TVアニメ『氷菓』の中で、主に千反田と折木の2人の関係とその人間性を描いた1話完結のストーリーを時系列順にまとめた原作短編集です。
表題作と同じ”遠まわりする雛”では、由緒ある家柄に生まれた千反田えるの美しさに見惚れてしまう折木奉太郎が描かれていますが、アニメでは狂い咲きの桜の下で2人が将来について語り合う美しい映像で締め括るのに対し、原作では千反田の実家の縁側で夕暮れ時から星空を仰ぎ見つつしんみりと会話をして幕を閉じます。
生き雛の美しさはアニメでは映像を動かすことで表現されていましたが、小説では活字ながら十二単衣という衣装の美しさ、それを見た人の心のときめきなど表現されていてアニメの描写を補うのに十分な文章でした。
以下やや個人的な感想ですが、千反田の人格・責任感の強さと何にでも好奇心を持つ性格は、いわば彼女の公と私を表しているように思います。その証拠に、生き雛祭りの本番中は「わたし、気になります」という知的衝動を抑え、大役を果たすことに専念していた千反田が、解放されてようやく折木と2人きりになったときその聞きたくてしょうがなかったことを改めて持ち出します。
千反田にとって折木は、がんじがらめの自分の人生の中で唯一リラックスできて、本来の自分らしさを出せる癒しの場なのではなかったでしょうか?
他にも、この2人や古典部の仲間がどんな人物像なのかを知る上で重要なエピソードがたくさん盛り込まれています。
古典部シリーズの中でも僕が特に好きな作品を集めているのがこの1冊です。
遠まわりする雛 (角川文庫) (日本語) 文庫 – 2010/7/24
米澤 穂信
(著)
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本の長さ410ページ
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言語日本語
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出版社角川書店(角川グループパブリッシング)
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発売日2010/7/24
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ISBN-104044271046
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ISBN-13978-4044271046
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
省エネをモットーとする折木奉太郎は“古典部”部員・千反田えるの頼みで、地元の祭事「生き雛まつり」へ参加する。十二単をまとった「生き雛」が町を練り歩くという祭りだが、連絡の手違いで開催が危ぶまれる事態に。千反田の機転で祭事は無事に執り行われたが、その「手違い」が気になる彼女は奉太郎とともに真相を推理する―。あざやかな謎と春に揺れる心がまぶしい表題作ほか“古典部”を過ぎゆく1年を描いた全7編。
著者について
1978年岐阜県生まれ。2001年、第五回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を『氷菓』で受賞しデビュー。主な著作として『愚者のエンドロール』『クドリャフカの順番』『遠まわりする雛』『さよなら妖精』『春期限定いちごタルト事件』『犬はどこだ』『ボトルネ
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
米澤/穂信
1978年岐阜県生まれ。2001年、第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を『氷菓』で受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1978年岐阜県生まれ。2001年、第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を『氷菓』で受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 角川書店(角川グループパブリッシング) (2010/7/24)
- 発売日 : 2010/7/24
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 410ページ
- ISBN-10 : 4044271046
- ISBN-13 : 978-4044271046
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Amazon 売れ筋ランキング:
- 80,394位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 1,545位ミステリー・サスペンス・ハードボイルド (本)
- - 1,563位角川文庫
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
5つ星のうち4.4
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2016年12月27日に日本でレビュー済み
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2017年6月19日に日本でレビュー済み
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ターニングポイントとは言い切れませんが、登場人物の心のゆらぎが見え隠れしはじめる巻です。
このシリーズはそれほど恋愛の機微を感じさせない印象でしたが、やはりそこは高校生。
ボーイミーツガール要素を完全にスポイルすることは健全な青少年たちの物語として、一抹の違和感が出てきてしまいます。
しかも千反田さんは才色兼備の御令嬢。
一部の登場人物たちは大人でも言わないような凝った台詞まわしや異常な洞察力を発揮し、
一般の高校生とは思えないほど。
既刊を含めた感想として、読み物としては面白いものの、キャラクタに感情移入するポイントが少なかったです。
今作からは、キャラクタの内面の変化を示唆しはじめ、小説の中での「時の経過」の説得力と、
「シナリオを彩る新たなエッセンス」を順当に賄ってきたな、と感じました。
このシリーズはそれほど恋愛の機微を感じさせない印象でしたが、やはりそこは高校生。
ボーイミーツガール要素を完全にスポイルすることは健全な青少年たちの物語として、一抹の違和感が出てきてしまいます。
しかも千反田さんは才色兼備の御令嬢。
一部の登場人物たちは大人でも言わないような凝った台詞まわしや異常な洞察力を発揮し、
一般の高校生とは思えないほど。
既刊を含めた感想として、読み物としては面白いものの、キャラクタに感情移入するポイントが少なかったです。
今作からは、キャラクタの内面の変化を示唆しはじめ、小説の中での「時の経過」の説得力と、
「シナリオを彩る新たなエッセンス」を順当に賄ってきたな、と感じました。