雑誌への連載小説だったというせいか、話の進行とともに小説のモチーフがどこにあるのかわからず、それでも物語の展開に期待して読み進めたが、主人公と突然入り込んできた、もう一人の会長との間が主客転倒したような呆気無い終わり方だった。
山で失った恋人への想い、なぜ山に登るのか?という自分なりの解答を大自然の中にその営為を期待したが、全体的に表層的な軽い描写で、主人公の心理描写が浅く筆致が散漫に思えた。
筆者は山岳の知識は豊富なようだが、恐らく実体験が伴っていない知識だけで物語を構築したような感じで、少しでも山の現実を知る立場からすると、リアリティが無さ過ぎる描写が目立ち、高山病や山での死をあまにりにも簡単に捉えている部分にシラケてしまった。
最後の謎解き?も面白いものとは言いがたい。
もう少しメリハリを付け、絞り込んで読み応えのある作品を書いて欲しかった。
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