紀行作家である宮脇俊三(1926-2003)の編集により、1995年にその第1弾が刊行されていらい、全10冊に及んだ鉄道の廃線跡を実地踏査するシリーズ本。カラー白黒混合。
廃線跡探訪という趣味のジャンルを確立したシリーズと言って良い。私は北海道に住み、鉄道で旅をするのが好きだ。しかし、北海道の鉄道事情は厳しく、次々と美しい車窓を誇った路線は廃止となり、今となっては、一人で地方を彷徨することもままならなくなった。けれども、そんな憧憬をかろうじて満たし、ありし日の鉄道の姿を想像させてくれるのが、現地に残るかすかな遺構たちである。私も本書を通じてその興味を深め、あちこち探索するようになった。
本シリーズの特徴は以下の通りだろう。
1) 対象に廃線のみならず、着工されながら完成しなかった「未成線」、線路の付け替えのため廃棄された「旧線」を含むこと。
2) 各巻ごとに全国から対象を抽出していること。
3) 廃線を記載した地形図を掲載し、実地踏査に基づいて、写真とともに主要な遺構のある個所が示されていること。
4) 全10巻が刊行されたことで、網羅性が高いこと。
5) 各巻末に、充実したデータ集が添付されていること。
構成は、基本的には巻頭に編集者である宮脇俊三氏の探訪問記1編があり、その後、「棄景」等の写真集で有名な丸田祥三氏による渾身の写真。そして、詳細な実地踏査、巻末に巻毎の特集とデータ集という形になる。
ただ、特徴2)により、地域ごとという巻構成にはなっていない。そのため、全10巻を所有していても、目的とする線区がどの巻に掲載してあったか、それとも掲載そのものがないのか、私の経験上手間をかけて探すことが多い。そこで、今回、各巻の目次を掲載してみようと思う。参考になれば幸いである。
第4巻 目次 ページ
廃線探訪「矢立峠と大釈迦峠越え~奥羽本線旧線」 宮脇俊三 4
鉄道廃景(4) 丸田祥三 15
実地踏査
天北線(1) 音威子府-浜頓別 22
羽幌炭礦鉄道 築別-羽幌炭礦 26
根室本線旧線 落合-狩勝信号場 28
寿都鉄道 黒松内-寿都 30
千歳線旧線 苗穂-北広島 33
三菱鉱業大夕張鉄道 清水沢-大夕張炭山 36
歌志内線 砂川-歌志内 40
函館本線砂川支線 砂川-上砂川 42
大畑森林鉄道 大畑-奥薬研 44
南部鉄道 尻内-五戸 48
松山人車軌道 松山町-松本酒造店前 50
仙台鉄道 中新田-北仙台 52
山形交通三山線 羽後高松-間沢 55
川俣線 松川-岩代川俣 58
常磐線旧線 久ノ浜-広野、竜田-富岡 60
日本鉄道(東北本線)旧線 宇都宮-矢板 64
利根軌道 渋川-沼田 66
上武鉄道 丹荘-若泉(西武化学前) 68
横浜水道工事軌道(1) 津久井町青山-西谷・野毛 70
東京鉄道郵便局専用地下鉄 東京都-東京鉄道郵便局 72
五日市鉄道(南武鉄道) 拝島-立川 74
京浜電気鉄道大森支線 大森海岸-大森 76
東海道本線旧線 神奈川-横浜-保土ヶ谷 79
御殿場馬車鉄道 御殿場新橋-籠坂 83
静岡鉄道秋葉線 新袋井-遠州森町 87
東海道本線沼津港貨物船(蛇松線) 沼津-沼津港 90
篠ノ井線旧線 明科-西条 92
福井鉄道鯖浦線 水落-織田 95
北陸の臨港貨物線 富山港線、七尾港線、三国線、敦賀新港線、中舞鶴線、舞鶴港線 98
近畿日本鉄道旧線 白木-五知、志摩磯部-志摩横山、賢島-真珠港 104
近畿日本鉄道八王子線 西日野-伊勢八王子 106
名古屋鉄道高富線 長良北町-高富 108
名古屋鉄道旧西尾線(福岡線) 岡崎新-西尾 110
名古屋鉄道小坂井支線 伊奈-小坂井 112
名古屋鉄道・国鉄渥美線 三河田原-黒川原-堀切(一部未成区間) 114
伊賀鉄道 伊賀神戸-西名張 117
初瀬鉄道 桜井-初瀬 120
大阪市内の臨港貨物線 安治川口-大阪東港、浪花-大阪港・大阪北港 122
別府鉄道 土山-別府港-野口 125
篠山鉄道 弁天-篠山町 128
篠山線 篠山口-福住 130
赤穂鉄道 播州赤穂-有年 132
鞆軽便鉄道 福山-鞆 134
