きな私としては、戦争起こさせずで物語が終わってしまっているでしょうが。あはは。





