天才・ランダウが著者の幻の名著。残念ながら絶版となっており、入手困難であるが、定価の倍以上の値で古本屋で購入してしまう人が後を絶たないと聞く。
私も古本屋で偶然見つけて、手に入れたときは小躍りするくらい嬉しかった。
しかし喜びも束の間、そう簡単に読み進めていける程この本は甘くない。
1章で量子力学の基礎概念がコンパクトにまとめられているが、一度簡単な量子論の本を読破した者でないと、何を言いたいのかチンプンカンプンになってしまうだろう。
しかし本当の試練は、その後怒濤の如く襲いかかってくる。
この量子力学はブラ・ケット形式はほとんど使われておらず、ほとんど解析学的なアプローチで論理を展開している。
そしてランダウお得意の、変分原理でシュレーディンガー方程式を導出している。
掲載されている問題も、当時の論文になれるくらい中身が濃く、途中計算は容赦なく特殊関数のオンパレード...。
岩波に数学公式・特殊関数が出版されているが、あれがあると便利である。とは言えあれはあくまで公式集なので、特殊関数の勉強もしっかりしておいた方がいい。
行間を読んで考察していかないといけないのも、このシリーズの特徴の一つで、ランダウ・リフシッツシリーズの「力学」は、前提とする基礎知識として持っておいた方が良い。
この本は紛れも無く名著である。しかし教科書ではなく、自分の物理的センスを磨く為のトレーニングだと思って挑むと良い。
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