両備軽便鉄道 両備福山-吉津-横尾 136
米子電車軌道 米子駅前-皆生温泉、加茂町-角盤町 140
倉吉線 倉吉-山守 142
琴平急行電鉄 坂出-琴急琴平 145
内子線 五郎-内子 148
宇和島鉄道 宇和島-吉野 150
岩日北線 (未成線) 152
筑肥線旧線 博多-小笹-姪浜 156
豊州鉄道 豊前善光寺-豊前二日市 158
荒尾市電気鉄道 荒尾駅-緑ヶ丘 162
宮崎交通 南宮崎-内海 164
宮之城線 宮之城-薩摩大口 167
廃駅跡をたどる 上越線「旧湯檜曽駅」、中央本線「旧塩尻駅」、小田急電鉄「山谷駅」、名古屋鉄道「広江駅」、名古屋鉄道「霞ヶ丘駅」、東海道本線「新垂井駅」 原口隆行 170
新旧地形図でたどる水浜電車の跡 今尾恵介 178
鉄道構造物の見方・調べ方「廃線アーチ橋実践編」 小野田滋 182
データ「国鉄廃線区間の変遷史」 199
個人的に思い入れの大きい線区として、第4巻では、三菱鉱業大夕張鉄道がある。この路線は、私が幼少のころ、まだ清水沢-南大夕張間が残っていて、道内唯一の私鉄として1日3往復の客車列車が運行されていた(片道大人60円をいう国内最安の運賃だった)。ゆっくり走る列車に乗って、南大夕張のちに付き、近くの温泉宿で宿泊したのである。いまではその南部の集落もわずかな人家が残るのみで、当時の面影を偲ばせるものはほとんどない。しかし、南大夕張駅跡にある保存車両のみが、その痕跡をとどめている。また羽幌炭礦鉄道跡は、その炭鉱施設の一部とともに、羽幌町が観光対象としてマップ等に記載してくれている。私もそのマップを片手に訪問し、とても楽しかった。そのような活動が、あちこちに広まることを期待している。
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鉄道廃線跡を歩く〈4〉 JTBキャンブックス 単行本 – 1997/11/1
宮脇 俊三
(編集)
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国鉄廃線区間の変遷史-鉄道構造物の見方・調べ方廃駅跡をたどる-
- 本の長さ223ページ
- 言語日本語
- 出版社JTBパブリッシング
- 発売日1997/11/1
- ISBN-104533028578
- ISBN-13978-4533028571
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
全国に残る失われた鉄道の跡を歩いてたどる。豊富な資料、地図、写真を交えた詳細なルポ。今回は国鉄廃線区間の変遷史を表にし、線路名称・営業キロの推移を調査。
登録情報
- 出版社 : JTBパブリッシング (1997/11/1)
- 発売日 : 1997/11/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 223ページ
- ISBN-10 : 4533028578
- ISBN-13 : 978-4533028571
- Amazon 売れ筋ランキング: - 776,825位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,519位鉄道 (本)
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上位レビュー、対象国: 日本
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- 2015年11月30日に日本でレビュー済み
- 2006年8月5日に日本でレビュー済み鉄道廃線跡探訪記の創始者的存在の故宮脇俊三氏の人気シリーズ第四弾。個人的には、悲運の私鉄五日市鉄道立川〜拝島間を取り上げてもらえたのが、とても嬉しかったです。いつの日か歩いて辿ってみようと思っています。きっと皆、私と同じようにあの廃線跡を辿ってみようと考えている路線があるんだろうなぁ。





