東日本大震災の後、生き延びた人々が混乱と深い悲しみの中で、津波の犠牲者となった方々のご遺体とどう向き合ったかのルポタージュ。すごく痛くて悲しかったけれど、一晩で一気に読んでしまった。
あの大惨事は今でも思い出すと胸が詰まるけれど、この本を読むまでは、あの災害当時に感じた哀しみや辛さを忘れてしまっていた。いまわたしたちの周りに広がるこの平和な世界は当たり前ではないこと。愛する人々と共に元気で過ごせる今日が明日も必ず来るとは誰にもわからないことを改めて肝に命じて、小さなことでも大切にして生きようと深く思い直させられた本。
想定外の出来事が起きて人間同士みんなで協力してそれを乗り越えるとき、わたしたちの根底に流れる愛が見える。想像だにもできないあの地獄のような状況で見せてもらえたのは、日本人らしい愛と尊敬の姿勢だなと、度々号泣。
著者の石井光太さんの、誠実であり真摯であり、そして「正しい心」で伝えようとしてくれている文章もものすごく良い。
日本語には「死体」の他に亡き人を敬う心を込めた「遺体」という言葉があって、ふと英語やスウェーデン語では何というかなと調べてみたけれど、遺体の意味に当たる言葉はなかった。わたしは日本語が母国語の日本人で良かったなとしみじみ思った。
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