音楽的な話は他の評者にお任せして、音楽体験としての「金字塔」について語ろうと思います。
最初に聴いたのは、高校2年生の終わり頃だろうか。友人の影響で邦楽ロックにのめり込んでいく過程で出会った。ちなみに当時の邦ロックシーンにはandymoriがいてサカナクションがいて、神聖かまってちゃんがメディアに取り上げられたりもしてた。四つ打ちロックという括りはまだ存在していなかった。
邦楽ロックのなんたるかを何も知らない田舎の高校生は日本のロック名盤100選みたいなのから順番にツタヤで借りて聴いていった。
椎名林檎の「無罪モラトリアム」とかスーパーカーの「スリーアウトチェンジ」とかBUMPの「ユグドラシル」とかを聴いた記憶がある。
そして、そのうちの一つがこの金字塔だった。
今でも覚えているのだけれど、その中でも中村一義の「金字塔」と銀杏BOYZの「DOOR」を始めて聴いた時のとてつもない拒否感はとてつもなかった。
すぐにヘッドフォン外した。
しかし、後にこの二つのアルバムは僕の生涯ベストアルバムになる。
歌というものは歌詞が聴き取れないと意味がない、というカラオケ的な音楽の消費をしていた僕には理解不能だった。声も甲高くて気持ち悪い、と思った。
そして、大学の3年間をほぼ引きこもって音楽を聴いてと本を読んで暮らした僕は久しぶりにこのアルバムを引っ張り出して期待せずに聴いた。
驚いた。
こんなに凄いアルバムだったのか、と。
犬と猫で凄すぎてため息ついて、ここにいるで泣いて、永遠なるもので大号泣した。
たぶん、このアルバムはある程度音楽リスナーとしての経験を積まないと良くわからないアルバムだと思う。
特に60〜70年代のロック、ポップスを楽しめるようになってから聴くと、このアルバムの本当の凄味がわかると思う。
ビートルズを始めとしたルーツロックへのとてつもない敬愛心が詰まっている。
特にドラム。ここまでリンゴスターなドラム叩けるの中村くんだけだと思う。
あんまこの言葉使いたくないけど、天才としか言いようがないですね。
僕はこのアルバムで部屋を出ました。